兄弟・姉妹でアスペルガー症候群になる確率はある?

兄弟でアスペルガー症候群になる確率は、研究によって数値が違うため、明確な確率はまだわかっていません。
自閉症スペクトラム障害における双生児研究によると、遺伝子配列が同じ一卵性双生児でも一致率は50~80%と必ず発現するわけではないのです。

ただ、アスペルガー症候群の症状がある家系とない家系を比べてみると、症状のある家系の方が兄弟でアスペルガー症候群を発現する確率が高くなるという調査結果もあるため、アスペルガー症候群の原因として遺伝的な影響は無視できません。
とはいえ、兄弟全員が必ずアスペルガー症候群を受け継ぐというわけではないのです。

研究によって数値が異なるのは、アスペルガー症候群を引き起こす原因が一つでなく、様々な要因が複雑に絡み合っていることを示しています。

アスペルガー症候群は男女で発現率が異なるのか

アスペルガー症候群は、女児に比べ男児の方が発現率が高いとされています。
その割合については主に、女児:男児が1:4と言われていますが、諸説あります。

女性のアスペルガー症候群の研究によると、特製の現れ方に性差が見られることも判明しています。
女児は男児と比べてコミュニケーション能力が高い場合が多いため、幼い頃はアスペルガー症候群の特徴が現れにくいとされています。
アスペルガー症候群の診断は、言動や普段の生活態度から下されるため、女性の場合はアスペルガー症候群の症状を見逃され、診断を得ることができていない人も多いと考えられているのです。

そのため、実際には男女の発現率の数値差は1:4よりも小さいという説が有力です。

アスペルガー症候群の検査方法について

出生前にアスペルガー症候群かどうかを診断することはできません。
アスペルガー症候群の原因は先天的な脳の機能障害です。
これは成長に伴って症状が現れるもののため、出生前の羊水検査や超音波検査では検査することができないのです。

また、アスペルガー症候群は血液検査や遺伝子検査など生理学的検査でも診断できません。
子どもがある程度成長して症状や特徴が見られるようになってからの診断となります。

成長に合わせて複数の検査、観察を組み合わせながら面談を繰り返し、総合的な判断を下します。

原因がはっきりしていないアスペルガー症候群ですが、一つのことに熱中して強い集中力を発揮するという一面もあります。
研究員やスポーツ選手として活躍している人も多くいます。

アスペルガー症候群の人には、特性を生かせる環境が大切です。
一人一人にあった療育やサポートを提供して、本人が生きやすいように症状を改善しましょう。

現在、アスペルガー症候群について、データ解析や研究も行われています。
関連性のある遺伝子の特性も進んでいるため、近い将来原因が解明されれば、アスペルガー症候群に対する理解がより深まるようになるほか、適切な治療法や検査法が見つかることが期待されます。