皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは「発達障害子供不安障害になりやすいのは本当なのか?」についてです。

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青木
発達障害の子供が不安障害になりやすいって本当でしょうか?予防策なども教えてもらえると助かります。
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大竹
発達障害と不安障害の関連性はよく聞く話ですよね。実際の所はどうなのか?また、予防や対策についてもご紹介しますね。

発達障害の子供は定常発達の子供に比べて、社会生活や日常での困難を抱えやすい為、不安障害をはじめとする二次障害になりやすいと言われます。

実際の所はどうなのか? 予防や対策も併せてご紹介していきましょう。

発達障害の子供は不安障害になりやすい傾向なのは事実

結論から言うと、発達障害の子供が不安障害になりやすいのは事実です。

発達障害をもつ子供は不安になりやすい事が、海外の研究でもわかってきていて、不安が強い状態は、人との関わりを減らしてしまったり、新しい挑戦をする機会をなくしてしまったりする傾向があります。

心が不安定になることで、内向的に拍車がかかり、更に症状を悪化させてしまう懸念があるのです。

多くの統計などでも、発達障害をもつ子供は不安障害になりやすい傾向が出ていて、発達障害と不安障害などの二次障害の関連性は高いと言るでしょう。

発達障害を持つお子さんがいる場合は、普段の行動や様子から、元気が無かったり、極度に不安を感じていないかなどを観察してあげることで気付くこともあると思います。

心配や不安が過度になりすぎて、日常生活に影響が出る症状。精神的な不安から、心と体に様々な症状が起きるものです。

不安障害にはパニック障害、社会不安障害、強迫性障害、全般性不安障害などがあります。

引用:「厚生労働省 こころもメンテしよう」より
不安障害とは

心配や不安が過度になりすぎて、日常生活に影響が出る症状。精神的な不安から、心と体に様々な症状が起きるものです。
不安障害にはパニック障害、社会不安障害、強迫性障害、全般性不安障害などがあります。

参考: 厚生労働省 こころもメンテしよう」より

発達障害による二次障害とは

発達障害による生きづらさ、トラウマや失敗体験、ストレス、などにより後天的に精神疾患を発症すること。
発達障害の特徴が引き起こした二次的な障害であるため「二次障害」と呼ばれる。

参考:すまいるナビゲーター 自閉症スペクトラム症の「二次的な問題(二次障害)」を防ぐ より

不安障害の種類と特徴

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青木
やっぱり発達障害の子供は不安障害になりやすいんですね。ところで不安障害ってどんな病気なんでしょう?
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大竹
不安障害にもいくつか種類がありますので解説しますね。

不安障害がどのような疾患か、気になる方もいらっしゃると思います。

不安障害は十数年前までは「対人恐怖症」と言われていましたので、「不安障害」という病名が付いたのはごく最近の事です。初めて聞いた病名だと感じる方もいるでしょう。

不安障害にもいくつか種類があり特徴も違いがありますが、ここでは子供に限らず、共通する一般的な症状や症例についてご紹介します。

パニック障害

突然、動悸や苦しさ、強い不安などを感じる症状で、パニック発作が起こると「次に発作が出たらどうしよう」と外出や公共の場に出づらくなってしまう疾患です。

「発作がでたら…」という不安から、エレベーターやバス、電車など、その場から逃げることのできない状況では「予期不安」を感じる人も多く、生活にも大きな影響が出る可能性があります。

社会不安障害

人と接する場面で強い不安を感じる疾患で、発表や初対面の人と接する時などに「変なことを言ったりしていないか」「失敗して恥をかいたりしないか」と考え、緊張、発汗、赤面、などの身体的な症状が出る事があります。

人と接することがストレスになり人間関係に大きな影響を与える為、より内向的になってしまう恐れがああるので注意が必要です。

全般性不安障害

現状、何も問題が無い状況でも、「お金が無くなったらどうしよう」「仕事をクビになったら…」「子供がいじめにあっているのでは?」と絶えず心配になる疾患です。

誰にでも経験があるであろう不安、ではありますが、その度合いが強く継続的に続いてしまい当事者を苦しめてしまうの特徴があります。

強迫性障害

「家に鍵を掛けただろうか」「火を消しただろうか」「手が汚いんじゃないか」などと強迫観念ををもちやすいのが特徴です。

その不安を打ち消す為、何度も家に帰って鍵や火の元を確認する、手を何度も洗ってしまう、といったことを繰り返してしまう傾向があります。

本人は症状をわかっていても、安心感を得られるまで同じ行為を辞められないケースもあるようです。

成人後に二次障害から発達障害がわかる大人も多い

発達障害を持っていても、 子供の頃は親や周囲のサポートがあるため、問題にならないこともありますが、自立して社会人となってから問題が表面化することも多い傾向があることがわかっています。

