皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「妊娠中のカフェインと発達障害」についてです。
「妊娠中のカフェイン摂取は控えた方がいい」と聞いたことはありませんか?
カフェインと赤ちゃんを取り巻くリスクのひとつに、「発達障害」があるといわれています。


どの程度の摂取から危険が高まるのでしょうか?
妊娠期間中の食生活は赤ちゃんにも影響があります。
ひょっとしたら「あの時、飲まなきゃ良かった……」と後悔してしまうかも知れません。
気をつけるためにも、まずは情報を知っておきたいですね。
カフェインが赤ちゃんにもたらすリスクとは?
リスクに備えて、お母さんが気をつけたいポイントは?
そして、もしカフェインに心当たりがあり子どもの発達が心配な場合は、どこに相談すればいいのでしょうか?
この記事では、妊娠中のカフェイン摂取についての情報を調べてまとめました。
赤ちゃんのためにできることを、今から一緒に勉強しましょう!
目次
妊娠中のカフェインと発達障害

妊娠・授乳期はお母さんの食生活に何かと制限がついて回りますが、コーヒーを代表とする「カフェイン」もその1つです。
「妊娠中はあまりコーヒーを飲まない方がいい」
「カフェイン摂取に気をつけるように」
と、産婦人科や育児本などで注意を促されることもあるでしょう。
そもそも、カフェインとはどんなものでしょうか?
妊娠中のカフェイン摂取と、発達障害にはどのような関係があるのでしょうか?
カフェインについて
カフェインってどんなもの?
「カフェイン」とは、コーヒーをはじめ、紅茶や緑茶などにも含まれている成分です。
覚醒作用や解熱鎮痛作用があり、食品の他、医薬品としても使用されています。
【主なカフェインの作用】
- 覚醒作用(眠気を覚ます)
- 血管を拡げる
- 交感神経を刺激し、基礎代謝を促す
- 利尿作用(老廃物の排泄)
など

カフェインのデメリットと過剰摂取のリスク
たくさんの作用があるカフェインですが、場合によっては作用がデメリットとして働くことがあります。
例えば、作用の1つである「眠気が覚める」は、勉強中や仕事中など集中力を高めたい時には役に立ちますが、就寝前の摂取では「興奮してなかなか眠れない」といったデメリットに変わります。
また、多くの量を一度に摂取することによって、健康に悪い影響をもたらしてしまう危険もあります。
厚生労働省では、カフェインの過剰摂取について次のように注意喚起しています。
カフェインを過剰に摂取した場合には、中枢神経系の刺激によるめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気等の健康被害をもたらすことがあります。
引用元:厚生労働省 「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」
カフェインを短期間に過剰に摂取することで中毒症状を起こし、死亡事故に至ったケースもあります。
カフェインの作用で「めまい」等の中毒症状が現れた場合は、無理をせずに医療機関を受診しましょう。


「他の人が大丈夫だったから」といって、自分も同じ量を摂取しても大丈夫とは限らないんですね……。
妊娠中のカフェインの影響
作用の多いカフェインですが、妊娠中の多量摂取にはこうした作用が良くない方向に働いてしまう可能性があります。
【妊娠中のカフェインの多量摂取によるリスク】
- 流産・早産
- 低酸素状態
- 低体重児での出産(低出生体重児)
- 発達障害
など

