皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場になることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「放課後デイサービス 資格」についてです。
放課後デイサービスは発達障害などを持つ子供たちが学校の後や休みの日に通い、運動や学習などの療育を行うところです。
子育てしながらも仕事をされている方や、子供に色々な経験を積んで欲しいと考えている方にとっては非常に助かる施設ですよね。
しかし、いざ自分の子供を預けるとなると、安心して任せられるか心配になる方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、放課後デイサービスで働いている人はどんな資格を持っていて、どんな仕事をしているのかを紹介していきます。これを知っておけば、子供を安心して任せられる施設選びに必要なことが分かってきます。
目次
放課後デイサービスは資格がないと運営できない
放課後デイサービスには、必ず児童発達支援管理責任者(以下、児発管)がいます。児発管になるには、資格が必要です。
また、児童にあった人数の児童指導員も存在します。児童指導員という名の資格はありませんが、要件を満たした人しかなれません。
それぞれの資格、条件を満たす人がどんな仕事をしているのか、どんな資格なのかを紹介していきます。
その前に放課後デイサービスの内容について知りたい方はこちらを参考にしてみて下さい。
児童発達支援管理責任者の仕事
児発管はその施設の中心的な人物になります。主な仕事は、子供一人ひとりに合わせた個別支援計画の作成です。
放課後デイサービスなどに通い始める時に作成するものです。
子供の特徴や課題を明確にして、目標を決めて、その目標を達成するためにどんな指導・訓練を行っていくかの計画を建てます。
個別支援計画の作成には、利用者との面談や他の職員との会議などの過程を経ますが、原案作りと正式な書類作成は児発管の仕事になります。
他には、子供の経過観察と保護者への報告・相談、他の職員への指導やアドバイス、関係機関との連携などの仕事もします。
児発管の詳しい仕事内容は求人サイトのLITALICOキャリアで紹介されています。
そんな児発管になるためには、長年の実務経験と研修の両方が必要です。
児童発達支援管理責任者になるには?
児発管の資格を得るためには、厚生労働省が定めた実務経験と研修を、以下のような流れで修了する必要があります。
児発管になるための実務経験
まず、実務経験として加算される業務は二種類あります。相談支援業務と直接支援の業務です。
相談支援業務は、障害を持った児童(18歳未満)を対象に、日常生活の自立を目指した助言指導や支援などを行う業務です。
定義はこのように定められています。
身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の日常生活に自立に関する相談に応じ、助言、指導その他の支援を行う業務その他これに準ずる業務
【千葉県】サービス管理責任者の要件となる実務経験について
障害のある人がどんなサービスを受けられるのか、適した施設はどこなのかなどのアドバイスをしたり、施設に入るまでの書類の準備や手続きのサポート等をしたりする仕事です。
この仕事に3年間就くことで基礎研修を受講できるようになります。
以下の表に書かれた職場が加算されます。
直接支援の業務は、障害を持った児童の入浴、食事などの介護、日常生活で必要な動作の訓練、職業訓練などを行う業務です。介護者を対象とした指導を行う業務も加算されます。
定義は以下のようになっています。
身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき、入浴、排せつ、食事その他の介護を行い、又は日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、生活能力の向上のために必要な訓練その他の支援(以下「訓練等」という。)を行い、並びにその訓練等を行うものに対して訓練等に関する指導を行う業務その他職業訓練又は職業教育に係る業務
【千葉県】サービス管理責任者の要件となる実務経験について
こちらは社会福祉主事任用資格等を持つ場合は3年、持たない場合は6年間勤務することで基礎研修が受講可能となります。
社会福祉主事任用資格とは、自治体で社会福祉(障害者、児童、高齢者、生活困窮者などの保護・援助)を行う仕事をするために必要な資格です。
社会福祉主事任用資格者、介護職員初任者研修以上に相当する研修を修了した者、保育士、児童指導員任用資格者、旧法の精神障害者社会復帰指導員任用資格者
以下の表にある職場が加算されます。
国家資格等による業務とは、医師や社会福祉士などの国家資格が必要な業務のことです。
例えば、薬剤師の資格を持つ人が薬局で働くなどです。薬剤師の資格を持っていても、薬剤師資格の必要ない仕事をしている場合は、計算に加えられません。
5年以上その仕事についている場合、相談支援業務か直接支援の業務を1年間行うことで基礎研修を受けることができます。
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、
介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、
きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士を含む。)、精神保健福祉士
基礎研修受講後、実践研修前の5年間の間に2年以上、これらいずれかの業務を行うことで児発管の資格を得ることができます。
また、他に児発管がいる場合は、基礎研修を終えた時点で個別支援計画書の作成などの児発管としての仕事を行うことができます。
児発管になるための研修
児発管になるためには、相談支援従事者初任者研修(講義部分)とサービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者(基礎・実践)研修が必要です。
相談支援従事者初任者研修は、2日間の講義と5日間の演習に分かれていますが、児発管になるには講義部分の2日間を受ける必要があります。講義は2日間の合計で約12時間です。
講義の内容は、相談支援の目的から必要な技術、家族支援と地域資源の活用への視点などです。
参考 【令和3年度】東京都相談支援従事者初任者研修プログラム(案)
サービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者研修は基礎、実践、更新に分かれており、基礎は3日間、実践は2日間の研修が行われます。
研修の目的は以下のように示されています。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下「障害者総合支援法」という。)及び児童福祉法の適切かつ円滑な運営に資するため、サービスや支援の質の確保に必要な知識、技能を有するサービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者(以下「サービス管理責任者等」という。)の養成を図ること。
引用 【総合健康推進財団】保健福祉研修センター
児童指導員の仕事
児童指導員は個別支援計画を基に、子供たちに学習の指導や日常生活に必要な動作の訓練などを行います。
放課後デイサービスにおける子供たちにとっての先生的な役割を担っています。送迎や活動記録を作成するなどの事務作業も行います。
児童指導員として働いている方は、児発管や相談支援専門員などを目指している方が多くいるようです。
相談支援専門員は、障害のある方やその家族が、必要な支援やアドバイスなどのサービスを受けられるようにサポートする人です。
児童指導員になるには?
