皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害と迷子防止リストバンド」についてです。
発達障害のお子さんは、興味のあるものを見つけるとすぐに向かって行ったり、周囲の状況に気づかず、いつの間にか集団から離れて行ったり、迷子になりやすい特性が見られます。
親御さんは、迷子や事故などが心配で、迷子リストバンドの使用を検討することもあるのではないでしょうか。
目次
なぜ発達障害は迷子になりやすいのか?
発達障害とは
発達障害とは、脳機能の発達がアンバランスで、その凸凹によって社会生活に困難が生じる障害の総称。行動や認知の特性により、主に自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の3つに分類される。
これら3つの特性を単独ではなく、複数持っている人も少なくありません。
また発達障害では感覚の受け取り方にも凸凹が見られることがあり、その中でも、ある感覚刺激を敏感に受け取ってしまう「感覚過敏」の症例が多いようです。
発達障害の特性から考えられる迷子になりやすい要因
空間認知機能が低い
三次元空間における物体の位置・形状・大きさ・位置関係などを認識する能力。主にどの感覚系によって知覚されているかにより、視空間・聴空間・触空間などが区別される。
空間認知機能が低いと、空間との位置関係から自分の位置を把握することが困難になります。地図が読めない人も多いようです。
自分が今どこにいるのか、どの方向から来たのか、どの方向へ向かっていたのか、分からなくなります。
周囲の状況把握が苦手
状況把握が苦手なお子さんは、ご家族との外出や集団行動の際、周りの状況に合わせて動くことができず、はぐれてしまうことがあります。
興味のあることに夢中になっていると、なおさら周りの声掛けが耳には入っていないかもしれません。自分がはぐれてしまったことに気づかないこともあります。
衝動性・多動性
衝動性・多動性の特性が強いお子さんは、興味があるものを見つけるとすぐに近づいて行ったり、追いかけたりします。
はぐれた時に適切な行動ができない
状況に合わせて柔軟に対応できないお子さんは、自分が迷子になった時に、何をどうしたらよいか分からないことがあります。
すぐに親御さんを呼んだり、周囲の人に助けを求めることができず、時間とともに親御さんから更に離れてしまう可能性があります。
迷子防止リストバンドのメリットとデメリット
迷子防止リストバンド
迷子リストバンドとは、迷子を防止するために、ワイヤー等で繋がった2つのリストバンドを親子ではめるものです。
市販されているものは、写真のようにワイヤー部分が数メートル伸縮可能なものが多いようです。
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使用時に考えられる一般的なメリットとデメリットは、以下の通りです。
メリット
- 急に手を放して走り出しても、見失わない。
- 伸縮可能なので、その範囲は自由に歩き回ることができる。
- ワイヤーが伸縮するため、手をつないでいるとあまり目立たない。
発達障害で多動性・衝動性の特性が強いお子さんには、特に使用効果が高いと思われます。
かえって行動範囲が増え、好奇心や感覚要求が満たされることもあります。
手をつなぐことを嫌がるお子さんには、手つなぎの練習や代替手段となるかもしれません。
デメリット
- 自分でリストバンドを外すことがある。
- 日本ではまだ使用する人が少なく、人目が気になることがある。
- 使用について賛否両論ある。
- 柱などにワイヤーが絡まったり、引っ張られることで転倒のリスクがある。
- 転倒時に手を付きにくいため、怪我をすることがある。
- 伸びた紐のせいで、他の人を邪魔したり怪我をさせる恐れがある。
発達障害の特性により状況把握や説明への理解が不十分な場合、本人の理解が得られなかったり、不安に思うことがあるかもしれません。
感覚過敏のお子さんは、リストバンドの刺激も不快になることがあります。
本人が納得するか、嫌がらないか、また周囲の状況も確認しながら状況に合わせて使用しましょう。
迷子防止リストバンドに対する意見と使用時の心構え
賛否両論の意見
迷子防止リストバンドの使用には、賛否両論の意見が見られます。
反対意見
- 昔はそんなものを使っていなかった
- 親が楽をしようとしている
- 自由を奪われ、かわいそう
- ペットのように見える
など
賛成意見
- 子どもの安全が第一
- かえって自由に動ける範囲が広がる
- 子どもの興味を制限しない
など
賛成意見では、事故や犯罪の防止など、お子さんの安全のためを思う意見が多いようです。
