皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害とピアノの関係」についてです。」
「ピアノは発達障害を抱えた子どもにとって有効的である」などという話、聞いたことがありませんか?
ただ、実際に自分の子供にピアノが合っているのか、周りに迷惑をかけることがないのか等、色々と考えてしまう点はあると思います。
この記事では、ピアノが発達障害に有効であると言われる理由、そしてピアノを習う際の注意点や教室について記していきます。
目次
発達障害とは?
発達障害とは、先天的な脳機能障がいのことを指します。
その特性により、自閉症(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害、チック障がいなどに分類されます。
そして、発達障害における特性ですが、個人差が大きいという特徴があります。
二つ以上の発達障害を同時に抱える人もいれば、その強度も、その分類のどの特性が発現するかも、人それぞれなのです。
自閉症スペクトラム障害(ASD)
自閉症スペクトラム障害とは、自閉症、アスペルガー症候群、その他 広汎性発達障害を含みます。重度によって細かい診断名が下されます。
この特性として、以下のものが挙げられます。
- コミュニケーションが苦手
- 言葉の発達の遅れ
- 集団行動が苦手
- 興味に偏りがある、こだわりが強い
- 社会性の障害
全体的な特徴として、周囲の環境とどのようにか関わっていくのか、という点に困難を感じることが多いでしょう。
筆者の妹はASDの中でも重度の自閉症に分類されます。通う小学校は特別支援学校、高校を卒業した今でも施設に通い、日常的に会話をすることはまだ困難な状況です。
一方、同じASDを持つ筆者の知り合いは、アスペルガー症候群を抱えています。「空気を読む」「相手の意図をくみ取る」ことが難しいと本人は言っていましたが、成長してからの言語の発達には支障もなく、小学校から大学まで、発達障害を持たない人と同じカリキュラム下にいました。
同じASDでも強度の差で、二人の特性はかなり違うことがわかります。
注意欠陥・多動性障害(ADHD)
ADHDの主な特性はその名の通り、通常の値と比べて不注意であることが多かったり、じっとしていられない、などといった様子が見られます。
より詳しい特性は以下。
- 集中できない
- じっといすに座っていることができない、できてもそわそわする
- しゃべりすぎる
- 順番を待てない
- 物事を整理して考えることが苦手
全体的にエネルギッシュな印象を与えるのが、この分類の特性と言えるかもしれません。
筆者の友人の中に、ADHDを持つ人は何人かいますが、言われないと分からないというくらい、その特性はこちらからは感じられませんでした。
一方、知り合いの子どもでADHDを持つ女の子がいますが、常に元気いっぱいで走り回っています。何か指示を出す場合もただ声をかけるだけではなく彼女の肩をつかみ、しっかり顔と顔を合わせないと指示が通らないようです。
自閉症と同様、ADHDにもこのように強度の差が出てきます。
ピアノが発達障害に有効な理由
ピアノは、習うときの環境が発達障害を持つ多くの子の特性に合っている、と言われています。
またピアノを弾くことが一種の脳トレとして、脳の発達を手助けしてくれるとも考えられているのです。
これら二つの側面から、ピアノと発達障害との関係について説明をします。
特性を考慮した上での理由
ピアノを教わるときは、先生と生徒のマンツーマンのレッスンで行われることがほとんどでしょう。
この一対一で教える制度が、発達障害を抱える子供たちの特性に合っている、と言えるのです。その理由は以下。
- 集団ではないため、自分のペースで進めることができる
- 周りの子供たちと比べられることがない
- 自宅でのレッスンなら落ち着いて練習できる
自分のペースで進められるということは、ペースをゆっくりに落とす事だけではありません。
ピアノを弾くことに強く興味が偏った場合やこだわりができた場合は、周りに合わすことなく早く進めることもできるのです。
また、レッスンの途中集中できなくなったりした場合は、本人に合わせてこまめに休憩をとることもできます。
そして、周りの子供たちと比べられない事により、発達障害児の中では少なくない「自身の喪失」「できない自分を責める」というリスクを防ぐことができます。
このような現象は積み重なると二次障害につながっていくので、習い事だけではなく普段の生活でも気をつけましょう。
発達障害を抱える子どもは周囲からの理解を得られず過剰な叱責を受けたり、仲間外れにされるなどのストレスに晒されやすい。
そのようなストレスが積み重なると、身体・精神症状といった二次障害を引き起こす原因となる。
参照元:厚生労働省、発達障害情報・支援センター、kaien
脳科学的な理由
