皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場になることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害 ノート術」についてです。
発達障害児は「ノートを取る」のが苦手なせいで、勉強まで苦手意識を持つ可能性があります。
今回は発達障害児向けのノート術をまとめました。参考にしてみてください。
解決方法を見ていきましょう。
目次
「ノートを取る」のが苦手だと〇〇を失くす
「ノートを取る」のが苦手で引き起こされる最大のデメリットは、「自分はダメだ」と自信喪失してしまうことです。
うまくノートをとれない、苦手といった失敗体験を繰り返すと「自分は勉強ができない」と自己喪失します。
自己喪失した結果、得意だったはずの話す・聞くといった分野までもが「勉強が苦手」という意識に塗りつぶされデメリットが発生してしまいます。
デメリットを発生しないためには個々人の状況をよく理解したうえで問題点に対応した解決方法を選びましょう。
「ノートを取る」のが苦手な理由4選
「どんなに頑張ってもノートをとるのが苦手」「ノートは取れても肝心の先生の話は全然聞いてなかった」という状態は、発達障害の中でも学習障害(LD)の方が起きやすい傾向にあります。
原因は主に4パターンに分かれていますので、一つずつ確認していきましょう。
学習障害(限局性学習症、LD)は、読み書き能力や計算力などの算数機能に関する、特異的な発達障害のひとつです。
的確な診断・検査が必要で、一人ひとりの認知の特性に応じた対応法が求められます。
ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)などを伴う場合には、それらを考慮した配慮、学習支援も必要となり、家庭・学校・医療関係者の連携が欠かせません。
引用:学習障害(限局性学習症) | e-ヘルスネット(厚生労働省)
原因その1.同時進行が苦手
実際の学校の授業では先生が説明をしながら黒板を書いていきます。
通常先生の説明を聞きながらノートをとりますが、発達障害の場合は同時進行が苦手なため、先生の話を聞くかノートをとるか、どちらかを優先するしかなくなります。
どちらかを優先した結果以下の状況が発生します。
- 先生の話に集中してたのでノートは取れなかった
- ノートに集中したので先生の話は聞けなかった
- ノートは取れず先生の話も聞けなかった
原因その2.記憶力が貧弱
実際に黒板を書き写すという作業は、基本的に1~3の繰り返しです。
- 黒板を見る
- 書き写す部分を一時的に記憶する
- ノートに書く
ところが発達障害の場合「書き写す部分を一時的に記憶する」という作業が大きな壁となって立ちはだかります。
情報を一時的に記憶、処理する能力をワーキングメモリといいます。
発達障害の場合ワーキングメモリの機能が弱い傾向にあり「黒板の内容を少しずつしか覚えられない」「覚えたけどノートに書く時点で忘れてしまう」といった状況が発生します。
語彙(ごい)が少ない場合
語彙(ごい)が少ない場合も一時的に記憶する作業を困難にします。
ただし語彙が少ない方は興味のある分野の単語はたくさん覚えている場合があります。
授業に関係のある語句はあまり知らないため、覚えづらかったり一字一字書き写すしかないといった状態になります。
原因その3.頻繁に視線を動かすのが苦手
近年の研究により、視機能と発達障害との関係が明らかになってきました。
視機能とは文字通り視る機能のことで、眼球を動かすというのも視機能の一つです。
ノートをとるとき視線は、黒板からノートへ、ノートから黒板へと忙しく動かさなくてはなりません。
しかし、この視線を動かすことが負担となって、学習への悪影響につながることがあります。
原因その4.字を書くのが苦手
文字を書くのが苦手で、苦手と指摘されてしまうとさらに字を書く行為へ苦手意識を持ってしまうため注意が必要です。
中には罫線(けいせん)や方眼紙のように、あらかじめ線が描かれたノートを使うとより一層文字が書きにくいと感じる方もいらっしゃいます。
字を書くのが苦手な場合書字障害の可能性があるので本人合わせたノート術が必要です。
書字障害につきましては当ブログ内で詳しく解説されているのでご覧ください。
記事内では先生の言ったことだけではなく黒板も全部丁寧に書き写そうとして追いつかなくなってしまうケースを紹介しています。
発達障害児向けノート術6選
