皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害に関する運動療法」についてです。
「発達障害」と聞くと、主にコミュニケーションや社会性に問題があることが指摘される為、理学療法が用いられることがあります。しかし、一方で、運動によって発達障害の症状を改善できるという研究が進んでいます。
今回は運動療法による発達障害の症状の改善・緩和方法などについて発信していきたいと思います。
目次
運動療法とは?

今まで、発達障害の子どもに対する療法として、薬物療法や認知行動療法が注目されてきましたが、最近では「運動療法」という新たなアプローチが注目され始めています。
運動療法はその名の通り、運動をすることによって本人が抱えている症状を改善していく方法です。
運動療法はこれまで、生活習慣病などに用いられてきましたが、発達障害のこどもに対してもその効果が認められ始めています。
しかし、発達障害の根本的な治療法にはなりません。
発達障害とは、先天性の脳機能障害が原因と言われ、見えるモノや聞こえてくる音、触った物の感触などの情報を正しく処理することが苦手な場合があります。
発達障害と言ってもその範囲は広く、症状の重さによっても異なるのです。
・ASD:自閉症スペクトラム障害、アスペルガー症候群
コミュニケーションが苦手、空気が読めない発言など
・ADHD:注意欠陥・多動性障害
ジッとしているのが苦手、忘れ物が多いなど
・LD:学習障害
文字の読み書き、計算、推理、会話などが極端に苦手。
単語は読めても、文章になると文字が読めなくなるなど
運動療法をすることで、運動から脳へ様々な刺激(情報)を送り、成長を促します。運動と言っても特殊な運動では無く、普段日常で遊んでいるような運動が主です。
また、この運動療法に関する運動療育について解説した記事があります。よければ併せてご覧下さい。
さらに発達障害に関する運動療法について書籍が出版されています。書籍を通して発達障害に関する知見を深めることは重要です。

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発達障害と運動の関係

発達障害の子どもは、集中力や社会性に問題があることを指摘されることが多いですが、それと同時に運動のぎこちなさ、不器用さが指摘されています。
また、発達障害の子どもは猫背であることなどが報告されていることから、運動性の面で、発達障害の子どもが、そうでない子供に比べて苦手な場合があります。
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広義での「運動」はコミュニケーションに関わってくる為、発達障害の子どもが抱えるコミュニケーションの問題の解決の糸口になると示唆する研究もあるほどです。
興味のあるものごとに関連付けて運動を行い、気が付いたらその運動に集中できていた、といったように、「集中しなければいけない」と意識させるのではなく、気が付いたら集中していた、という状態を作りやすいのが運動療法のメリットの1つです。
運動療法を用いる保護者の方が、子どもの興味に共感しながら運動をすることで、発達障害の子どもの自己肯定感を高めることもできるとされています。
以下の動画で、「発達障害の子どもに対する運動療法」について、詳しく解説されています。よければ併せてご覧下さい。
DCD:発達性協調運動障害について
運動が極端に苦手な子どもの場合、「発達性協調運動障害」という発達障害の可能性があります。
発達性協調運動障害を持つ子どもの特徴を以下に挙げます。
- お箸は勿論、スプーンやフォークを使って食事をすることが難しく、溢すことが多い
- ハサミなどの道具が上手く使えない
- 走り方、歩き方が変。動作に「ぎこちなさ」を感じる
- 力加減を調節することが苦手
- バランスを取るのが苦手
ボールを持つ、フォークを握るなど、簡単な動作に問題はありません。しかし、サッカーボールを蹴る、縄跳びで飛ぶなど、複数の動作が必要となる運動が苦手というのが主な特徴です。
上記のツイートの様に、DCDで悩んでいるという人は少なくありません。
運動や、体育の授業が苦手、といった程度であれば問題はないのですが、発達性協調運動障害の場合、食事をする際や、物を使って作業をする際に影響が出るため、日常生活に支障をきたしてしまうことがあります。

発達障害の子どもの協調運動の重要性

発達障害の子どもへの運動療法の中でも、「協調運動」というキーワードは非常に重要になります。
協調運動とは
協調運動とは、体を動かす際にバランスや姿勢を制御することや、複数の筋を使って相互に調整を保って運動をすることです。
運動療法によって発達障害のこどもの「協調運動」の能力が向上すれば、姿勢がよくなったり、運動を伴うコミュニケーションの能力向上などに役立つでしょう。
また、発達に偏りのある子どもは協調運動を苦手である場合が多いです。そういった子供が運動療法によって協調運動の能力が向上すれば、自己肯定感を育む上で重要となるでしょう。
運動療法はどこで受けられる?

発達障害と確定診断を受けた児童に対して運動療法を検討する場合、専門的なリバビリテーション施設や放課後等デイサービスセンターを利用するのがおすすめです。
作業療法士(OP)が在籍している施設なら問題ないでしょう。この作業療法に関する記事があります。よければ併せてご覧下さい。
また、発達障害を専門にしている支援センターがあります。

- 子育て支援センター
- 児童発達支援センター
- 発達障害者支援センター
全国展開している専門機関もありますが、地域によって支援内容が異なる場合があります。事前に確認をとっておきましょう。
発達障害のお子さまを育てるのは決して簡単なことではありません。運動面に限らず、心理的ストレスの軽減を図ることも大切です。障害を抱えたお子様の療育と保護者の方の休息にデイサービスの利用も良いかもしれません。
発達障害を抱えた児童の「療育」さらに保護者の「休息」も重要と考え、デイサービス事業を行っています。
まとめ
発達障害の子どもには、薬物療法や、認知行動療法によって注意力の向上や、コミュニケーションの苦手部分の改善が行われてきました。
運動療法は最近になって発達障害の子どもに効果がある療法として注目を集めています。
発達障害そのものの認知が進んだのも最近ですが、発達障害に対する運動療法の効果が認められ始めたのはさらに後です。
なので、家の中や近くの公園で簡単にできる運動療法を試してみる価値はあるのではないかと思います。しかし、まだ研究が進んでいない分野でもあるので、より体系化された運動療法が表れることを期待しています。