この為、成人後に不安障害になり病院にかかった所、「発達障害だった」という事例は多いようです。

2006年~2010年に日本児童青年精神医学会で発表した「成人になって合併症を示してから来院したADHD者への治療的アプローチ」の1~5報では、近年外来を受診した80名の大人のADHD者のうち、合併症のない人はわずか11名(13.8%)であり、残りの69名(86.2%)は何らかの合併症を示していた。

引用: ひきこもりと発達障害

この現状を踏まえると、発達障害が不安障害などの二次障害は年齢を問わず関連性が高く、意識しておく必要があるでしょう。

発達障害の子供が不安障害になりやすい理由4つ

発達障害をもつ子供が不安障害になりやすい理由として以下の4つの理由があります。

  • こだわりが強い
  • 少しの変化に不安を感じやすい
  • 感覚過敏を併発することがある
  • 日常生活の困難によるストレスや周囲からの厳しい反応といった心理的ダメージによるもの

それぞれについてその理由を解説していきましょう。

こだわりが強い

特に自閉症スペクトラムの子供の幼児期には特定のモノに強いこだわりがあるケースが目立ちます。

好き嫌いが極端で、自分の関心ややり方などペースを維持したいという志向が強く見られ、自分の想い通りにいかないと癇癪を起こしてしまうことも。

例えば、同じ遊びを繰り返す、何度も同じ質問をする、遊び方の順序に決まりがある、競争で一番になれないとパニックを起こすなどです。

自分の思うようにいかないと心理的な不安が大きくなりこれが不安障害の引き金になることもあります。

少しの変化に不安を感じやすい

先ほどの「こだわりの強さ」とも通ずる所がありますが、いつもの行動ができない環境や、同じリズムで生活ができない場合に強い不安を感じることが多くストレスを抱えやすくなります。

例えば、いつも同じ公園の同じ遊具で遊んでいたのに、今日は他の子供たちが使っていて自分が使えない。など普段、自分がルーティンのように行う行動や作業ができないと不安を感じてしまうのです。

感覚過敏を併発することがある

発達障害を持つ子供の中には感覚過敏を併発する場合があり、そのストレスが原因となり不安障害を発症することもあるようです。

感覚過敏とは?

視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、嗅覚などの感覚が、特定、または複数で過敏になる症状。
光が極端に眩しく感じる、生活音が極端に不快に感じる、食物の歯ざわりが不快で仕方ない、など

生活で必須な感覚が常に不快感やストレスに晒されるため、行動力や意欲が無くなり心理的不安を溜め込んでしまうことから、不安障害に繋がる場合があります。

生活の困難さや周囲からの厳しい反応による心理的ダメージ

強いこだわりやコミュニケーションが苦手なこと、忘れ物や不注意が多いなど、残念ながら、周囲とのトラブルの原因になってしまうこともあるため、厳しい言葉やいじめなどの原因になることもあるのです。

これらの経験が、子供の自己肯定感を低下させ、極度に行動や失敗に不安を覚えるようになります。これが心理状態や人格に悪影響を及ぼし、不登校や問題行動を招いてしまうのです。

発達障害の子供が不安障害にならないための予防方法

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青木
不安障害にならない為の工夫などがあれば知りたいです。
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大竹
最も大事な所ですよね。予防方法やケアについて解説します。

発達障害と不安障害などの二次障害は密接な関係があり、発達障害による行動と二次障害による行動の両方を考慮する必要があります。

不安障害にならないためには以下の3つの事に注意が必要です。

  • 安心できる環境と居場所をつくる
  • 子供をよく観察する
  • 子供の自尊心をケアする

安心できる環境をつくる

発達障害の子供がストレスを抱える原因は周囲の環境によることが大半です。この為、子供が安心できる人的環境と居場所をつくることが大切になってきます。

まずは最も近しい関係の、身近な親や家族が発達障害への理解をすることです。

親や家族などに理解がないと、子供は安心できる場所を失い、常に心が不安定な状態になってしまいます。もし、家族で理解できていない方がいるなら、理解を深めてもらいましょう。

