皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所になることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは「発達障害の子供の片付けが改善できる方法」についてです。

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青木
うちの子は片付けがちっともできません。
片付けができないのは”発達障害があるから”という話を聞きましたが本当なんでしょうか?
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大竹
片付けができないからといって発達障害だとは限りませんが、おっしゃる通り、発達障害が原因である場合もあるんです。
片付けが改善できる方法をご紹介させて頂きますね。

少し前に「ときめき片付け術」としてこんまりさんが話題になったように、片付けに悩む方は意外に多いことがわかります。

通販サイトのフェリシモが行った2015年の調査では有効回答のあった女性のおよそ半数が「自宅の片付けがしたいと思ったことがある」と回答しています。

これだけ片付けが生活に与える影響が大きい中、子供が片付けをしてくれないと悩むママさんにとってはイライラも溜まってしまうことでしょう。

この記事では、そもそも片付けができないのは発達障害が原因なのか?という事から、発達障害だったとしても「片付けを改善するための方法」について解説していきます。

子供の片付け改善はもちろん、子供の成長という視点も交えてご紹介しますので参考にしてみてはいかがでしょうか。

片付けができないのは発達障害が原因?

最近は発達障害の認知が進んできたこともあってか、片付けができない=発達障害と思われがちですが、全ての原因が発達障害とは限りません。

片付けが出来ない子供の原因として以下のようなことが挙げられます。

  • 発達障害がある
  • メンタルが不安定
  • 生活環境
  • 強迫性障害

それぞれについて詳しく解説していきましょう。

発達障害がある

これは、本記事でご紹介するケースですね。
発達障害の中でも片付けが出来ない発達障害と言われるのが、ADHD(注意欠陥多動性障害)です。

ADHDの特性として、集中力がない、順序立てて考えられない、優先順位がわからない、などの特性を持つことがあり、結果として片付けができない原因となっていることがあります。

メンタルが不安定

子供のストレスやメンタルの不安定さが原因になっている場合もあります。

学校生活や友人関係、家庭環境の問題などを抱えているなど、大きなストレスにさらされている場合は、何もやる気が起こらず、片付けをする気力がないケースもあるでしょう。

この場合は、子供が安心できる環境をつくることを優先し、ストレスの原因を取り除くのが先決と言えます。

生活環境

元々親が片付けられない、もしくは常にモノが散らかっている家である場合はそれが生活習慣になっているので、そもそも片付けるという概念や必要性を感じないといった場合もあるでしょう。

また、親が過保護であり過ぎると、片付けられなくなることもあります。
親が子供の身の回りのことをやってしまうがあまり、子供が自分で片付けることを学べなくなり、片付けができなくなるといったケースのことですね。

子供の頃の生活環境はその人の習慣や思考の基礎になるため、この場合は親子で一緒に片付けトレーニングをすると子供との会話も増えて良いのではないでしょうか。

ネットでも多くの情報がありますので、ここから学ぶのでも良いですし、他には親子で学べる片付け講座というものもあるので、参加してみるのも良いかもしれません。
参考として以下に親子の片付け講座を掲載しています。

強迫性障害

強迫性障害は何度も自分の行動を確認したり、何度確認しても不安になるという症状がありますが、中にはモノを捨てるのが不安だったり、以前必要だった経験があると捨てられないといった、収集強迫を感じる人もいます。

この症状があると、他の人から見れば必要性を全く感じないものでも、捨てられないようになり、家が要らないものだらけになってしまうケースもあるのです。

収集強迫

強迫性障害で現れる症状の一種で、モノを収集しないと不安になったり、捨てると後で後悔するといった強迫観念に駆られる精神状態のこと

ADHDなのか判断するポイント

先に書いた通り、片付けができないからといってADHDがあると判断するのは早計でしょう。

ADHDを疑う場合は、病院で診察・診断を受ける必要があり、個人では判断できませんが、ADHDにはいくつか特徴があり、多く当てはまる場合は病院での診察も必要かもしれません。

では、ADHDの特徴や片付けられない原因について考えていきましょう。

ADHDには大きく分けて2つの特性があります。
1つは「不注意タイプ」、もう一つは「多動性タイプ」があり、片方だけの場合もあれば両方の特性をもっている場合もあり、それぞれには以下のような特徴があります。

不注意タイプ

  • 気が散りやすく集中力が続かない
  • 遅刻をよくする
  • 忘れ物が多い
  • ケアレスミスが多い
  • 予定をよく忘れる
  • 片付けや整理整頓ができない
  • 臨機応変な対応ができない

