皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害の日常生活の困りごと」についてです。
目次
発達障害を抱える人の日常生活を苦しめる原因
見えない壁
発達障害を抱える本人の辛さは一体何なのでしょう。ストレスを少しでも軽減するために会社の同僚や家族ができることとは何なのか。それは、決まった概念やルール、型にはめようとする社会の壁が原因なのではないでしょうか。
例えば、絵を描くときに画用紙からはみ出たらいけないだとか…、ちゃんと綺麗に並んで静かにしておかないとダメだとか…。
また、会社でサングラスはおかしいだとか、ヘッドフォンは外しなさいだとか…。
もちろん困っていることはたくさんありますが、困っていることが方法や物、環境であれば、取っ払うとか変更することで改善できることも少なくないのです。
いつも彼らを苦しめているのは、「○○は○○でないといけない」という私たち一人一人の中にある社会的概念こそが障害なのではないでしょうか。
やらないのではなく、できない
そもそも日本人は、形が揃ってるものを好むと言われますが、それも一つの問題なのかもしれません。形が揃ってなくて当たり前、いろんな形があっていいとは思いませんか。
短いウインナー、長いウインナー、いびつな形をしたウインナーどれも美味しいウインナーに変わりはありません。
あまり笑わない、怒りっぽい、ヘラヘラしすぎ。紛れもなく同じ人間です。もちろん、ある程度TPOに合わせることが必要な場面もあるでしょう。
ここで一番伝えたいことは、許容できる部分はある程度譲ってあげてもいいのではないかということです。そのためには、本人を取り巻く家族や同僚、友人、ご近所さん、周りの人全てが本当の意味で理解してあげることです。
例えば、町内会の集まりで班ごとに並ぶ際、いつまでも喋っていてうるさい子がいたら、白い目で見るのか、「うるさい、静かにしろ!」と注意する人が多いのも現状です。
そんな中、大抵の親御さんが周りを気にして「静かにして!」と言うと思いますが、そんな時、「いいんだよ〜、みんながいて楽しいんだね〜」など優しい言葉の一つでもかけてあげられる周りの方がいてくれたらどうでしょう。
本人の自己肯定感も良い方向に育ち、親の精神的な苦しさも軽減できるのではないでしょうか。
彼らはやらないのではなく、できないのです。TPOに合わせることも大切なのはもちろんですが、それができない人がいるということを十分に理解してあげる社会を一緒に作っていけたら、もっともっと素敵な世の中だと思いませんか。
そもそも発達障害とは
発達障害はいくつかのタイプに分類されており、自閉症、アスペルガー症候群、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害、チック障害、吃音(症)などが含まれます。
これらは、生まれつき脳の一部の機能に障害があるという点が共通しています。同じ人に、いくつかのタイプの発達障害があることも珍しくなく、そのため、同じ障害がある人同士でもまったく似ていないように見えることがあります。個人差がとても大きいという点が、「発達障害」の特徴といえるかもしれません。
引用元:厚生労働省
発達障害は行動や認知の特徴「特性」によって、主に次の3つに分類されます。それぞれは重複することもあり、人によっては複数の特性をあわせ持つ場合もあります。
代表的な症例3タイプとその特徴や困った場面
自閉症スペクトラム障害、アスペルガー症候群(ASD)
相手と何を話していいのかわからないことや空気が読めないなどコミュニケーションに影響する症状が特徴です。
- 冗談や例え話を理解できず、真に受けて怒る
- 興味のあることを一方的に話し続ける
- チームやグループでの共同作業や業務がうまく進められない
- 予定変更や習慣を阻害されると不機嫌だったり怒る
- 自分からあいさつしてくれない
- 目を合わせてくれない
注意欠陥・多動性障害(ADHD)
気になったものに意識が向いてしまい、集中力がなく落ち着いていられないなどの特徴があります。
- 優先順位がわからず仕事が進んでいない
- 締め切りを守らない
- 人の話をじっと聞いていられない
- 空気を読めないため、不適切な発言や場違いなことを言い出す
- 注意散漫で物事に集中できない
- ちょっとしたミスが多い
- 忘れ物や失くしものが多い
- 遅刻が多い
- 整理整頓が苦手で片付けられない
- 予測や考えなしに行動してしまう
学習障害(LD)
文字の読み書き、聞く、話すなどの会話、計算などが苦手です。
- 読む・書く・計算するなど特定の分野だけ極端にできない
- 文字や行の読み飛ばしが多い
- ひらがなで書けない文字がある
- カタカナや漢字を覚えられない
- 数を数えられない・数が書けない
- 時計が読めないため時間がわからない
なぜ?原因を改善すればいいんじゃないの?
