広汎性発達障害(PDD)とは

コミュニケーションと社会性に障害のある広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders:略称PDD)は、発達障害のグループのひとつです。
広汎性発達障害は、限定的・反復的及び常同的行動があることを特徴とする分類です。

世界保健機関(WHO)の「ICD-10」の診断カテゴリーによると、広汎性発達障害と同じグループには以下の5つの障害が含まれます。

・自閉症
・アスペルガー症候群
・レット症候群
・小児期崩壊性障害
・特定不能の広汎性発達障害

広汎性発達障害は、アメリカ精神医学会のマニュアル「DSM-5」によると、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害というカテゴリーに変更されています。
「DSM-5」は、最新の診断基準です。

広汎性発達障害の障害名や症状の中には、自閉症スペクトラム障害の概念において除外されたものも含まれます。
しかし、行政や医療機関では、広汎性発達障害の名称を使用している場合が多く、すでに診断を受けている人も少なくないため、今後使われる機会が減少するとは限りません。

広汎性発達障害は遺伝する?確率はどのくらい?

広汎性発達障害は、遺伝的要因と環境要因が複雑に相互作用しあって発言するというのが、現在有力な説です。
遺伝性の関与を研究するべく、双生児研究や家族間研究が進められていますが、今のところ研究によって数値が異なるため、親子の遺伝確率の数値は明確に判明していません。

二卵性双生児と一卵性双生児を比較した場合、一卵性双生児の方が広汎性発達障害の発現率が高いと報告されています。
一卵性双生児が基本的な遺伝子配列が同じであることを考えると、この結果の表すところは遺伝子が近いほど広汎性発達障害を発現しやすいということになります。

これは、広汎性発達障害の遺伝的要因説の根拠となっています。

ですが現在、広汎性発達障害の原因は特定の一つの遺伝子によるものではないと考えられており、広汎性発達障害の原因となり得る様々な関連遺伝子が重なることで引き起こされると考えられています。
これは多因子遺伝と呼ばれるタイプで、関連遺伝子自体は多くの人が持っていると言われています。

これら広汎性発達障害の要因となる何らかの遺伝子が重なり、様々な環境要因が相互に影響を及ぼし会うことで、脳機能に障害が起こって症状が引き起こされると言われています。
この際、両親の遺伝子配列が要因の一部となっているケースもあります。
しかし、このケースは広汎性発達障害に限らず、すべての病気や障害に当てはまることです。

つまり、広汎性発達障害は、親から子どもへと単純な遺伝をするものではありません。
親が広汎性発達障害だからと言って、必ずしも子どもに遺伝するとは限らないのです。