皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所になることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは「軽度発達障害の子供の学校選び」についてです。

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青木
うちの子は発達障害の特性がありますが、症状は軽いように見えます。
特別支援学級に入れるべきか悩んでいるのですが、参考になるような情報があれば教えてもらえませんか?
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大竹
症状が軽度の場合、通常学級か特別支援学級かどちらを選ぶかは悩みどころですよね。
今回は、学級選択の参考になる情報を中心にお伝えしますので参考にしてみてください。

発達障害でも症状が軽度である場合、通常学級か特別支援学級に入れるかを悩む親御さんもいらっしゃることでしょう。

この記事では、「軽度発達障害」の意味や注意すべき点もご紹介しながら、軽度発達障害の子供の学校選びの参考になる情報を解説していきますね。

発達障害を疑う、もしくは症状が軽度で特別支援学級に入れるか迷っている親御さんの一助になればと思います。

軽度発達障害ってどういう意味?

“軽度”発達障害という言葉は広く使われていますが、その意味や概念はあまりよくわからない人も多いのではないでしょうか。

まずは、軽度発達障害の意味や捉え方について解説していきますね。

軽度発達障害は正式には存在しない

実は、WHO(世界保健機構)が出している診断の手引きなどでは、「軽度発達障害」という言葉は定義されていません。

このため「軽度発達障害」の明確な定義はありませんが、一般的には「特別支援が必要ではあるものの、精神遅滞や知的障害が伴わない相対的に障害の程度が軽い症状」という状態を指します。

この言い方が広まった経緯は、文献や記録などで症状が軽い発達障害を説明するために使ったことがそのまま広がったようです。

ただ、厚生労働省でも「軽度発達障害」という文言で保険指導手引き書が作成されるなど、現在は一般的に使用される表現となっています。

発達障害の診断はとても難しい

精神遅滞や知的障害を伴わない発達障害の診断はとても難しく、特に0~5歳迄は定常発達の子供との見分けがつかない場合もあり、学童期である6歳を過ぎた頃から学校や生活での不適応が出て病院を訪れるケースもあるのです。

例えば、言葉の遅れなどで発達の遅れに親が気づくこともありますが、言葉の出るタイミングは個人差や性別の違いによっても大きく違い、そうした個人差を考慮して病院に行くのをためらう親御さんもいるため、発見が遅れてしまうこともあるようです。

最近では発達障害の認知が広がり早期の段階で病院を訪れる人も増えてきていますが、一方で、結果的に発達障害ではなかったが、「疑いを向けられる子供」がいることも問題としてクローズアップされてきています。

基本的には子供であればDSM-5という基準で診断を行いますが、問診、経歴や心理検査などを行った結果の総合状況で判断するため、明確な線引きがないことも診断の難しさの原因となっています。

症状が軽くても生きづらさが強く出ることもある

軽度発達障害は相対的に症状が軽いとお話しましたが、だからと言って日常生活に難しさが出にくいかというと、そうとも限りません。

例えば、自閉症スペクトラムであれば、人間関係のトラブルやこだわりによる学校生活での困難さなどが大きな問題となる場合が多く、不登校やひきこもりなど心身面に不調をきたす場合もあります。

発達障害の特性が認められるが、診断基準を満たさない「グレーゾーン」の方でも、特性の出やすい場面では生活に著しい困難を伴うこともあるのです。

軽度発達障害の場合、知的な遅れがないため、定型発達の子供との違いが理解されないことによる、誤解や偏見が起こりやすいとも言えるでしょう。

発達障害は早期の発見が基本ですが注意点も

発達障害は早期に発見することで、子供の成長の早い段階で適切な対応を取ることができるのですが、一方で問題点もありますので参考にして頂ければと思います。

早期発見で適切な対処が可能

特に軽度発達障害の場合は定型発達の子供との違いが判別しづらく、大人になっても障害に気づかないケースもあります。

発見が遅れると、学校生活や日常生活での不適応が理解されずに批判や注意されることが増えることで、自尊心が育まれにくく、時にうつなどの二次障害に発展する場合があるので注意が必要でしょう。

