皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「特異的言語発達障害」についてです。
発達障害についての研究は日々行われていますが、その中でも比較的新しく考えられた症状で、特異的言語発達障害というものがあります。
目次
言葉の発達だけ遅れる
特異的言語発達障害とは聴覚や知能、対人関係の障害などの発達が遅れる原因が無いにも関わらず、言葉の発達だけが特別に遅れている状態を言います。
言葉以外は正常なため、周囲への関心やコミュニケーションに対する意思もはっきりと見て取れる事が多いようです。
原因は脳の一部に先天的な異常があるためだと言われていますが、具体的なことはまだ解明されていません。
言葉の発達には個人差が大きいため、発達の遅れに気づかない場合や逆に遅れているようで問題ない場合など様々なケースがあるようです。
特異的言語発達障害の分類
英語ではSpecific Language Impairmentと表されるため、頭文字をとってSLIという略語で呼ばれることがあります。
Specific:明確な
Language:言語
Impairment:減損(減ること)
発達障害の診断の基準にも使われているICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)というものがあります。
ICD-10の中に表出性言語障害と受容性言語障害という診断名があり、これらが特異的言語発達障害にあたるとされているようです。
子どもで、特に幼児期に特異的言語発達障害の診断名が付けられることがあります。
表出性言語障害とは
聞くことにはほとんど問題が無く、言葉の理解はできているのに、話すことが極端に難しい状態を言います。運動型と表現されることもあるようです。
実際に見られる様子としては
- 名称が言えず「あれ」「それ」などで代用する
- うなずきや首振りなどジェスチャーが多い
- 同年代と比べて文章や単語が言えない
- 言葉の間違えが多い など
重症の場合になると単語も言えない場合があり、特定の文字のみ(例えば「ま」や「お」など)を発音する事もあります。
表出性言語障害と他の障害を合わせもつ男の子が話している様子の動画を見つけました。純粋な表出性言語障害ではないようですが、イメージがしやすいと思いましたのでご紹介いたします。
受容性言語障害とは
表出性言語障害とは逆の意味合いがあり、聞いた言葉を理解することが難しい状態をいいます。
しかし実際には言葉の理解が難しいために、言葉を覚えること自体が難しく、結果的には話すことに対する発達も遅れてしまう場合が多いようです。
運動型に対して、こちらは感覚型と表現されることもあります。
特徴としては
- 簡単な指示が分からない
- 文法の間違いが多く、長い文章で話すのが苦手
- 同年代より知っている単語の数が少ない
- 成人になっても影響が残りやすい
- 会話に対して消極的 など
全体的に受容性言語障害の方が重度化しやすく、言葉の発達の遅れも目立つ傾向にあるようです。また、コミュニケーションがうまく行えないために孤立しやすく二次障害の危険性も高まります。
言語障害が原因で様々なストレスが起こる可能性があり、そのストレスにより、抑うつや対人恐怖症などの様々な精神障害を併発した状態をいいます。
特異的言語発達障害への対応
症状の状態や子どもの特性などによって対応方法も様々であり、残念ながら必ずこうした方が良いという方法はありません。
すでに診断を受けている場合は担当医へ、診断を受けず言葉の発達ついてお悩みの方は専門機関に相談する方が良いと思われます。
言葉の障害に対応する専門職や相談窓口ついてお調べしましたので次をご覧ください。
言語聴覚士
英語ではSpeech Therapistと言われ、日本でもSTと呼ばれることがあります。
発達上の問題などでこのような機能が損なわれることがあります。言語聴覚士はことばによるコミュニケーションに問題がある方に専門的サービスを提供し、自分らしい生活を構築できるよう支援する専門職です。
引用元:日本言語聴覚士協会
医師の指示のもとにリハビリテーションやトレーニングを行う事が多いため、主に医療機関に所属していますが、保健施設や福祉施設、教育機関などでも活躍しています。
ことばの教室
言葉に対して難しさを抱える子どもが、言葉の学習や改善を目的に通うことのできる場所です。通級による指導が行われるため、普段は通常学級に在籍することができます。
- 週に1回(45分~90分)
- 回数や時間は状態に応じて決める
- 送迎や学習には保護者の付き添いが必要
- 無料で受けることができる
- 特定の学校に設置されている(他校からも通級できる)
などの特徴があり、原則的に保護者の付き添いが必要ですが、一緒に学習方法や言葉の状態を知ることができます。
各相談窓口
いろいろな対応や言葉の学習をするにも、まずはどこに行けばよいかを知る必要があります。
- 発達障害者支援センター(相談窓口の情報)
- 子育て支援センター(市町村の担当窓口)
- 児童発達支援センター(市区町村の担当窓口、または発達障害者支援センターにお問い合わせ)
各地域によって対応してもらえる病院やサービスなどに違いがありますので、言葉の発達でお悩みの方はご相談してみてはいかがでしょうか。
家庭での対応
先ほどもお伝えしたように、確実に良い方法というのは無く、子どもに合わせた対応が必要となります。
言葉の発達という面で考えると、言葉が分からない→話さない→新しい言葉を覚えない…という風な悪循環になるのは良くありません。
発達障害では、文字と音、意味などをバラバラに覚えてしまい、それぞれがつながらないという事があるようです。
リンゴで例えると
- 文字が読めても何かは分からない
- 絵のリンゴは答えても写真だとわからない
- リンゴと言えても、文字が分からな、書けない など
そのため、バラバラに覚えているものを五感を使いながらつなげていく作業が必要になります。また、話す機会をストレスにならない程度に増やすことが必要です。
自閉症の子の場合ですが、言葉の練習をしている動画がありましたのでご参考になればと思います。
サービスの利用
福祉サービスを利用することで、状態に合わせた対応をしてもらいながら子どもの発達を促すことができます。
その中の一つとして放課後デイサービスというものがありますので、こちらもご覧ください。
まとめ
今回は発達障害の中でも聞き慣れない、特異的言語発達障害の説明をしてきました。
言葉の発達だけが特別に遅れている場合に付く診断名という事が分かりましたが、言葉の発達には大きく個人差があります。
解明されていない部分も多いようですが、たくさんの専門機関があり、色々なサポートを受けられる場合もありますので、不安に感じた場合は一人で悩まず電話での相談だけでもしてみましょう。