ノートを取るのが苦手な発達障害児に向けて実践しやすいノート術6選をまとめました。
いきなりすべてを実践するのではなく「これならできそう!」と閃いたノート術を試してみましょう。
1.キーワードだけをメモする
板書を全部ノートに取る、先生の話を全てノートに取るは大変な作業なので、これからはキーワードだけをノートにメモするようにしましょう。
キーワードさえ把握しておけば教科書のキーワードの箇所を開いて復習できます。
また授業後に教科書の当該箇所を自分のやり方でまとめることで、オリジナルのまとめノートが出来上がり自信にもつながります。
メモのとり方について当ブログ内で別途記事がありますので、興味のある方は参考にしてみてください。
2.板書を写真にとる
タブレットなどで板書を写真に撮るという方法もあります。
先生によっては板書計画を作成している方がいるので可能ならば計画書を閲覧・複製してもらえると効率が良いですね。
ただしどちらも担任の先生や学校側から事前に許可が必要です。
生徒や保護者から許可をもらうのが難しい場合は、医師や特別支援コーディネーターといった専門家の方から説明してもらうよう対応をとりましょう。
それでも対応が難しい場合はお友達のノートをみせてもらって書き写す・写真に撮る方法があります。
3.うまくノートが取れなくても責めない
字が美しくてノートをきれいに取れればいいのですが、そもそもノートは後で読み返して復習するときに使用するのが目的。
つまりどんなに汚い字でノートを取ったとしても、自分が理解できれば目的を達成していると言えます。
せっかくお子様が頑張って書いたノートに「字が汚い」と指摘してしまうと、お子さんの中でノート嫌いや勉強嫌いの意識が生まれる可能性があるため、保護者の方は注意してください。
ノートを取る苦手意識を克服し勉強に興味や楽しさを感じてもらうためには、時に「読めるならOK」とハードルを下げてみてはいかがでしょうか。
4.予習をする
事前に予習をしてから授業に臨めば、どこがポイントか理解したうえで授業に集中できます。
授業に対して余裕も生まれ要点を理解してノートを取れますし、復習がスムーズになります。
5.ビジョントレーニングを行う
視機能はビジョントレーニングにより改善できる場合があります。
単純な訓練を毎日繰り返し積み重ねる必要があるため根気が必要ですが、黒板とノートの視線の往復へのストレスが減り、読み飛ばしが減るなどの効果も期待できます。
ビジョントレーニングについては子供も大人も簡単に参加できる内容の動画がYouTubeにありましたので紹介します。
6.使う道具を工夫する
発達障害のお子さんの中には罫線や枠が苦手な場合があります。
お子さんは一生懸命罫線や枠内に文字を書こうとするのですがはみ出てしまい、うまく書けなかったと悔やんでしまうからです。
書きにくさを感じないように、自由帳や枠が大きいといったノートを使用すると効果が得られる場合があります。
また書きやすい硬さの鉛筆を使うなど、本人にとって使いやすい筆記用具を使用しましょう。
大人のためのノート術とは?
ノートをとるというのは、学生時代だけの問題ではありません。
社会人になってからも会議のメモをとったり、スケジュール管理や考えを整理したり…とノート術は便利かつ必要なスキルです。
そこで、発達障害の方向けのノート術に関する書籍を2冊紹介します。
バレットジャーナル 人生を変えるノート術
自身も注意欠陥障害(ADD)であるライダー・キャロル氏自身が、生み出した画期的なノート術です。
思考・情報・タスク・時間・習慣・目標といった内容を箇条書きにすることで全てを整理・管理できると記されています。
1冊のノートと1本のペンがあれば誰でも始められる、というのがうれしいですね。
見るだけでわかる!大人の発達障害のための段取りノート術
会議に出席しても内容がつかめない、約束や締め切りを守れない、忘れ物をしてしまう、整理整頓が苦手で物をなくしてしまうなど。
「見るだけでわかる!大人の発達障害のための段取りノート術」はこまごまとしたミスを防ぐためのメモ術を教えてくれます。
オールカラーでイラスト・図解・写真が多いので、タイトルどおり読みやすく解りやすい内容となっています。
メモフォーマット付なのも嬉しいです。
まとめ
「ノートを取る」のが苦手になるとデメリットが多くなります。
ノートを取る行為そのものをサポートするのは難しくても、お子様がノートを取りやすいよう環境を整えてみませんか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。