一方で早期発見することができれば、小さいうちから学校の選択や生活の工夫、周囲へ配慮の依頼といった対応ができるので、子供の健やかな成長に役立ちますね。

発達障害がある場合、少なくとも小学生低学年頃には症状などが顕在化してきて判断がしやすくなるので、ある程度発達障害の知識があれば、子供を観察していて気付くポイントも増えることでしょう。

こちらの記事では、発達障害の特性が現れはじめる5歳のタイミングでの成長の違和感や注意点について解説していますので参考にしてみてくださいね。

発達障害の「過剰診断」には注意

早期発見が大切な反面、親や周囲が「発達障害かもしれない」と過剰になるのも問題でしょう。

例えば、友達とのケンカや興味の偏りといったことで、学校の先生などに発達障害の可能性を指摘された際に、不安になった親御さんが病院を訪れた所、診断は出なかったものの、疑いが強いあまり、いつしか診断を求めて多くの病院を訪れてしまうこともあるようです。

他には、不登校になってしまったことから発達障害を疑い病院で問診を受けた際、子供がわざと答えなかったり、ウソをついたりしているのをそのまま診断基準に当てはめて「発達障害」と診断が出てしまった事例もあるようですが、不登校になった実際の理由は、親や先生への反発心からで「発達障害とは関係がなかった」ケースもあるのです。

発達障害には不確定要素やあいまいな部分も多いため、今後の研究が進むことを望むばかりですが、特性が生活に大きな影響を与えていない場合は発達障害という障害名をもらうことはあまり重要ではないでしょう。

発達障害という診断名を意識するあまり、勉強や交友関係などで不要な抑制をさせてしまう可能性もあります。

子供を特別支援学級に入れるか悩んだら

発達障害の症状が軽いと考える場合、学校は通常学級に入れるか、特別支援学級に入れるか、について悩む親御さんもいることでしょう。

ここでは特別支援級の特徴や軽度発達障害の子供に合う学級選びについて解説していきます。

特別支援学級に入れるメリット、デメリットは以下のようなことでしょう。

特別支援学級に入れるメリット

  • 少人数のクラスなのできめ細かい対応をしてもらえる
  • その子に合わせたカリキュラムで学習が進められる
  • 通常学級で過ごす時間もある
  • 途中から通常級→支援級、支援級→通常級への転級も可能
  • 先生が障害への理解がある
  • 障害に合わせた指導をしてもらえる
  • 静かで安心できる環境で学習できる

特別支援学級に入れるデメリット

  • 学習量が少ない
  • 学習速度がゆっくり
  • 特別支援級内での交流が主となり一般社会への適応が難しくなる
  • 通常学級の子供から偏見を持たれることがある
  • 高校の特別支援学級はあまりない
  • 通知表がもらえない場合もあり高校進学ができないケースも

特別支援学級を検討する際の注意点

発達障害の特性により、普通学級では辛い思いをして通っていたのが、特別支援学級に変えた所、問題なく通えるようになったという子供がいる一方で、発達障害があっても勉強ができる、特定の分野が得意、といった子や、もしくは症状が軽度で日常生活ではほとんど問題がないケースもあります。

このような場合で特別支援学級に入れた結果、本来なら勉強が定常発達の子供と同じようにできるのに学校の授業内容が遅くてつまらない、周りの子たちは症状が強めに出ていて逆に会話ができずになじめないといったこともあるようです。

また、特別支援学級では通知表をもらえない場合もあることから、高校への進学が難しくなる可能性もあります。

数は少ないものの、特別支援学校高等部はありますが、この場合「特別支援高等部」の卒業資格はもらえても、「高卒資格」はもらうことができないので、将来の就職などで選択の幅を狭めてしまう可能性があるでしょう。

