皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害と視覚優位」についてです。
けれど、なんとなくで捕えている部分がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は「視覚優位」について詳しくご説明していきたいと思います。
目次
視覚優位とは?
発達障害の有無にかかわらず、私たちは毎日何かしら情報を理解、記憶し、表現しています。その方法は複数あると考えられています。
物事をどう認識するか
人は何かを認識するとき、様々な観点からその情報を得て、理解し、表現します。その観点をバランスよく持っている人もいれば、何かに特化している人もいるでしょう。
情報に対する観点を、視覚、言語、聴覚のどの部分を重視しているかということです。
例えば「風」と聞いたときに何を思い浮かべるかは人によって違います。視覚優位であれば、風に吹かれる木々や、流れる雲。言語優位者なら「風」という文字そのもの。聴覚優位なら風の音を思い浮かべることでしょう。
視覚優位者
物事をイラスト、写真、映像などで、視覚的な形で理解、表現がしやすいタイプです。目かの情報を優先する為、耳からの情報が疎かになる場合があります。
言語優位者
文字や文章を読んで、そこから映像にしたり図式にしたりして物事を考えます。またおしゃべり(言葉による表現)も得意なタイプです。
聴覚優位者
音に敏感で、物事や文章を見たり読んだりするより、口頭で説明など耳から入れる音として情報処理する方が得意なタイプです。なので、遠くから聞こえる音に反応したり、些細な物音が気になってしまうという場合もあります。
どの認識・表現の仕方が優位なのか、それが分かると子育てにおいて大きなヒントになるでしょう。
うちの子は何優位?
前出の本を執筆した本田先生による「うちの子は何タイプ?」という視覚、言語、聴覚、どれが優位なのか簡単に診断するサイトがあります。ぜひ参考にしてみてください。
サイトはこちら→ kodomoe 認知特性を知れば子供が伸びる!
視覚優位者の観点
視覚優位の場合は、その言葉の通り、目から入ってくる情報を理解することが得意です。口頭で何か言われるよりも、 絵や写真、動画など視覚的に示された方が飲み込みやすい傾向にあります。
また、思考も言葉ではなく絵や映像のような形で行うことが多く、言葉にして伝えることが難しい側面があります。
発達障害とは
さて、ざっくりと物事を認識する特性、また視覚優位についてご説明してきました。その子供の特性を理解することが子育てのヒントになるとお話ししましたが、その前に、発達障害とはどのようなものであるか、押さえておきたいと思います。
発達障害とは
発達障害は大きく、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の三つに分けて考えられます。共通点は生まれつき脳の発達の仕方が通常と異なることですが、幼いころから分かることもあれば、大人になってから分かることもあります。
症状は個人によってさまざまです。世の中の「当たり前」と思われることができずに、なんらかの生きづらさを抱えて生活している人が多いでしょう。
しかし本人の得手不得手を周囲も理解し適切なフォローをしていくことで、得意を伸ばし、苦手をカバーし、持っている本来の力がしっかり生かすことができるようになります。
自閉症スペクトラム障害(ASD)
コミュニケーションにおいて、言葉をそのまま受け取ってしまう(比喩が分からなかったり、行間や場の空気が読めない、曖昧な言葉に混乱するなど)ため、他者とのコミュニケーションに難しさを感じることがあります。
また興味を持ったことに集中するあまり、他がおろそかになってしまったり、物事や行動に強いこだわりを持ち、その変更を極端に嫌うことがあります。
多動性障害(ADHD)
大きくふたつ特徴があり、ひとつめは多動や衝動性。これは授業中じっとしていられなかったり、静かに待つことが苦手で他人の邪魔をしてしまうなどです。
ふたつめは不注意。これは何かに集中できず気が散ってしまいやすい、順序だてて物事に取り組めないなどとして現れます。
学習障害(LD)
知的な遅れがないけれども、読むこと、書くこと、計算することのどれかについて(ひとつに限らないこともあります)、修得と表現がとても困難であるケースです。
それぞれ、読字障害、書字表出障害、算数障害と呼びます 。
発達障害だとより視覚優位?
