皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場になることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「素行障害の原因」についてです。
皆さんは素行障害をご存じですか?素行障害とは行為障害とも呼ばれ、他者に対し繰り返し攻撃的な行動を起こす障害を表します。
素行障害の原因や対策を解説しますので、参考になれば幸いです。
目次
素行障害の主な原因

素行障害は、生物学的要因と環境要因の両方に原因があるとされています。
生物学的要因と環境要因の2つが互いに複雑に作用し合うことによって、素行障害を引き起こすとされています。
生物学的要因
素行障害の生物学的要因に関することは、まだはっきりとわかっていません。
というのも、現段階ではまだ研究途中であるためです。
素行障害の生物学的要因としては、決まった原因があるとは限りません。
ただ、素行障害のある人は、ドパミンβヒドロキシラーゼ濃度が低いことや、セロトニン濃度が通常よりも異なる数値で見られることが指摘されています。
また、副腎で生成される男性ホルモンの一種であるデハイドロエピアンドロステロン(DHEA)が攻撃性と関連しているとも言われています。
素行障害のある人は、このデハイドロエピアンドロステロン(DHEA)の数値が高い可能性があるとする研究結果もあります。
そのほか、中枢神経の機能障害や損傷によって性格が変わってしまうとも言われています。
情緒不安的な行動を起こしている場合は、素行障害を並存している可能性があります。
ドパミンβヒドロキシラーゼ:神経伝達物質の一つで、脳機能に影響を与えます。
セロトニン:神経伝達物質の一つ。神経伝達物質にはセロトニンのほかにもさまざまな種類があるが、不足するとうつを発病する原因になる。
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA):身体を維持するために必要なホルモンの一つ。
環境要因
素行障害の環境要因としては、家庭の環境や周りの友人から及ぼされる影響が大きいとされています。
家族や仲間から自分が拒絶されていると感じ孤独感を味わうことで反抗心が芽生え、それが反社会的な行動につながることがあります。
具体的な素行障害を生む環境としては、以下のようなものが挙げられます。
- 親が子どもに対して行う拒絶や無視
- 度を超えて厳しすぎるしつけ
- 身体的虐待
- 周囲の友人から拒絶されたり暴力を振るわれること
- 両親が別居しているなどの家庭内不仲
- 家庭内の経済状況の悪化
これらの環境は、素行障害を引き起こすことがあります。
素行障害は生物学的要因と環境要因が相互に作用しあって引き起こされるとされますが、環境要因によるところは大きいので、改善するためには環境の見直しが必要と言えるでしょう。
素行障害に対する詳しい解説は以下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。
素行障害(CD)の特徴と症状、発達障害との関係性
素行障害への対策

素行障害への対応は主に2種類あります。
- 本人を悪影響の出ている環境から引き離し、保護施設などに隔離する
- 自信をコントロールできるように精神療法を施す
家族間が不仲あるいは正常な生活を送れる状態ではない場合、早急に環境を変え保護施設などへ隔離する必要があります。
素行障害を患っている方に「〇〇をしてはいけないよ」と指導しても効果はありません。本人は自分に誤りがないと確信しているためです。
しかし、施設に隔離する以外にも、精神療法を施すことにより自尊心や自己コントロールを改善できる場合があります。
素行障害を発症しやすい人

素行障害の発症率は、小児期から青年期にかけて上昇の一途をたどります。
また、女性よりも男性の方が発症率が高いとする研究結果も寄せられています。
素行障害を発症しやすい性格
素行障害には、発症しやすい性格というものがあります。
それはまず、ネガティブであること、また自己制御を苦手とすることです。
具体的には、以下のような症状を持つ人が、素行障害を発症しやすいとされています。
- なんでもないようなことでもすぐに怒ってしまう
- かんしゃくを起こし気味である
- 他人のことを信用しておらず、疑い深い
- 悪行をすることに対して、罪悪感が欠如している
- スリルを追い求めている
- 先のことを考えず、強引に行動しがちである
上記のような気性をもともと持つ人は、素行障害に陥ってしまう傾向にあります。
なんでも悪い方向に考える思考や自分で自分に歯止めを効かせられない特性は、素行障害を呼び起こしやすいので注意が必要です。
素行障害はADHDの二次障害でもある
素行障害は、発達障害の一つであるADHDの二次障害として発病する可能性があります。
発達障害とは生まれつき脳機能に偏りが出てくる症状であり、主にASD、ADHD、LDが挙げられます。
そしてADHDとは注意欠如・多動性障害とも呼ばれ、注意力不足・じっとしていられない・衝動的な症状が単独または複合して現れるものです。
二次障害として発病する原因として「自分を正しく認めてもらえない」という自己肯定感の低さが挙げられます。
たとえば本人としては気を付けてやったつもりでも失敗に終わったことについて、失敗したと指摘すると自己肯定感がなくなります。
そして次第に「自分のがんばりを見てくれない」と感じて次第に反抗的になるのです。
ADHDについては別途まとめていますので併せてご覧ください。
発達障害ADHDとはどんなもの?Aさんの体験談とは?詳しく説明します
まとめ
素行障害は症状が認められた場合、ただちに対処が必要です。
また、素行障害が合われることのないように過ごしやすい環境を整えていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。