皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所になることを願って投稿させていただきます。

今日のトピックは「つま先歩きと発達障害の関係」についてです。

あなたのお子さんはつま先歩きをしたことがありますか?

つま先歩き」は発達障害“自閉スペクトラム症(ASD)“の子どもに見られる行動の一つです。

つま先歩きをする理由や対処方法などを知ることで、将来の二次障害を未然に防ぐきっかけをつかんでいただければ幸いです。

avatar
大竹
つま先歩きには、尖足歩行(せんそくほこう)の別名があるんですよ。
avatar
青木
つま先歩きも尖足歩行(せんそくほこう)も、どちらも「歩く時にかかとを地面へ付けられず足先で歩くような状態」を表します。

発達障害の子どもがつま先歩きをする理由

つま先歩きやつま先立ちと言った行動は、自閉スペクトラム症(ASD)の子によく見られる傾向であり、感覚に関係した理由が3つ考えられます。

【感覚に関した3つの理由】

  1. 感覚過敏
  2. 刺激を取り込みたい(自己刺激)
  3. 脳の状態を調整

感覚過敏

一つ目の理由は、他の人が何も感じないようなものでも足の裏の感覚が過敏になってしまい、触れると痛みや不快感が生じてしまう「感覚過敏」です。

足の裏の感覚が過敏なので、床にかかとをつけないようにしていると考えられています。

つま先歩きをする場所が不特定多数ではなく特定の場所だけの場合は、その床に使われている素材が不快だと感じているのかもしれません。

感覚過敏の中にはつま先歩き以外に抱っこができない子もいます。

理由は皮膚感覚が過敏になり、触られると痛みや不快感を感じてしまうためで、抱っこした時に嫌がったり反り返ったりしてしまうのです。

刺激を取り込みたい(自己刺激)

二つ目の理由は刺激を取り込みたい(事故刺激)です。

感覚過敏とは逆に刺激を感じにくい(鈍麻)子は、自分で感覚を求めて刺激を作り出そうと、つま先で歩くことがあるようです。

刺激を求めて自分の頭を叩いたり、手を叩いたり、飛び跳ねたりという行動を取る可能性があります。

脳の状態を調整

三つ目の理由は、自閉スペクトラム症(ASD)の子が脳の機能を調整しているからです。

自閉スペクトラム症の子はつま先歩きをして感覚を刺激することで、脳を起こそうとしている可能性があります。

補足

体の傾きや揺れなどのバランスを取るために必要な感覚を前庭覚といい、心拍数や感情をコントロールする自律神経とも深く関わっている感覚です。

前庭覚が感じにくい人は、刺激を受けても落ち着いた気持ちになるような弱い刺激に感じるため、眠くなる傾向にあります。

YouTube動画では理学療法士の方が自閉症の子の身体的な特徴をわかりやすく説明しています。参考にしてみてください。

自閉スペクトラム症(ASD)について

自閉スペクトラム症(ASD)は発達障害のうち代表的な症状のうちの一つに該当し、脳の障害により以下の症状が出やすい精神障害です。

  • 相手の立場や考えを理解しにくい
  • 自分の考えを伝えるのが苦手
  • 自分のこだわりに執着し敏感

参考元:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について | eヘルスネット(厚生労働省)

自閉スペクトラム症(ASD)の子は情報処理能力が健常者と異なるため、一般的にコミュニケーション障害が発生しやすい傾向にあります。

自閉スペクトラム症(ASD)についての解説は別途記事があるので参考にしてみてください。

つま先歩きを軽減するには?

つま先歩きやつま先立ちをするとどういったデメリットが生じるのでしょうか?

つま先歩きが続くと二次障害の可能性あり

つま先歩きをしてしまうと疲れやすくなり、足がつりやすく、日常生活にも支障をきたしかねません。(二次障害)

自閉スペクトラム症(ASD)の子は「つま先歩き」をする特性があり、長い期間続けてしまうと足首が硬くなり負担がかかる状態になります。

つま先歩きを軽減する方法

子どもが楽しく続けられるように遊び感覚や日常的にできる方法を見つけましょう。

感覚に過敏な場合は床が不快に感じている可能性があるため、可能であれば床の素材を検討してください。

床全面を変えるのが難しい場合は、感覚の発達を促すような遊びを取り入れてみましょう。

保護者の方もお子さんと一緒に遊べばお子さんに安心感を与え、自らいろいろなことにチャレンジしてくれるようになるかもしれません。

【感覚の発達を促すような遊び方】

  • ソファなどの柔らかい物の上でジャンプ遊び
  • クッションを繋げてその上をバランスよく歩く
  • トランポリン
  • すべり台
  • アスレチック
  • 平均台歩き(細い線の上を踏み外さずに歩く)
  • ハイキング

上記の遊び方のうち、クッションをつなげてその上をバランスよく歩くために、可愛いキャラクター柄のクッションを選べばクッション歩き以外にも使えて便利です。

保護者が子どもと一緒に遊ぶ時の注意点

重要なのは「楽しむこと」。嫌がっている時に無理やりさせてしまうと、遊びが「嫌いなもの」になってしまい、継続できなくなってしまいます

本人が嫌がっている時は、無理をせず楽しくなる遊びを考えてあげましょう。

また、「つま先歩き」だけでなく、そのほかの行動も場合によっては将来的に何らかの障害となってしまう可能性もあります。

早期発見および早めの対応が重要なため、不安がある場合は1人で悩まずに、早めにかかりつけの医師や、自治体の発達相談窓口に相談してみましょう。

健常児でもつま先歩きはするのか

つま先歩きは発達障害(自閉スペクトラム症)に見られるよくある特徴の一つです。しかしつま先歩きをするからといって、必ずしも発達障害というわけではありません

発達障害(自閉スペクトラム症)の子は普通よりつま先歩きをしやすい傾向にありますが、健常児でも遊び感覚や足に違和感がある時は、つま先歩きをします。

ですから「つま先歩きをする」=「発達障害」と決めつけるのはやめましょう。

発達障害の場合、つま先歩きの他にも別の症状を併発している可能性があるのでよくお子様を観察してみてくださいね。
発達障害の種類について知りたい方は、発達障害関連のまとめ記事を参考にしてください。

avatar
青木
発達障害かそうでないかを判断するためには、お子さんの行動をよく観察しましょう。
avatar
大竹
発達障害の症状が他にも出ていないか、どんなことを嫌がるのかなど現状把握が大切ですね。

まとめ

  • つま先歩きをする理由は「感覚過敏」「感覚鈍麻」「脳への刺激」の3つの可能性あり(感覚の発達異常によるもの)
  • つま先歩きを長時間続けると二次障害が発生しやすくなる(足首を痛める、疲れやすくなる)
  • つま先歩きを軽減するには環境調整や足裏の感覚を養う
  • つま先歩きをする=自閉スペクトラム症ではない

つま先歩きをするからといって、必ずしも「発達障害」とは言い切れません。健常児でも癖や遊び、足裏の違和感などでつま先歩きをすることはよくあるからです。

発達障害の場合は他の症状を併発している可能性があります。お子さんの行動はじっくり観察してください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。