外出時にベビーカーを使わなくなり、お子さんが歩いたり走ったりすることが増える時期は、特に注意が必要になると思われます。
使用時の心構え
「ペットのように見える」との反対意見もありますが、それは使用時に「どのような態度で使用するか」が問われていると思われます。
例えば、「子どもの方を全く見ずに、しばらく他の人と会話したり買い物している」「紐を引っ張ることで、子供の行動をコントロールしようとする」など。
このような態度で使用していると、なかなか理解は得られないと思われます。
あくまでも手つなぎの延長線であり、他の手段も併用しながら、子どもを見守る姿勢が大切です。
事前の対策
迷子にならない工夫・すぐに見つかる工夫
迷子にならないようなルールを決める
会計で両手を使う必要があったり、どうしても目を離してしまう瞬間がある場合は、事前に「お店ではお母さんの脇に手を入れておいて」「カートから手を離さないで」など、ルールを決めておきます。
お子さんの興味に合わせて、「その足跡マークから出たら負け」など、ゲームのように楽しめるものも考えてみましょう。
音で知らせる工夫
歩くと音が鳴る靴を履かせたり、服やバックに鈴などをつけてることで、音で居場所が分かるようにします。
親子でおそろいの服や持ち物を身に着ける
おそろいの物を身に着けることで、お互いに探しやすく、周囲の人にも気づいてもらいやすくなります。
周囲の人に尋ねる時も役立ちます。
外出前にお子さんの服装を写真に撮っておく
迷子になった際、周囲の人に情報を求めやすくなります。
迷子札など情報を書いたものを身に着けさせる
迷子札(キーホルダーやリストバンド)や迷子カード(運転免許書のように名前や住所が書かれたもの)など、親御さんにつながる情報の書かれたものを身に着けさせます。
しかし、個人情報が洩れる恐れもあるため、注意が必要です。
迷子になった時の対処法を子どもに教えておく
どんなに目を配っていても、道具を工夫しても、迷子になることはあるかもしれません。
そのような時にはどうしたらよいか、お子さんに事前に教えておきましょう。お子さんの「得意」や「苦手」に合わせた方法を考えてみましょう。
問題や困ったことが起きたらどうしたらよいのか、自分で問題解決する練習になり、自信にも繋がります。
待ち合わせ場所を決める
「もしデパートではぐれたら、その階のレジの所で待っておく」など、待ち合わせになる分かりやすい場所を決めておきましょう。
人に助けを求める方法を教える
「何を困っていて、どうしてほしいのか」など、具体的に伝えられる練習をしておきましょう。
助けを求める人も、「お巡りさん、駅員さん、コンビニなどの店員さん」など、具体的に決めておきます。
話すのが苦手だったり、気が動転してうまく話せない時のためにも、親御さんの携帯番号などを書いたものを見せるように教えるなど、いくつかの手段を用意しておきましょう。
普段から人にお願いする練習をする
状況に合わせて、普段の生活でもすぐに助けるのではなく、「困ったことがあったら、何をどうして欲しいか教えてね」と、自分で意思を伝えらえるような練習をしておきましょう。
自分の力で解決する方法も教える
携帯やGPSなどの通信機器を使うなど、自分でも解決できる方法を教えておきましょう。
「自分で解決を試みること」や、「自分でできるか判断すること」、「できない時は人に助けを求めること」は、将来にも役立つ大切なスキルです。
迷子対策だけでなく、将来を見据えてお子さんの力を伸ばすことにも繋がります。
また、就学する頃の年齢になると、迷子になっていても「ひとりで移動中だろう」と思われ、周囲の人が気づいてくれないことがあります。
本人も困っていることをうまく伝えられないかもしれません。
そのような場合は「ヘルプマーク」など他の手段も考えてみましょう。
ヘルプマークは、外見からは分かりにくい障害などで、援助や配慮を必要としている人を対象に作られたものです。
こちらの記事では入手方法や使い方についても記載していますので、参考にしてください。
まとめ
子どもは好奇心いっぱいで、いつも興味のあるものを探索しています。
知らないものや面白いものがあれば、触ってみたり、親御さんに報告してみたり。発見した喜びや驚きを、親御さんと共有することも楽しんでいます。
発達障害では、「衝動性が強い」など迷子になりやすい特性が見られることがあるため、特に注意が必要です。
お子さんの安全も確保しながら、お子さんの探索要求も保障できる方法を考えていきましょう。
児童発達支援と放課後デイサービス 運動・学習療育アップでは発達障害のある児童を対象に、デイサービス事業を行っています。
生活の中の苦手や困りごとについても、お子さん独自の特性と解決法を一緒に考えていけたら幸いです。