通級指導教室

特別支援学校は様々なサポートが受けられる反面、軽度発達障害の子供にとっては物足りなさや、将来の進路を狭めてしまうリスクもあります。
そこで注目したいのが「通級指導教室」です。

まず、特別支援教育には以下3つの教育制度があります。

■通級指導教室

普段は通常の学級に在籍しながら、週に何回か違う教室で苦手な学習や特性の対処についての教育を受けることができます。

■特別支援学級

障害の種類ごとに教室が分けられた少人数の学級で、子供に合わせてカリキュラムを組んで学習も可能。

■特別支援学校

1クラスの定員が最大6人で、施設がバリアフリー化され、ICT機器などの設備も整っている所が多くあります。
専門性が高い教育が受けられますが、学校の数が少ないため遠方へ通う可能性が高いでしょう。

この中でも「通級指導教室」では、普段は通常学級で過ごし、苦手な部分などを週に何度か別の教室で個別に指導してもらえます。

通級指導教室は、ほとんど定型発達の子供と同じ環境で学校生活を送ることができるので、将来の進路を狭めてしまうリスクもほとんどなく、学校から苦手のサポートも受けることができるので、軽度発達障害の子供にとっては最もフィットした学級選びと言えるのではないでしょうか。

利用料金も基本は無料で、多くの場合は学校内に設置されていますが、自治体によって別に設けられている場合もあるので、事前に各自治体の教育委員会や特別支援コーディネーターへ問い合わせてみると良いでしょう。

また、下記の記事では普通学級での対策について書かれています。よければ併せてご覧下さい。

放課後等デイサービス

症状が軽度なものの、子供の成長が気になる場合は放課後等デイサービスを利用するのも良いのではないでしょうか。

放課後等デイサービスは児童福祉法では以下のように規定されています。

放課後等デイサービスとは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く。)に就学している障害児につき、授業の終了後又は休業日に児童発達センターその他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を供与することをいう。

引用元:(児童福祉法第六条の二の二)

発達障害に限らず、障害をもつ就学児童(6~18歳)へ放課後や長期休暇に居場所を提供すると共に、学習や生活力向上のサポートなどを行っている施設です。

厚生労働省によるガイドラインでは以下のような役割が期待されています。

  • 子供の最善の利益尊重
  • 共生社会の実現に向けた後方支援
  • 保護者支援

通常学級に通っている場合でも放課後デイサービスは利用できるので、「症状は軽度だけど学習や生活能力の遅れが心配」という子供をトレーニングするのにも適しているでしょう。

また、放課後等デイサービスに関する別の記事もあります。よければ併せてご覧下さい。

放課後等デイサービスの利用までに必要なこと

放課後等デイサービスの利用までには以下のような手続きが必要です。

  • 施設探し及び問い合わせ
  • 見学・体験や空き状況の確認
  • 自治体への利用希望報告書の提出
  • 受給者証の発行
  • 施設の契約

「受給者証」はお住まいの自治体にある障害福祉課に申請すれば発行してもらうことができますが、発行までは一ヵ月程かかるので事前に申請しておくと良いですね。

放課後等デイサービスでは見学や体験会などを行っている所もあります。
ご利用開始までの手続きや詳しいカリキュラムなどについても説明が受けられるので、「良いな」と感じた施設へ足を運んでみるのも良いのではないでしょうか。

放課後等デイサービスのメリット

放課後等デイサービスでは障害ある子供とそのご家族が安心できる環境を提供し、学習や生活力向上を目的とした各種カリキュラムが組まれています。

放課後等デイサービスは施設によって設備や内容も様々なので、複数の施設を見学してみて検討してみると良いでしょう。

以下に主なメリットをご紹介していきますね。

子供と保護者の安心できる場所

児童指導員や保育士の配置が義務づけられているので、安心して過ごせますし、通所している子供達も何かしらの障害を抱えているので、気兼ねなく過ごすことができるでしょう。

