皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。 今日のトピックは「発達障害の検査内容」についてです。
突然ですが、発達障害の検査内容をみなさんご存知でしょうか?
腹痛や風邪気味の時は、行くべき病院や検査内容について何となく分っているため、受診の際あまり不安感は無いと思います。
では、何も分からない病院でどんな検査があるか知らないとどうでしょう?少し怖い感じがして行きにくい方もいらっしゃると思います。


目次
診断が確定するまで約2~3ヶ月

検査内容の前に、まず知っておいていただきたい事があります。それは、発達障害を判断するためには複数の検査を行っていく必要があるということです。
そのため、1回や2回の診察・検査では簡単に確定することが出来ず、診断が確定するまでに2~3ヶ月ほどの期間が必要になる場合があります。
また診断基準の一つとして、症状が一定期間続いているという事も重要ですので、時間をかけてみていく必要があるのです。

初診では主に問診
発達障害の国際的な診断基準には『DSM-5』と『ICD-10』というものがあります。医師や病院によってどちらかを使用して、発達障害の有無とタイプを判断していくのです。
まず初診では状況を把握し、暫定的な診断をして今後医療機関で対応していくべきかを判断する必要があります。

受診2〜3回目から検査開始
医療機関で対応する必要があると判断された後に、改めて適した検査や問診が行われます。
診断は大きく2つに分ける事ができます。
医学的診断
1つ目は医学的に必要な情報を問診や検査から知る方法です。
- 脳波検査、MRI検査
- 本人の悩みや困りごと
- ご両親や周りの人の悩みや困りごと
- 言語能力、コミュニケーション能力の把握
- 感覚、睡眠、食事摂取についての発達状況
- 経過観察 など
子どもの診察の場合は、保護者から聞き取ることが多いため、あらかじめ困りごとを考えてまとめておくと良いでしょう。
心理診断
2つ目は発達状況や行動、知的能力などの心理検査をして把握する方法です。
- 母子手帳や問診で生育歴の把握
- 知能検査(WISCなど)
- 自閉症傾向の検査(AQなど)
- 発達検査
- 行動のチェック など
診断内容や方法は、状態や病院によって変化しますので、あくまで一例としてとらえてください。
専門用語なども出てきましたので、次はそれぞれの詳細についてお伝えします。
それぞれの検査内容や目的
脳波検査、MRI検査
てんかんなどの合併症や、脳に何か疾患がないかを調べるために行われます。
脳の病気の一つで、神経の伝達に異常をきたしている状態です。てんかん発作と呼ばれる発作が繰り返し起こる事があり、けいれんを起こしたような状態になる場合があります。
知能検査ーWISC
発達障害は基本的には知能の低下が無いとされています。そこで、この検査を行う事で知的障害の有無の判断に役立てることができるのです。
ウェクスラー式知能検査というものの児童版がWISCと呼ばれています。基本的には臨床心理士と1対1で行われる知能指数(IQ)を調べる検査です。
知能の指標となる数値で、高いほど知能が高く、低いほど知能も低い事を表わします。検査方法などによって分類基準が異なりますが、ウェスクラー式の場合では次のようになります。
・非常に高い:130以上
・高い:120~129
・平均の上:110~119
・平均:90~109
・平均の下:80~89
・低い(境界域):70~79
・非常に低い:69以下
参考元:ウィキペディア
WISC以外には田中ビネー知能検査などがよく使われているようです。
自閉症傾向検査ーAQ
AQは自閉症傾向を測定することが目的とされ、自閉症スペクトラム障害に対してのスクリーニングテストとして使われています。
検査項目には
- 社会的スキル
- 注意の切り替え
- 細部への注意
- コミュニケーション
- 想像力
の5つの項目があり、それぞれは自閉症傾向において特徴を表わす内容となっています。特性を知る手段として使われるため、この検査だけで自閉症と診断するものではありません。
発達検査
発達の検査には様々な方法がありますが、基本的には、どれも子どもの心身の発達度合いを調べる検査です。
日本でよく使用される検査の一つとして『新版K式発達検査』というものがあり
- 姿勢、運動
- 認知、適応
- 言語、社会
の3つの領域について評価が行われ、特に3歳以上では姿勢・運動以外の面に重点が置かれ、発達指数と発達年齢を知ることができます。
生後100日後から成人にまで幅広く適応される検査です。
行動のチェック
病院内だけでは、普段の行動という部分は見ることができません。しかし、日常の中にこそ重要な判断材料があります。
そこで、行動をチェックするためのチェックリストが役立つ場合があるのです。代表的なものにCBCLというものがありますが、普段の状態を良く知る保護者や養育者が記入する方法がとられています。
状態を把握するためには、医師だけでなく保護者や養育者の協力も必要なのです。


