こんにちは!今日も発達障害に関する学び、情報交換の場になることを願って投稿させていただきます。
今回のトピックは「発達障害のASD(自閉症スペクトラム症)」についてです。
自閉スペクトラム症と診断された方、その家族へ発信していきます。
自閉スペクトラム症と聞いたことあるけど、どんな特性を持っているのか?
社会生活に支障をきたすと言われているが、どんな特徴から支障をきたしてしまうのかなど理解しておきたいと思いませんか?
今回、簡単に分かりやすくまとめてみたので、最後までみていただけると幸いです。
目次
ASD(自閉スペクトラム症)とは?
ASDとは従来の自閉症とアスペルガー障害のことを指します。
アスペルガー障害と自閉症の違いについて議論されていましたが、境界線がないという結論になりました。
では、どういう違いがあるのかと気になった方もいるのではないでしょうか?
実は、アスペルガー障害と自閉症の基本的な症状は同じですが、軽症か、重症かでみるかで呼び方が変わると言われています。
自閉症は、重度の方が多く、児童期以前に発見され、社会性、想像力、コミュニケーションの障害です。
アスペルガーは、どちらかというと軽症の場合であり、自閉症と特性は変わりありませんが、言葉の遅れがありません。
ちなみに「スペクトラム」とは
「連続体」のことを指します。そのため、軽度〜重度の連続体を指します。
ASDの特徴
障害の度合いや特性は十人十色です。
自閉スペクトラム症は、情報の入力と処理が苦手という特性があります。
つまり、入力された情報に物体として捉えたものの他に何らかの意味を持つニュアンスを捉えることが苦手です。
また、大まかな特性として
- コミュニケーション障害
- イマジネーション障害
- 同一性保持の傾向
があると言われています。詳しくは、次の項目にまとめたので、みてください。
その他の特性として、
- 0か1の思考(理論的に考える傾向がある)
- 驚異的な記憶力(見たままを記録する力が優れている)
- 知覚過敏(音、光、嗅覚、触覚)
- 衝動性(怒りが抑えきれない)
というようなことも挙げられます。
ASD診断について
DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアルより
診断基準として下記のように記されています。
A:複数の状況で社会的コミュニケーション及び対人的相互反応における持続的な欠陥があり、現時点または病歴によって、以下が明らかになる。
1.相互の対人的-情緒的関係の欠落
2.対人的相互反応で非言語的コミュニケーション行動を用いることの欠陥
3.人間関係を発展させ、維持し、それを理解することの欠陥B:行動、興味、または活動の限定された反復的な様式。以下少なくとも2つにより明らかになる。
1.常同的または反復的な身体の運動、ものの使用、または会話
2.同一性への固執、習慣へ頑なこだわり、または言動的、非言語的な儀式的な行動様式
3.強度または対象において異常なほど、極めて限定され執着する興味
4.感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ、または環境の感覚的側面に対する並外れた興味C:症状は発達早期に存在している(社会的要求が能力の限界を超えるまでは症状は完全に明らかにならないかもしれないし、その後の生活で学んだ対応の仕方によって隠されている場合もある。)
D:その症状は、社会的、職業的または他の重要な領域に障害を引き起こしている。
出典元:大人の発達障害 生きづらさへの理解と対処(P18) 著者:市橋 秀夫
というように記されています。
つまり、「コミュニケーションの障害」では、
- 話し言葉の理解が苦手
メタメッセージ(言語以外のメッセージ)を受け取るのが苦手
「イマジネーションの障害」では
- 展開を予想できない
- 全体の中の位置づけができない
ことで、次にやることがわからないため、準備ができないという社会的な問題が生じます。
また
- 関わる人の気持ちがわからない
- タイムトラベルができない
という問題が生じます。
この「コミュニケーションの障害」「イマジネーションの障害」
というのが社会的コミュニケーション及び相互反応における持続的な欠陥にあたります。
「同一性の保持の傾向」
- 固執傾向
- 変化に対する抵抗
- 相手の立場に立てない
というのが、限定された反復的な様式の行動、興味、活動を示しています。
どういう検査でASDとわかるの?