多動タイプ

  • 後先を考えず衝動的に行動してしまう
  • 一つの場所でじっとしていられない
  • 思ったことを不用意に発言してしまう
  • 好きなことに没頭して他のことが疎かになる
  • 次々と思考が飛んで目的を忘れる

ADHDをはじめ、それぞれの発達障害の特徴については以下の記事でも紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。

このような特徴から、片付ける必要性がわかっていたとしても、そもそもADHDという障害は段取りや整理するといったことが苦手なことが原因であることがわかります。

以上でご紹介したような特性をカバーする工夫を考えることで改善方法が見えてくるでしょう。

片付けを改善するための方法7選

ここでは、ADHDの特性を考慮した片付けの改善方法やテクニックについて7つの方法をご紹介していきます。

①モノの定位置を決めておく

特にADHDの人は、手にモノを持っていることを忘れて、無意識に置き忘れてしまう、シンプルにどこに置いたのかを忘れてしまう、どこに片付ければ良いかわからない、といったことが起こりがちです。

モノの定位置を決めておけば、置き場所に迷うことがありませんし、定位置に置くクセをつけておけば、無意識であってもその場所に直せる習慣がつきやすくなります。

また、モノを置く場所は極力、生活導線に置くようにしましょう。
代表的な方法としては、「家の鍵などは玄関横の収納ボックスへ入れる」「よく使うプリントは机の棚に入れておく」といったことでしょう。

場合によっては、あえて片付けないという方法もあります。
本人にとって忘れにくい場所があると思いますが、それが玄関の床だったり、ドアノブだったりすることもあるので、親からは「片付けて欲しい」と感じることもあるかもしれませんが、本人にとってベストな位置であれば極力許してあげるようにしましょう。

②.収納しやすい工夫

片付けが苦手な子供を改善するには、片付ける時に悩むポイントを減らしてあげる必要があります。

なぜなら、人は考える工程が増えるとやる気を失くしてしまうので、収納や片付けはできるだけ面倒にならないような工夫が必要です。

そこでいくつか収納しやすい工夫のポイントについてご紹介していきましょう。

表示をつける

収納棚などに、色や文字、もしくは収納するものがイメージしやすいイラストなどを表示することで、何をどこに直せばいいのかがわかりやすくなります。

最近では100円均一の商品に少し手を加えて収納用具と作成するママさんも増えていて、探すと色んな例があるので参考にしてみてもいいですね。

Pronterest(ピンタレスト)というサービスをご存じでしょうか?
様々なアイデアを個人が投稿するサービスなのですが、中には子供のためのわかりやすい収納アイデアなども投稿されているので、ご自宅の収納を考える参考になるかもしれませんよ。

状況別に収納を分ける

学校からのプリントなどは、宿題など先に終わらせないといけないものから、後回しにしてよいものまであるでしょう。

ADHDの子供は優先順位を付けるのが苦手という面もあるので、「すぐにやるもの」「後でいいもの」「終わったもの」というように状況別に収納を分けておけば、親子共に片付けしやすく、思考がスッキリできるのではないでしょうか。

収納場所の型をつくる

ここでいう型というのはスポンジやウレタンなどを道具やおもちゃの形にくりぬいたものです。

実社会でも事務所や製造現場などでよく活用される整理方法ですが、この方法の良い所は収納場所が明確になり、「モノが紛失しにくい」「すぐに直す場所がわかる」といった効果が期待できます。

こちらは工具ツールを収納する型抜き作成の動画なのでおもちゃとは違うかもしれませんが、収納が楽になる意味が理解できるかと思います。
こちらの動画ではとても丁寧に製作されていますが、ご家庭で使う収納ですので、そこまで凝ったものにする必要もないでしょう。

片付け専用の型抜きシートとして以下のような商品も販売されていますので自分で型抜きを製作するのが面倒な方は便利かもしれません。

TRUSCO 5S管理シート 17mm厚 緑色posted with カエレバ楽天市場AmazonYahooショッピング

③.片付けはスモールステップで

発達障害に関わらず、何かを始める時にはスモールステップがとても大切です。
いきなりハードルの高い目標や行動で始めてしまうと、子供でなくとも挫折する可能性は高くなります。

例えば片付けをしない子供に、まずはごく一部のおもちゃだけの片付けを頼んでみると意外とすんなり受け入れてくれて片付けられることもあります。
ちなみに私も子供が2人いるのですが、実体験有りです。

ADHDの当事者であり、全国で講演会なども行っている広野ゆいさんは子供の頃から片付けができず、現在もその状態は続いているそうですが、小さなステップ、最低限の範囲でできることから始めてみる大切さをお話されています。

