皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「発達障害のクスリ」についてです。

医学は日々進歩し、昔は不治の病と言われた病気が、今ではクスリで治すことができるようになっています。

発達障害に対するクスリもあると言われていますが、このクスリはどういう効果があるのかご存じですか?

avatar
大竹
クスリっていうことは、発達障害を治すってことじゃないんですか?
avatar
青木
実は治す以外の様々な目的があります。誤解していると、効果が発揮されない事もありますので、発達障害に対するクスリの正しい知識をご紹介いたしましょう。

クスリで発達障害は治せない

大前提として知っておいて欲しいことは、現在の医療には発達障害を根本から治療する方法が無いということです。

そのため、クスリを使って発達障害を治すということもできません。それでは、なぜクスリで根本治療できないかをご説明します。

発達障害は脳の障害のひとつ

発達障害は、基本的には生まれつき脳の一部に機能障害がある状態だと言われています。

しかし、発達障害を引き起こす要因やはっきりとした原因、メカニズムなどは完全には解明されていない状況です。

現代医学では、脳の機能障害を直接治す方法は無いため、治療薬もありません。また、原因が解明できていない場合は、治すためのクスリも作ることができないのです。

クスリで成長させる事はできない

発達障害とは能力や成長の偏りがある状態をさす言葉です。

人間の能力を向上させる、成長を進める、発達を促すことのできるクスリは現在ありません。

クスリが必要な理由とは

根本的な治療ができなくても、発達障害に処方されるクスリには重要な役割があります。

多動性・衝動性を抑える

発達障害の中でも、特にADHD(注意欠陥多動性障害)の場合には、多動性や衝動性が見られる事があります。

ADHD(注意欠陥多動性障害)

発達障害の一つで、主に不注意・多動性・衝動性の3つの症状を特徴としています。実際の困りごととしては
・じっとしていられない
・忘れ物やミスが多い
・計画的に進められない
・興奮によって対人トラブルになりやすい など
様々な場面での影響が考えられます。

この多動性・衝動性が強く出て生活に困っている場合には、クスリによるコントロールが行われる場合があるのです。

ADHDの原因とクスリの種類

ADHDの原因の一つとして、脳内の神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンの量などに異常があると考えられています。

ドーパミンとノルアドレナリン

・ドーパミン
人間が快いと感じるときに分泌されている神経伝達物質です。
パーキンソン病や精神疾患など運動機能や精神機能への関連もあるとされています。
・ノルアドレナリン
激しい感情や運動などのストレスを感じると分泌される神経伝達物質です。
分泌により、交感神経を刺激して活動に適した状態にします。
通常は状況に合わせてバランスよく分泌されていますが、バランスが崩れるとパニック障害やうつ病などの精神機能に影響を与えるとされています。

参考元:e-ヘルスネット(厚生労働省)

そこで、ドーパミンやノルアドレナリンを調節するクスリが使われることがありますので、代表的なものをあげておきます。

薬品名/成分名効果
コンサータ/メチルフェニデートドーパミン、ノルアドレナリンを増加させることで、注意力を高め、落ち着きがないなどの症状を改善します。
ストラテラ/アトモキセチン神経伝達物質を調節し、特に不注意や多動・衝動性での、落ち着きのなさを改善します。
インチュニブ/グアンファシン脳内の神経伝達物質の働きを調節することで、ADHDの症状を改善します。

参考元:くすりのしおり

興奮や自傷行為を抑える

発達障害には自分の気持ちや考えをうまく言葉にして表すことができない、感情のコントロールが困難という特徴があります。

自傷行為には様々な理由がありますが、そのうちの一つとして不安感やストレス、拒否反応や要求を自傷行為で表現している場合があるのです。

自傷行為の例としては

  • 自分の頭をたたく、壁に打ち付ける
  • 指や手を噛む
  • 腕をかきむしる など

軽いものでは、自己表現の一つとして必要な行為であるという見方もあります。しかし、重症化する場合は怪我がひどくなる前に対処する必要があり、対処法の一つとして服薬によるコントロールが行われているのです。

avatar
大竹
自傷行為は大けがになる前に、早めに専門医などに相談した方がよさそうですね。

興奮・自傷行為に対するクスリ

興奮する原因や自傷行為につながる要因はそれぞれで違うため、状況に合わせて様々なクスリが選択肢として考えられています。

  • 抗精神病薬
  • 非定型抗精神病薬
  • 抗てんかん薬
  • 循環器用薬 など

それぞれのクスリにも多くの種類があるため、効き目などを医師と相談しながら柔軟に変更していくことも重要です。

二次障害の予防と治療

二次障害というのは、根本原因による症状が元となり、さらに新たな悩みや病気などを抱えた状態を言います。

発達障害の場合では、うまくできない事に対して自覚もあり、ストレスに対する耐性も低い場合が多いため、様々な二次障害が起こる可能性があるのです。

  • 抑うつ
  • 対人恐怖症
  • 引きこもり
  • 不安障害
  • 睡眠障害 など

特に抑うつの症状に悩まされている方が最も多い傾向にあります。

そのため、発達障害の症状に対する治療と合わせて、二次障害に対する予防や治療も重要になるのです。

この方のように、クスリを調節することで気分が楽になる場合があります

avatar
青木
二次障害は早期発見が大切です。発見が遅れると、さらに症状が拡大する可能性があります。我慢せず早めの相談を心がけましょう。

クスリ使用上の注意点

上手に使うことで良い効果が得られる場合がありますが、服薬中にはいくつかの注意点と大切な心構えがあります。

副作用にも目を向ける

どのようなクスリにも副作用があり、基本的には効き目が強いほど副作用がでる可能性も高くなります。

使用する前には、どのような副作用の可能性があるのかを確認して、副作用が出た場合は担当の医師に相談しましょう。

用法用量は正しく

クスリの効果を正しく発揮させるためには、当然ながら用法用量を守る必要があります。

自己判断で用量の調節などは行わず、不具合があれば必ず医師に相談・確認しましょう。

クスリだけでは良くならない

クスリを使用したことで、すべて良くなるわけではありません。最初にお伝えしたように、発達障害はクスリでは治せません。

強い症状を軽減することができても、その時に適切な対応をしていかなければ、状態が良くなりにくいのです。

発達障害に対する適切な対応としては、次の記事をご覧ください。

服用した結果を正しく伝える

どのように状態が変化したかが分からないと、医師としても今後同じクスリを継続した方がよいのか、または変更した方がよいのか判断が難しくなります。

学校での様子は担任に確認するなど、状態の変化に気を付けましょう。

自分だけでは判断が難しい場合は、次のようなサービスを受けていると専門的な目線で確認してもらうことができます。

運動と学習で療育を行う児童発達支援と放課後等デイサービス
avatar
大竹
クスリは用法用量を守って、変化や副作用があれば医師に相談しましょう。
avatar
青木
上手にクスリを使いながら適切な対応をしていくことが、発達障害の改善にはとても重要となりますね。

まとめ

今回は、発達障害に対して処方されているクスリは、根本治療のためではなく辛い症状を軽くするためのものという事をお伝えしてきました。

状態に合わせて様々なクスリが使用されますが、基本的には医師の処方によって使うことができるものです。

医師と相談しながら辛い症状を軽くして、状態に合わせた対応や環境を整えることで、より生活しやすくなると思います。