また学校など、日常的に滞在時間の多い場所でも発達障害のことを理解してくれる人がいることは子供にとってなによりの心の安心に繋がります。

適切なサポートができますし、困った時など子供の相談などにも応じてもらいやすくなるでしょう。

これらの環境があるのとないのとでは、子供の心理に影響するストレスの大きさは随分違うものです。可能な限り子供が安心できる環境を作ってあげるのが大切になります。

子供をよく観察する

不安障害の症状が見られる場合、何らかのサインがあるものです。

普段から子供をよく観察して、その変化を早期に発見することも不安障害の予防に役立ちます。

不安障害には体や行動にサインが現れますが、その特徴的なものが以下のようなものです。

  • 寝つきが悪くなる
  • 疲れやすくなる
  • 食欲が無い
  • 身体が震える
  • 呼吸が浅くなる
  • よく腹痛を訴える

このような特徴が現れる時は心理的に不安定になっている可能性が考えられますので、もしこのような特徴が見られる時には、子供と話してみましょう。もし不安に思っていることがあれば親に話すことでストレスが和らぐこともあります。

不安障害かも…と思ったらやること

不安障害かもしれないと思ったら、以下3つの方法で症状の回復を促しましょう。

  • 安全、安心な場所を確保する
  • 心理療法を行う
  • 薬で不安になる状態を減らす

安全、安心な場所を確保する

「発達障害の子供が不安障害にならないための予防方法」の項でも述べましたが、不安障害は周囲の人間関係により引き起こされる場合が多い為、安心して相談できる人や場所が必要不可欠になります。

また、できるだけ不安やストレスを感じる場に行くのは避けましょう。症状が軽ければ、少しづつ慣れのトレーニングも必要ですが、症状が重い場合、まずはその場から離れて、安心できる場所に移ることが先決です。

小さなお子さんはうまくその事を伝えられない場合もあると思いますので、普段から様子を見て、どんな環境にストレスを感じているのか、どんな場所が落ち着くのか、理解してあげましょう。

もし、発作や不安症状などが出た場合は、症状が治まるまで待つしか方法がありませんが、洗いざらい話をさせたり、泣いたりするのを許してあげつつ、そばに居てあげることで子供の気持ちは随分楽になります。

また、「しばらくすれば落ち着く」ことを教えてあげることで、「この状態がずっと続く訳では無い」ことを伝えることも安心に繋がるでしょう。

心理療法を行う

心理療法や認知行動療法を取り入れている精神科、心療内科へ相談しましょう。

不安障害は本人が置かれている状況や考え方、行動に対する「認知」が歪んでいること、が原因です。この偏った認識や思い込みが不安障害の心理的不安を増長させています。

心理療法、認知行動療法では、無意識に考えてしまう潜在意識を変える治療法です。

具体的な方法例としては、不安障害の子供が考えている不安なことが、「現実とどれだけ違うのか教えてあげる」というもの。

不安になる状況とその時の感情を書き留めて記録を付ける。次に自分の考え以外にも様々な捉え方があり、柔軟な考え方の練習をする。

といった認知の柔軟性を取り入れる治療法で、不安障害の子供が感じる考え方や捉え方を変え、症状の改善や生き方が楽になる効果があります。

余談になりますが、この考え方は心理学やメンタルコーチングなどでも取り入れられている為、親や社会人の方などにもおすすめできるトレーニングです。

薬で不安になる状態を減らす

症状が強く出ている場合は薬を使用することもあります。

子供の不安障害に使用される薬は、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などがあり、それぞれの薬によってもいくつか種類がありますが、主に使用されるのはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という抗うつ薬です。

不安や緊張、を和らげて心を前向きにしてくれる薬ですが、副作用として吐き気や食欲不振などの症状が出る場合もあるので、病院の先生と相談しながら処方してもらいましょう。

まとめ

今回は発達障害の子供が不安障害になりやすい理由と予防や対策についてご紹介しました。

最もお伝えしたいことは、発達障害をもつ子供には周囲の人的環境を整えてあげるということです。
その理由は、不安障害になる最も大きな要因は人間関係に寄るところが大きい為です。

根本原因である発達障害の特性についても、周囲の人間関係が良好であれば、子供の自己肯定感の向上や、才能を伸ばせる助けになる可能性があるでしょう。

また、発達障害支援、放課後デイサービスを行うアップでは、発達障害の子供たちに学習やコミュニケーションなど、日常で必要な力を伸ばすトレーニングを行っています。

専門のトレーニングを受ける事で、生きる力や考える力を付ける助けになるかもしれません。

最後まで読んで頂きありがとうございます。
少しでも情報がお役に立てれば幸いです。