自閉スペクトラム症の診断は、総合的な問診、検査結果を受けて診断していきます。
- 臨床的診断(行動観察、生育歴の聞き取り)
- 行動観察
- 生育歴
- ADOS(エイドス)
検査ようぐや質問項目を用いて、観察し評価していきます。会話のできない乳幼児から成人までの方まで、幅広く対応しています。 - ADI-R
対象者の行動の統計、詳細な特徴(社会性、対人コミュニケーション、限定的な行動・興味・反復行動等)をとらえるための検査です。精神年齢が2歳以上〜成人まで対応しています。 - PARS-TR
自閉スペクトラム症のある方の特性理解を深めるための日常の行動の視点から簡単に評価できるアセスメント方法です。 - その他合併症の検査
その他知的障害や、てんかん、感覚過敏などの合併症や障害があるかを検査する場合があります。 - 知能検査
精神年齢やIQ(知能指数)、知能偏差値などを測定する検査です。代表的ものは、ウェクスラー式知能検査などがあります。 - 脳波検査
転換との合併症を伴っている場合があるためCTやMRIなどの脳波検査を行う場合があります。 - 感覚プロファイル
発達障害の人たちの感覚の特性を客観的に把握するために使われる尺度を言います。例えば、聴覚、視覚、触覚、などの125項目の感覚について構成されています。
ASDの治療薬はあるの?
発達障害の薬物療法は症状を軽減するためのものです。しかし、症状によっては、大変効果がある薬があります。しかし、現在、自閉スペクトラム症を治す薬はないと言われています。そのため、自閉スペクトラム症の薬は対処療法として活用されています。
また、抑うつ状態、強迫症などを合併している場合にも服薬をします。
自閉スペクトラム症の対処療法で幅広く使われている薬としては、「アリピプラゾール(エビリファイなど)」という薬があります。
少量でも効果があると言われており、実際に、発達障害の症状に苦しんでいる人の中には、薬物療法で「すごく楽になった」という声も聞かれています。
「アリピプラゾール」は下記のようなものに効果的と言われています。
- 知覚過敏
- タイムスリップ現象(学生時代に叱責されたシーンがつい最近のように思い出される)
- 気分が不安定になっている など
発達障害とは?〜少数派の脳を持った人たち〜
ASDとは、発達障害の一つですが、そもそも「障害」「発達障害」とはどのようなことを指すのでしょうか?
「障害」とは、原因を正せない、正しても治療につながらなず、今ある困難をどのように軽減させていくかを取り組むことを指します。
また、「発達障害」とは、他の障害とは違う、時代が生み出した事例を言います。
つまり「現代で生きづらい少数派の脳を持った人たち」です。
元々は、狩猟採集時代には、とても有用な能力を持った人として活躍していました。しかし、現代が進むにつれて少数派の脳を持った人たちが生きにくくなってきました。
そして、現代、仕事に求められることとして、「正確さ」「スピード」「コミュニケーション力」を求められるようになり、より生活しづらくなりました。
違和感かもしれませんが、現代では、「発達障害」などと呼ぶようになりました。
つまり、「脳は少数派なだけであり、自分自身を否定する必要性はない。」ということです。
もし原因がわかったのであれば、「自分自身が悪いわけではなかった。」「育て方の問題ではないんだ。」と思って欲しいです。
まずは、自分自身を認めることから初めて欲しいです。
「ASD=発達障害=ネガティブ」ではないのです。
あくまでも、得意不得意が他の人よりも顕著に現れてしまうというだけのことなのです。
自閉スペクトラム症(ASD)は、脳の機能障害によって、コミュニケーション障害やイマジネーション障害、同一性保持の傾向が現れると言う特性があります。
しかし、「スペシャリスト」の傾向があるため、狭く深く専門性(職人や研究者等)を築くことができる性質を持っています。
そうした得意なことを生かすことで、社会に貢献している人は沢山いるのも事実です。
まとめ
ASDについてのまとめです。
- ASDとは従来の自閉症とアスペルガー障害のことを指すこと
- 障害の度合いや特性は十人十色で、自閉スペクトラム症は、情報の入力と処理が苦手という特性がある。
- 発達障害の薬物療法は症状を軽減するためのものだが、自閉スペクトラム症を治す薬はない
- ASDだからと、自分自身を否定する必要はないこと
発達障害が見つかるということは、不安なこともたくさんあると思います。しかし、発達障害が見つかったらと言って、できないことがあるわけではなく、むしろできることもたくさんあり、他の人よりもずば抜けた才能を持っている可能性もあります。そのため、気落ちする必要性はなく、むしろ堂々と胸を張って、これからの生活を営んで行って欲しいです。