病院受診に行く前に

「発達障害かもしれない」と考えたとき、すぐにどこの病院に行ってどのように説明すれば良いか分かる方は少ないと思います。そこで、まずは電話でも良いので次の場所に相談するのがオススメです。
発達障害についての専門機関
- 発達障害者支援センター(相談窓口の情報)
- 子育て支援センター(市町村の担当窓口)
- 児童発達支援センター(市区町村の担当窓口、または発達障害者支援センターにお問い合わせ)
などがあり、大人の場合では加えて障害者就業・生活支援センターなど就業に関する相談を行う窓口もあります。
これらの窓口にまず相談をすることで、病院選びや今後の流れなどを把握することができるため、不安や悩みも解消しやすいです。事前に準備するものも、この時確認しておくと良いでしょう。
診察時にあると役立つ物
発達障害を判断するためには様々な情報が必要になります。そこで、事前に準備しておくと判断に役立つものがこちらです。
- 母子手帳
- 学校の通信簿
- 学校、保育園、幼稚園の連絡ノート
- 宿題やテスト、ノート、学校の課題 など
言葉で説明しにくい事や異常に思う行動などは、「動画で撮っておく」と説明しやすくなります。

動画を撮るなどして、医師に伝える事も色々と用意しておくとスムーズにいきそうですね。

準備の一つとして、最後に注意していただきたいことがあります。
正しい診断には正しい説明が必要

最終的には医師が総合的に見て診断名をつけることになります。検査を行うのは医師や臨床心理士などの専門職です。
しかし、子どもの場合は特にですが、問診に応えるのは保護者になります。また、チェックリストなどに記入をするのも保護者の役割です。
つまり、素人の意見も重要な判断材料になるという危うさがあります。チェックリストについてはこのような意見もありました。
保護者が「はい、いいえ」で答えて、当てはまる項目が一定数以上あれば、自閉症の可能性があるとされるものです。設問には親が答えるわけですから、判定は親の主観にゆだねられることになります。
つまりチェックリストで陽性という結果になっても、半数近くは定型発達の子どもである可能性もあるのです
引用元:NHKはーネット
誤診を防ぐためにも、焦らずにじっくり子どもを見ていく必要があります。チェックリストで分からない事があれば、迷わず医師に確認しましょう。
発達障害と診断されると様々なサービスも受けられる
発達障害の診断がつくと、様々な福祉サービスを受けることができ、発達に大きく役立てることができます。例としてこちらをご覧ください。
障がい児のために運動と学習で療育を行う児童発達支援と放課後等デイサービス
さらに、障害者手帳を発行することで、より多くのサポートを受けることができるようになります。合わせてこちらもご覧ください。
まとめ
病院受診の不安が少しでも軽くなるように、今回は発達障害の検査内容についてお伝えしてきました。
正しく診断をするためには、様々な検査を行い判断していく必要があります。さらに、普段の行動や言動をじっくり観察していき、医療関係者だけでなく保護者の協力も不可欠という事が分かりました。
すこしでも悩まれている方は、一度相談窓口に電話だけでもしてみると、今後の見通しが立ち楽になるかもしれません。一人で抱え込まずに皆で一緒に考えていきましょう。