皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所となることを願って投稿させていただきます。今日のトピックは「昔はいなかった発達障害の子ども」についてです。
みなさんの中に、発達障害って現代人特有の障害だと思っている方はいらっしゃいませんか?
発達障害について「昔はいなかった」もしくは「聞いたこともなかった」と言う方も両方います。
最近よく見聞きするようになったため、現代病の一つなんだと思われることもありますが、発達障害は決して現代病ではないんです。
障害を理解していないと、悪気がなくても、知らない事や勘違いが原因で差別や偏見につながってしまう可能性があります。
そこで今回は発達障害の歴史を交えて、昔と今の周知状況や今後の課題についてお伝えします。
目次
実は昔からあった発達障害
実は、発達障害は現代に始まった事ではなく、ずっと昔からあったとされています。
しかし病気や障害というのは多くの研究や事例をもとに、医学が進歩して初めて発見されますね。
さらに、世の中に公表されたとしても、世間で耳にするようになるためにはとても時間がかかってしまうため、未だに知らない方も多いのだと思います。
発達障害に対する昔の理解
見た目でわかる怪我や身体の障害と比べ、見た目が普通な発達障害の子どもたちは周りからのサポートや理解を受けにくい立場にありました。
そして、当時は次のように思われることがあったそうです。
【発達障害に対する昔の理解】
- 何か変な子
- 落ち着きがない子
- 人の話が聞けない子
- 無口で話が出来ない子
- 暴力的で危ない子
- 勉強が出来ない子
- しつけの出来ていない子など
障害だと思われていないために、性格や勉強の努力不足、しつけの問題など他の部分に原因があると考えられてしまいました。
本人としても何故上手くできないのかを悩み不安に感じる事も多かったと思います。
さらに、ご両親のしつけが出来ていないと非難されることもあり、本人はもちろんその家族も一緒に責められ苦悩することもあったようです。
ご両親も一緒に苦しい思いをしていたとなると、想像するだけでつらいものです。
発達障害の歴史
それでは、発達障害がどのように日本に広まってきたのかをご紹介します。
発見はアメリカ
アメリカの医学界では、なんと1930年代頃からすでに自閉的な考えや多動についての発見や報告がされていたのです。
さらに1959年頃には微細脳障害(MBD)という、現在の発達障害のもとになる障害がすでに考えられていました。
微細脳障害とは、現代における注意欠陥・多動性障害(ADHD)の昔の呼び名です。
微細脳障害(びさいのうしょうがい、Minimal Brain Dysfunction)(MBD)とは、知能がほぼ正常範囲で、視力、聴力、運動機能に大きな障害もなく、行動上あるいは学習の上で多様な症状を見せる群である。
引用先:微細脳障害|ウィキペディア
しかし聞いたことのある方はほとんどいませんよね。
発達障害としては、1987年にアメリカ精神医学会の診断基準に初めて記載されたことで知られるようになりました。
さらに1994年には、改善の見込みのある障害と考えられるようになり、治療の対象として位置づけられています。
発達障害と日本
日本の発達障害としての考えは、アメリカ精神医学会の発表後の1980年代後半に入ってきており、そこから少しずつ認知されるようになってきています。
はじめに広く使われるようになった言葉として、軽度発達障害と言うものがありますが、これは知的障害を伴わない事が軽度だとして用いられたようです。
しかし、一般的には発達障害の軽いものだと誤解を生むことが多く、正式な障害名でもありませんでした。厚生労働省はこの障害名に対して注意喚起し最終的には原則的に使用しないと決定しました。
この用語は、ご存じのようにWHO(世界保健機構)が出しているICD-10や米国精神医学会が出しているDSM-VIといった診断の手引き書で定義されたものではありません。
引用元:軽度発達障害をめぐる諸問題|厚生労働省
2005年4月発達障害者支援法施行
発達障害としての考えが伝わってから約15年後、発達障害のための法律が整備されました。
様々な混乱や誤解がありましたが、これにより発達障害やそれぞれの症状に対しての定義が決められることとなったのです。
それぞれの定義を要約してお伝えすると
- 他人との社会的関係が作りにくい
- 言葉の発達が遅れる
- 興味関心が狭く、こだわりが強い
- 身体にも何かしらの障害の可能性がある
※自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群などとまとめてASDとも呼ばれます。
- 聞く、話す、読む、書く、計算など特定の事が難しい
- 身体にも何かしらの障害の可能性がある
- 身体の障害が原因でないものを言う
- 年齢や発達よりも明らかに不注意で落ち着きがない
- 学校生活や勉強にも支障がでる
- 身体にも何かしらの障害の可能性がある
※7歳以前に現れると書きましたが、大人になってからADHDだと診断されるケースもあります。
と言う風に定義され、それぞれの症状や発達障害に対しての理解がしやすくなりました。
そしてこの法律の目的は、適正な発達や社会生活を送るために発達障害に対して早期から継続的に支援して、分け隔てなく暮らせるようになる事だとされています。
(参考元:5.発達障害について|文部科学省)
今後の課題
発達障害者支援法ができて、ようやく体制が整ってきてはいますが、まだ多くの課題が残されています。
未だに低い知名度と理解
最初の方にお伝えした発達障害に対する昔の理解というのは、実は今でもその状況が続いているところがあります。
調べてみると、最近でも学校教育場面で無理な努力を強いられている方も居るようです。発達障害に対する対応がまだまだ広がっていない事が分かりました。
我が子は、手先や身体全体をスムーズに動かすことができません。字を書くだけでも多くの時間を要します。本人の努力不足、親の躾にせいと責められ辛いです。学校現場の理解もまだまだです。眼鏡や補聴器と同じように、書く事が苦手な子供には、タブレットなどの使用を認めてほしいです。
引用元:学校での困りごと全般:困りごとのトリセツ(取扱説明書)|発達障害プロジェクト(NHKオンライン)
新しい問題への対応
定義や法律というのは、施行されてからも不十分な点が見つかると徐々に改正されていくもので、最近の発達障害者支援法の改正は平成28年6月3日です。
しかし改訂するためには非常に時間がかかり、どうしても対応が後手に回ってしまいます。そのため、今現在まだ対応が出来ていない部分が色々とありますのでご紹介します。
家族への支援不足
上記のツイートでは発達障害のお子さんを育てる家族への支援が追い付いていないことが分かります。
グレーゾーンの方への支援不足
発達障害と診断はつかないもののハッキリと断定できないグレーゾーンと呼ばれる方々の存在が分かりました。
このグレーゾーンの領域とは、発達や能力の偏りがあるものの、医療としての診断名が付かない程度の状態を表わしているようです。
診断が付かないために当事者が苦悩していても、サポートや支援などを受けるのがなかなか難しい状況にあります。
上記ツイートにはグレーゾーンへの理解を求める方からのリプであふれています。
グレーゾーンについてはこちらの記事もよろしければ参考にしてください。
知らない、分からないことが、上のTwitterの先生の拒否感につながっているのかもしれないな…
民間でも広がるサポート体制
法律や制度が追い付いていない中、民間でもサポートしようという動きを見つけました。下記ツイートではグレーゾーン向けの集会場を告知しています。
まとめ
今回は発達障害の歴史を交えて、昔と今の周知状況や今後の課題についてお伝えしました。
発達障害は今も理解されていない面がありますが、少しずつ発達障害に対する理解が広まり、民間の方々がサポートしようと動き出していることが判明しました。
今後少しでも発達障害に対する理解が広まるよう情報をお伝えして、みなさんにとって暮らしやすい環境になるお手伝いが出来ればと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。