子どもに素行障害が疑われる時、どのような機関に相談すれば良いのでしょうか。
ここでは、適切な相談先や主な治療方法についてご紹介します。

素行障害に関する相談先

反抗挑戦性障害やADHD、うつ病などの合併症が見られることもある素行障害は、年齢を重ねるにつれて症状が複雑化する傾向にあります。
その上、年齢が上がってからの治療は、素行障害のある子どもが治療に抵抗することがあるため、早期の診察・治療が大切です。

年齢相応の社会的規範を守ることができない、もしくは他者の人権侵害行為を繰り返す場合は、以下の専門機関に相談するか、もしくは医療機関を受診しましょう。

児童相談所

全都道府県と政令指定都市に最低1つ以上設置されている、児童福祉の専門機関です。
「子供の養育に関する相談」「障害に関する相談」「性格や行動の問題に関する相談」など、育児に関する相談ができます。

全国精神保健福祉センター

各県と政令市にほぼ一箇所ずつある保健・精神保健に関する公的窓口です。
精神保健福祉に関する相談ができる機関で、精神科医・臨床心理技術者・作業療法士・保健師・看護師などの専門職が配置されています。
相談については、予約制や健康保険の適応のあるところもあるので近くのセンターに問い合わせてみましょう。

精神科

心の症状や病気を扱う科です。不安や抑うつ、不眠、イライラ、幻覚、幻聴、妄想などの心の症状に対する治療を行います。

心療内科

心と体はもちろん、患者を取り巻く環境にも考慮して扱う科です。
ほてりや動悸などの身体的症状と、患者の社会的背景や家庭環境なども考慮し治療します。
素行障害の場合、精神科でも心療内科でも、どちらを受診しても構いません。

素行障害の治療法

素行障害の治療法は、薬物療法、ペアレントトレーニング、認知行動療法などが主です。
素行障害のきっかけとなる原因は個人差があり、その原因に合った根本的な治療法が必要です。

薬物療法

素行障害の原因に直接的効果を発揮する薬はまだ開発されていません。
一般に興奮や衝動性などの症状を抑える薬が処方されます。

ペアレントトレーニング

保護者が子どもと良好な関わり方ができるように学ぶプログラムです。
親は子供の反抗的な行動の動機や行動パターンを理解し分析することで、問題となる行動に対し上手に対応できることを目標とします。
一例として、「子どもの良い行動を褒める」「望ましくない行動をした場合はルールに沿って一貫した対応をとる」「達成しやすい指示をして積極的に褒める機会を作る」「小さい段階で目標を定める」などがあります。

ソーシャルスキルトレーニング(SST)

素行障害を持つ本人に支援策として実施されるトレーニングです。
ソーシャルスキルトレーニングは、人が社会で他の人と関わりながら生きていくため欠かせないスキルを身につける訓練のことです。
社会性を身につけるにあたって、遊びや勉強、スポーツを活用します。
それでも根本的な原因解消が難しい場合には、自宅を離れた治療をすることもあります。