実は発達障害の診断を受けている人といない人での視覚的な情報の処理方法について、比較研究するものがあります。
その一部をご紹介します。
自閉症スペクトラムなど発達障害のある人の方が,細部の些細な変化に注意が向きやすいことや,モデルとなる模型を提示し,同じ模様を決められた数の積木を用いて作成する,積み木模様の成績が優れているということが明らかにされている。
引用元:特集B 障害者と映像
傾向の話であり、必ずそうだというわけではありませんが、発達障害の人の方が、視覚的な情報に敏感であることが多いようです。
視覚優位を生かした子育て
それでは、もし発達障害のお子さんが視覚優位と分かった場合、どのように子育てに生かしていけばよいのでしょうか。
言うだけでなく「見える化」する
大場美鈴さんのこのような記事が、東洋経済ONLINEの「『グレーゾーンの子』は接し方でこうも変わる」に載っています。
長男のしつけについて、何度言葉で注意しても、本人に定着する様子はなく、子育てに困難を感じていました。まさに「言っても言ってもわからない」という状態です。
けれどその長男は、外出時に「危ない!」と言っても立ち止まらないけれど、 道路の赤い三角の標識の下では、ぴたりと止まることのできる視覚優位でした(もともと 道路の交通標識や、マーク、サイン・シンボル、数字、記号などが好き )。
長男からすると「言われたことは消えてしまう」(頭に残らない)ものなのだそうです。そこでよく言う小言を絵や標識として書いて残すようにしたところ、同じ注意を繰り返さなくてよくなりました。
参照元:東洋経済ONLINE 「グレーゾーンの子」は接し方でこうも変わる
「言っても聞かない子」ではなく「見えるように、丁寧に教えればわかる子」として接しているそうです。 これらの工夫によって、小言を言う回数が減り、子育ての労力も軽くなったと書いてありました。
分かるように伝えるには?
それでは具体的にどのように示すのが良いのでしょうか。
すばり「文字やイラスト」「本人視点の動画」などが効果的です。
文字やイラスト
文字やイラストを用いて説明する方法があります。ご自宅でお子さんに合うように作ることもできますし、以下のような商品もありますので参考にしてみてください。
発達障害の子が迷わず動ける!絵カード PriPri発達支援 1 /世界文化社/佐藤曉posted with カエレバ楽天市場AmazonYahooショッピング
この本の表紙のように 「食事の前に『いただきます』」を言う、「トイレを済ませたら、水を一回流す」などを一枚で示すことで、視覚優位の子供はそれらの行動を理解、記憶し、実行しやすくなります。
動きのあるものは動画で
場合によっては、動画の方が伝わりやすいこともあります。
モデルを示したり,手を添えたりしてもできなかった歯磨きが,タブレットに歯磨きの手順を具体的に示し,その動画の入ったタブレットを鏡の横に置き,タブレットに映る歯磨きの動画と鏡に写る自分の姿を比較させながら指導すると,短時間の指導で歯磨きができるようなったという経験をしたことがある.
引用元: 特集B 障がい者支援と映像
これは他にも応用できると思いますが、これについては、作業する本人の視線、の動画であることが大切です。
本人の視線とは、以下の動画のような形式のことです。 対面で折り紙の折り方を教えてもできなかった子が、このような動画を見ることで、間違えず完成させることができたという例もあります。
参照元: 特集B 障がい者支援と映像
専門機関と協力する
これらをご家庭の中だけで行うには、難しいこともあると思います。そういった場合、地域の保健センターに相談したり、心療内科や精神科の先生に助言を求めたりと、専門機関に関わってもらうことも大切です。
以下に発達障害の診断や検査に関してまとめた記事へのリンクもご用意しましたので、ご参照ください。
また、発達障害児のためのデイサービスなどの利用も考えられます。子供ひとりひとりの特性に応じて、専門家が療育を行う場です。
継続してお子さんを見ていってくれるため、より本人に沿ったアドバイスを受けたり、気軽に相談することができます。これらは全国にあります。
本サイト、放課後デイサービス・アップは、このサービスを行っています。具体的にどのようなものなのか知りたい方は、次の記事もご参照ください。
まとめ
このように本人の特性を知ることで、子供も理解しやすい方法を取ることができます。そうすることで保護者の方もストレスを減らすことができ、お互いにとって良い形での子育てができるのではないかと思います。
今回は発達障害児が視覚優位の場合についてお話しさせていただきました。今後何かの参考になれば幸いです。