治すことができない
「躾け方が悪いからそうなるんだよ」「病院に行ってちゃんと良くしてもらえばいいじゃん」とお思いになるかもしれません。確かに躾けも大事だし、病院に行って治療することも大切です。
しかし、冒頭でお伝えしたように発達のアンバランスさによって、脳内の情報処理や制御に偏りが生じ、日常生活に困難をきたしている状態であるため、躾けや病院では限界があるのです。
現在のところ発達障害を根本的に治すことはできません。発達障害の特性、つまり「感じ方」「考え方」「行動の仕方」は生まれ持ったものであり、脳の構造上のもので、それを根本的に変えることができないためです。
治らないからと言って病院へ行かないのは良くありません。病院への定期的な受診や治療はとても大切です。現在、病院での治療法は以下の2通りが主です。
薬物療法
メチルフェニデート塩酸塩徐放剤により中枢神経を刺激し、脳内の神経伝達物質(ドパミン、ノルアドレナリン)の調節をすることで行動の問題が改善できるよう働きかけます。
他にもノルアドレナリン系に作用するアトモキセチンノルアドレナリンα2A受容体に作用するグアンファシン塩酸塩徐放剤を使うこともあります。
参考:日本小児神経学会
心理社会的治療
- 環境調整:こどもが自分のとるべき行動を理解しやすいような対応ができるように保護者や関係者へ理解させる
- ペアレントトレーニング:保護者が子どもの望ましい行動を増やし、望ましくない行動を減らすための接し方や方法を学びます
- ソーシャルスキルトレーニング:子どもたちが状況に応じた適切な行動が取れるように社会のマナーやルールを学び、対人関係を良好に保つことを学びます。
参考:日本小児神経学会
じゃあ、どうすればいいの?解決方法は?
環境を変えることや取り除くこと
困っている原因が方法や物、環境などで変更できるものや取り除けるものならば、できる限りそのように対処することが望ましいです。
例えば、感覚過敏の視覚過敏が原因で蛍光灯が眩しくて仕事や学習に集中できないなら、サングラスを準備してみることや蛍光灯の光が弱いものに変えるなど。
口頭で伝えた業務内容がしっかり伝わらないのなら、メモでわかりやすく伝えるなど、対応の仕方を変えたりしてみましょう。
視覚や聴覚、触覚など、人間にある五感のうち、特定のモノや音、香り、感触、味に対して過敏に反応し、日常生活に影響してしまうほどの不快感を得てしまう症状を言います。
特性を理解する
特性であり個性として捉えることです。本人の努力や頑張りが足りないわけではないということを周りが理解してあげることが大切です。そして、できるように周りが配慮する心がけをしましょう。
本人が対処法を身につける
療育などという言葉があるように、本人が困らないように早くからトレーニングするという動きが主流となってきています。早期発見、早期療育していくことが大切です。
しかし、大人になるまで発達障害がわからなかったというケースも珍しくありません。そのような場合でもトレーニングや対処法を身につけることは大切です。
発達障害の子どもたちが社会的に自立できるようにするためのスキルの習得や環境調整を行うプログラムのことです。
医療機関での受診
病院で適切な処置や治療をしてもらうことで、本人の心身的負担の軽減や発達障害の人に多い二次障害の併発を防げることもあります。
発達障害などの障害が原因でうつ病などの二次的障害が出てくることです。
だからこそ周りのサポートが必要
以上のことから問題が生じているときに本人のやる気や頑張りでどうにかなる問題ではありません。
本人は、なんでいつもこうなんだろうと悩んで病院に行くことや改善するためのトレーニングをすることを頑張っていたりします。親も、なんとか困りごとが少なくなるよう学んだり、躾けたり頑張っています。
大切なことは本人が困っていることが何なのか、そしてそれを様々な方法で解決できるための手助けをしてあげることです。
まとめ
繰り返しますが、発達障害を抱える本人の努力や頑張りだけでなんとかなる問題ではありません。
もちろん、本人が努力し頑張ることは大切です。本人の努力、親の躾けや教育、フォロー、周りの方の温かい見守り、全てがあってこそ発達障害者が生き生きと生活できる世の中になるのです。
あくまで本人の個性と捉え、障害となっているものは何なのか、そしてその障害になっていることに対する対策を考えサポートしてあげることが大切です。
だからこそ、手を差し伸べてあげられる一人一人のやさしさや愛情が発達障害の日常生活の中での困ったを軽減できる解決方法なのではないでしょうか。