ピアノを弾くということは、譜面を見ながら音を聞き、指・場合によっては足も同時に動かすということ。このように様々な刺激と動きがいっぺんに行われる事によって、脳の構造に良い変化がおきるようです。
具体的にどのようなことが起きるかの内容は以下。
- 言語に関係する神経束(軸索)が5倍ほど太くなる
- 感情や思考を司る小脳の機能向上
- 記憶に関係する海馬の機能向上
- 生活において必要不可欠である「考える」「感情をコントロールする」「発想」などといった機能を司る前頭前野の活性化
- 感覚の認識や複雑な動作を司る頭頂葉の活性化
- ワーキングメモリの強化
ワーキングメモリとは情報を保持しつつ処理する能力の事を指します。
一般的に発達障害を持つ子どもたちは、このワーキングメモリが弱いと言われていますが、ピアノを弾くことにより改善が見込めるのです。
このような脳の構造変化から、ピアノを弾く事は発達障害を持つ子どもたちに有効であると考えられています。
実際にピアノをすることによりADHDが改善されたという研究もあり、自閉症を抱える子どもの言葉の数の増加にも一役買っているかもしれないとも言われているのです。
さらに、これ以外にもピアノを弾く事には精神集中や、リラックス効果があると考えられています。
参照元:PTNA、ピアノ教室ネット、Active Brain Club、脳外科医澤村豊のホームページ
ピアノを習う際の注意事項2点
ピアノを習い始める前に、気を留めておいてほしいことが二つあります。
それは、発達障害を抱える子の中で持つ人も少なくない「感覚過敏」と、通うピアノの教室についてです。
一つずつ見ていきましょう。
その1:感覚過敏
感覚過敏とは、身体の感覚が通常と比較して過敏になっている状態の事です。
例えば、視覚が過敏である場合は「視覚過敏」、嗅覚が過敏である場合は「嗅覚過敏」といった表現をします。
視覚過敏であれば、日中の陽の光やLED電球の光が吐き気がしてしまうほど耐えられなかったり、嗅覚過敏であれば柔軟剤や香水などの香りですぐに気持ち悪くなってしまう、というようなことが起きてしまうでしょう。
そのため、もし子どもに感覚過敏があると知らずピアノの教室に行き、そこで何かしらの刺激で感覚過敏が触発されてしまうとレッスンどころではなくなってしまいます。
感覚過敏がある、もしくはピアノ教室に着いてからでもその事に気づいた場合は、子どもにとってレッスンが受けやすくなるよう工夫しましょう。
例えば、視覚過敏であるならばサングラスをかける、部屋の照明を暗くする、と言ったことができます。
触覚過敏で椅子の座り心地が耐えられない場合は、クッションや何か別のものを椅子に敷くこともできます。
参照元:子供情報ステーション、teens
その2:ピアノ教室の選び方
一般のピアノ教室でも発達障害を抱える子が受け入れてもらえる可能性もありますが、そう明記されていない場合は事前に確認をとりましょう。
また、発達障害を抱える子供たちのためのピアノ教室が、近年増えてきています。
以下のサイトで、発達障害児も受け入れ可能のピアノ教室を確認できます。ぜひ参考にしてみてください。
上記のサイトでなくても、「お住いの地名 発達障害 ピアノ教室」とネットで調べて近場に個別で探すこともできるので、ぜひお試しください。
そして、発達障害の子も受け入れているからといって、その教室がお子さんにピッタリの場所ではない可能性もあります。
もし一軒目で問題があるようならば、また別の教室を見て回ることもしてみるといいかもしれません。
また、発達障害とピアノに関するツイートをご紹介します。
筆者の妹も、一度発達障害の子のためのピアノ教室に行ったことがあります。
通常よりもかなり遅いスピードでレッスンは進みましたが、本人にとって無理なく進められるペースで良かったのだと思いました。
ピアノの上達のために習う、というよりも、「音楽・楽器に触れて楽しむ」ということによりフォーカスが当てられていると感じました。
妹は最終的に飽きてやめてしまいましたが、同じ時期にピアノを始めた彼女の友達は今でも楽しく続けているそうです。
まとめ
ピアノを弾くことが発達障害を抱える子供たちにおすすめできる理由は以下の二つに分けられます。
- 発達障害の子の特性に合っている側面が多い
- ピアノを弾く事によって脳の構造に良い変化を起こすことができるかもしれない
ただ、習う前の注意点もあります。
- 感覚過敏がないか確認する・あるなら対応
- 適切なピアノ教室を探す
以上の内容を踏まえて、お子さんに適切なピアノ教室をぜひ見つけてください。
放課後デイサービス・アップでは、 発達障害を抱える子供たちに「集団生活の中で生きる力を身につけさせる」 を理念としています。
そしてそのプログラムにはピアノに期待できる効果と同様の、ワーキングメモリの強化、集中力向上、コミュニケーション能力の向上を図るものなどもあります。
発達障害を持つ子の子育てに関する相談などについても専門知識を持ったスタッフがお手伝いできるとおもうので、ご興味を持った方はお気軽にお問い合わせください。