児童指導員という資格はありません。しかし、誰でもなれるということではありません。
児童指導員になるには、児童指導員任用資格が必要になります。他の資格を持っていたり、要件を満たしていたりすると、児童指導員の仕事に就くことができます。
・4年制大学または大学院の社会福祉学、心理学、教育学、社会学部を卒業している
・厚生労働大臣の指定する、児童福祉施設の職員を養成する学校かその他の養成施設を卒業している
・教員免許、社会福祉士、精神保健福祉士のいずれかの資格を持っていて、大臣や知事の認定を受ける
・高卒以上で2年以上障害福祉サービスで働く
・3年以上障害福祉サービスで働き、大臣または知事が適当と認定する
資格を持っていない人はどんなことをしているの?
放課後デイサービスでは、資格がなくても働ける役職があります。それは主に管理者と指導員です。
管理者の仕事
管理者の仕事は施設の運営や職員の管理、外部との連絡やお問い合わせの対応などです。
子供たちと直接関わる仕事ではなく、施設全体の管理を行っています。各施設に一人以上必要ですが、他の役職との兼務も可能です。
指導員の仕事
指導員は主に児童指導員のサポートを行います。送迎や事務作業なども行います。
管理者とは違って子供たちと直接触れ合う仕事であるのに、資格なしでも働けるとなると、保護者としては少し不安になるかもしれません。
しかし、子供たちの人数に対して児童指導員や保育士などの有資格者の人数が定められているため、資格のない人に子供たちを任せっきりにする施設はほとんどありません。
子供5人に対して1人以上は有資格者か経験者がつく必要があります。
児童指導員、保育士、障害福祉サービス経験2年以上の者の必要人数
1.子供たちの数が10人以下⇒2人以上
2.子供たちの数が10人より多い⇒2人以上+子供が5名以下増すごとに1人以上追加
半数以上が児童指導員か保育士であること
機能訓練の資格を持つ人がいるところも
他にも機能訓練を行う放課後デイサービスでは、機能訓練士の資格を持つ機能訓練指導員がいる場合もあります。
機能訓練指導員とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などです。放課後デイサービス以外では、病院やリハビリ施設で働くことができる人たちです。
機能訓練指導員の詳細については日本機能訓練指導員協会を参考にしてみて下さい。
理学療法士は運動機能、作業療法士は入浴・食事・掃除・創作活動、言語聴覚士は音声機能・言語機能・聴覚機能に対する訓練を行います。
重度の心身障害を受け入れている施設では、機能訓練担当職員を配置するよう定められています。
入る前に見学や質問をしっかりしよう
放課後デイサービスの職員の資格や仕事内容を見てきましたが、療育の内容はその施設により様々です。
放課後デイサービスのタイプ
学習面を重点的に見てくれるところや運動を通して機能向上を目指すところ、また、学習や運動に力は入れず、子供を預かってくれる場所としての役割を果たすところ等です。
こちらの動画では、それぞれの施設でのポイントが紹介されています。
親子の目標に合わせた施設を選ぶようにしましょう。
アップでは、学習と運動のどちらも行っています。また、プログラミングの学習も行っています。
どんな人たちがいるのか見学・相談で見極めよう
目的にあった施設を見つけたら、見学や相談に行きましょう。その際、今回得た知識を基に、どの役職の人がどのくらいいるのか、児発管との相性はどうかなどを確かめてみましょう。
評判の良いところでも、児発管との相性や指導員の子供への接し方など、見学してみないとわからないことがたくさんあります。
相談・見学は積極的にしていきましょう。
まとめ
今回は、放課後デイサービスで働く人たちの持つ資格や仕事内容を紹介しました。
ポイントは以下の通りです。
- 資格を持っているのは児童発達支援管理責任者であり、多くの実務経験と研修を受けている。
- 児童指導員は大学・大学院・専門学校などを卒業し、任用資格を持っており、障害に関する専門的な知識を持っている。
- 資格を持たない場合は、子供と直接関わらない仕事や資格を持つ職員のサポートが中心。
- 学習型、運動型、余暇型など場所によって力を入れていることが違うため、子供の目標にあったところを選ぶ。
- 児童発達支援管理責任者との相性や指導の方法などは相談・見学をして確かめる。
放課後デイサービスの事業所は年々増加しています。人員が足りなくなると職員の教育などがおろそかになってしまうところも出てきてしまうでしょう。
保護者の負担を減らすため、子供たちの機能向上のためにもじっくり考えて選んでいきたいですね。