子供の特性に合わせた個別のカリキュラムがあるので、その子に応じた環境を提供してもらえます。

また障害をもつ子供の育て方や悩みについても相談を受け付けているので、親子共に安心できる場所となるのではないでしょうか。

コミュニケーション能力の向上

自閉症スペクトラムやADHDが苦手な「コミュニケーション」を改善するためのトレーニングや遊びが組み込まれていて、時には地域行事へ参加するなどの社会活動を行う施設もあります。

社会性や生活力の向上

掃除や服のたたみ方といった生活で必要な力であったり、集団活動やルールを守るといった社会性のトレーニングなどもあるので、生きていくための基礎能力を身に付けることが期待できるでしょう。

学習のサポートが受けられる

学校の宿題などのお手伝いや、個別のカリキュラムを用意している施設もあるので、学習の遅れの改善や学習能力アップが見込めるでしょう。

利用料は実質1割負担

放課後等デイサービスは障害児通所給付費の対象となっていて、受給者証を取得することで国と自治体から9割の給付を受けることができます。

世帯収入によって、月額の負担上限額もあり、自治体によってはその他にも独自の助成金を設けている所もあるので、金銭的な負担を軽くすることができます。

放課後等デイサービスのデメリット

放課後等デイサービスを利用する際に考慮しておきたいデメリットについてもご紹介しましょう。

利用手続きに手間がかかる

「放課後デイサービスの利用までに必要なこと」の項で述べたとおり、手続きにはある程度手間がかかり、基本的に全て保護者が自分で対応する必要があります。

利用日数や定員に上限がある

自治体によっても違いますが、場合によっては利用日数や施設の利用人数に上限があるので希望どおりにいかないこともあります。

事前にお住まいの各自治体にある「児童発達支援相談窓口」等で相談しておいた方が良いでしょう。

慣れるまでは嫌がる子供も

新しい環境に入る場合、最初は「イヤイヤ」をする子供もいることでしょう。

見学や体験の際に、子供が楽しそうかも観察しながら施設を決めると良いかもしれませんね。

施設によって充実度や料金が様々

施設の設備、カリキュラムやスタッフの充実度などは施設によって様々なので、見学や体験で実際に目で確かめてから決めるのが良いでしょう。

放課後等デイサービスの探し方

先に述べたとおり、放課後デイサービスは施設によって特色があり、障害が重度か軽度かの違いや、施設のタイプが習い事タイプ、学童タイプ、療育タイプなど様々です。

どういったサポートが必要かを意識して探してみることで、子供の成長に最適な施設が見つかるのではないでしょうか。

以下のページでは全国の放課後等デイサービスを検索できるので、施設探しの参考にしてみてはいかがでしょうか。

放課後等デイサービスアップについて

この「子育てに向けてのお役立ち情報」を提供しているアップでは「集団生活の中で生きる力を身につけさせる」を理念とし、発達障害をもつ子供達の特性を改善するための療育支援を行なっています。

「学習」「総合」「運動」の3つの枠組みでそれぞれの子供に合わせたカリキュラムを組み、個別療育を行っています。

例えば、宿題のサポートや個別課題、集団活動、体の動かし方といった、日々の学習支援から社会性を目的とした集団生活のトレーニングなど様々なカリキュラムを実施しています。

お子さんの療育、特性の改善、社会性の向上などのお役に立てることがあるかもしれませんので、ご興味があればお気軽にご連絡くださいね。

まとめ

軽度発達障害の場合、障害か否かを判断するのが難しい場合もありますが、本質的には発達障害を診断されることよりも「日常生活で困難さがないか」が問題と言えるかもしれません。

障害の有無に関係無く、子供が困難を感じている場合は療育やサポートなど、対策を講じる必要があるのではないでしょうか。

その上で学校(学級)選びに迷った際はご紹介した内容も活用して頂ければと思います。