④.モノを減らす

小学生の高学年程の学齢になっても片付けができない場合、モノを減らしたくても減らせない理由には「要・不要の判断がつかない」「モノを捨てられない」という子供もいるでしょう。

ADHDで悩む人には、必要なものと不要なものが判断できないという方がいます。

悩みの解決策の一つとして、まず似たものを集めて比較して、そこで自分に必要なものかどうかを考えてみると判断がつきやすくなります。
これを一連の流れでご紹介しましょう。

1
似たものを集めて比較してみる

似たものを比較検討することで、要不要の判断がつきやすくなることがあります。

2
判断がつかないならそのモノに対する感情をメモしてみる

例えば、「値段が高いから捨てられない」「使うことがあるかも」といった感情に悩む場合などです。

3
一度使ってみる

「やっぱり使うかも」と感じるのであれば、しばらく使ってみましょう。
そうして、やっぱり使わなくなったら捨てる。
もしくは使ってみた後、2の項でメモした内容に照らし合わせて、それでも必要かを判断してみると本当に必要なのかが判断しやすくなるでしょう。

こうした流れで考えるようにすると、片付けの基準のようなものが徐々にできてくるでしょう。

この方法は、ある程度状況やモノの価値がわかるようになる年齢にならないと活用は難しいと思いますが、 小学生の高学年以上のお子さんがいる場合は一度試してみてはいかがでしょうか。

また以下の記事では、幼児向けの「おもちゃの量」についても解説していますので小さなお子さんがいる方はぜひ参考にしてみてください。

⑤.一緒に片付けをする

小さい頃、もしくは片付けが上手くできないうちは親子で一緒に片付けをするようにしましょう。

一緒に片付けをしながら、片付けのコツを教えてあげたり、子供がどうやって片付けをしているのかを観察することで、苦手な部分や改善のヒントが見つかるかもしれません。

⑥.褒めてあげる

子供は親に褒めてもらうととても喜びますし、子供の自己肯定感につながります。
親に喜んでもらえれば、片付けのやる気もアップするので積極的に褒めてあげるようにしましょう。

そしてほめる際に意識した方がいいのが褒め方で、ポイントは「何が良かったのか」と「無条件に感謝を伝える」という所です。

何が良かったのかを伝える

子供に対して具体的に何が良かったのかを伝えることで、褒めてもらった理由や、どんな良いことがあるのかがわかり、子供の納得感に繋がることでしょう。

これは大きくなった時の論理的な思考力にも影響を与えるので知育の面でも有効と言えるのではないでしょうか。

無条件に感謝を伝える

片付ける事に限りませんが、子供への無条件の感謝や愛を伝えるようにしましょう。

先にお伝えした「何が良かったのかを伝える」のは大切なことですが、それだけだと自分の存在を肯定しづらい自己イメージができてしまう可能性もあります。

その理由は「~ができるから」「~ができたから」自分には価値があると考えてしまうと、もし挫折や失敗を経験した時に、「できない自分」への無価値感を増幅させてしまう可能性があるからです。

時に、この感情は反骨心などプラスに働くこともありますがバランスが大切だと思いますので、日ごろから「あなたがいて幸せ」「大好きだよ」といった無条件に子供の存在を肯定する言葉もかけてあげるようにすると良いでしょう。

⑦.自分のルールを決める

ご紹介したような方法を試していくと、子供によって合う、合わないがわかってくると思いますので、使えそうな方法をどんどん取り入れて、子供と一緒に「自分のルール」を作っていきましょう。

子供の中で習慣化されていくと、当たり前に毎日の行動になっていくと思いますので、生活リズムをつくる上でも良いと言えるでしょう。

放課後等デイサービスアップ

放課後等デイサービスとは障害をもつ子供が放課後や長期休暇などに利用する福祉サービスです。

学校外での集団生活や子供の居場所をつくったりすることで、子供と家族を支える役割を担っています。

「子育てに向けたお役立ち情報」を運営するアップでは、集団生活や感情のコントロール、読み書き、ワーキングメモリのトレーニングなど多岐にわたるカリキュラムで子供に「生きる力を身に付けさせる」活動を行っています。

子育てに関する悩みにも専門知識を持った相談員がお答えできますので、生活の中での様々な「困った」「悩み」の解決のお手伝いができるかもしれません。

ご興味のある方はお気軽にお問合せくださいね。

まとめ

子供のお片付けは部屋の整理のみならず、知育や子供の思考力といった成長にも影響を与えます。

ご紹介した方法なども参考にしつつ、お子様に合った片付け方法を見つけてみてはいかがでしょうか。

少しでも参考となれば幸いです。