WHO世界保健機関では、アルコールやタバコと並んで妊娠中のリスクがあることを示しつつも、コーヒーの飲用について「1日3~4杯まで」としています(2001年)。

参考元:厚生労働省 「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」
参考元:WHO 「Healthy Eating during Pregnancy and Breastfeeding : Booklet for mothers」(2001年)PDF資料
●用語解説●
【流産】とは
妊娠22週未満に赤ちゃんが亡くなってしまうことです。
参考元:公益社団法人 日本産婦人科学会 「流産・切迫流産」
【早産】とは
妊娠37週未満で出産することです。
早く生まれた赤ちゃんほど、重篤な障害(呼吸障害など)になる可能性があるそうです。
参考元:公益社団法人 日本産婦人科学会 「早産・切迫早産」
【低出生体重児】とは
体重が2,500g未満の状態で生まれた赤ちゃんを指す用語です。
参考元:e-ヘルスネット(厚生労働省) 「低出生体重児(ていしゅっせいたいじゅうじ)」
カフェインによる発達障害のリスクについて
妊娠中のカフェイン摂取のリスクの1つに、「発達障害」があるとされています。
発達障害とは、「できること」と「できないこと」の差が極端に大きく開いてしまっている障害の総称です。
生まれつき脳の発達に特徴があることが原因とされています。
発達障害には様々な種類があり、大きく分けて、
● 注意欠陥多動性障害(ADHD)
● 自閉症スペクトラム(ASD)
● 学習障害(限局性学習障害/限局性学習症,LD)
の3つに分類されています。
参考元:みんなのメンタルヘルス(厚生労働省)「発達障害」
しかし、「カフェインを摂取すると発達障害になる」と断定されているわけではありません。
そもそも「発達障害」自体がまだ研究途中で、現在においても明確には判っていない状態です。
発達障害の原因には諸説あり、お子さんが発達障害を持って生まれて来た場合でも、それがすぐに「お母さんの食生活が原因だ」とは言い切れないのです。

妊娠中のカフェイン摂取については、流産や早産のリスクと一緒に「発達障害になる原因かも知れない」と注意しておきましょう。
妊娠中に気をつけたい! 食生活とカフェインの関係について

様々なリスクを回避するためにも、妊娠中はカフェインの多量摂取に気をつけたいですね。
この項目では、日頃の食生活からカフェイン摂取に気をつけるポイントなどをお伝えしていきます。
カフェインが含まれる食品・医薬品を知る
カフェインの代表といえば「コーヒー」ですが、実はコーヒー以外の食べ物にもカフェインが含まれています。
【カフェインを含んでいる食品の例】
- コーヒー
- 抹茶、緑茶、紅茶、ウーロン茶
- ココア、チョコレート
- コーラ系の食品
など
【カフェインを含んでいる場合がある例】
- 「眠気覚まし」を目的とした食品
(エナジードリンク、ガムなど) - 栄養ドリンク
- サプリメント
- 利尿作用のある医薬品
- 鎮痛作用のある医薬品
など

コーヒー以外にもたくさんあるんですね!
特に緑茶は、製法によってはコーヒー以上にカフェインが含まれています。
コーヒー100mlに含まれるカフェインが約60mgであるのに対し、同量の煎茶では約20mg、玉露では約 160mgのカフェインが含有されているそうです。
コーヒー豆など元々の食材が天然でカフェインを含有しているケースの他、食品添加物として、コーヒーや茶葉からの抽出物が食品や医薬品に使われているケースもあります。


参考元:食品安全委員会 「ファクトシート」(最終更新日:平成30年)PDF資料
「妊娠中に摂取しても問題が少ない」とされる量はどのくらい?
「妊娠中のカフェインの影響」の項目でも少し触れましたが、WHO世界保健機関の2001年の資料では、妊娠中のコーヒーの飲用について「1日3~4杯まで」とされています。
3.Caffeine
引用元:WHO 「Healthy Eating during Pregnancy and Breastfeeding : Booklet for mothers」(2001年)PDF資料
Effects of caffeine on the foetus are not well established yet. Tea, cocoa and cola-type drinks contain about the same amount of caffeine while coffee contains about twice as much caffeine. Try to limit your coffee intake to 3-4 cups a day.

ただし「マグカップ3~4杯」といっても、実際にはお使いのマグカップの大きさやコーヒーの淹れ方によって、1杯あたりのカフェイン含有量は異なってきます。
お好みのコーヒー・紅茶などの淹れ方だと1杯あたりどのくらいのカフェイン量になるか、確認しておきましょう。
濃さや量が気になる場合は、心持ち少な目に飲むようにした方が良いかも知れませんね。
コーヒーの抽出液は、「コーヒー粉末10 gに対し、熱湯150 ml」の抽出方法で、約60 mgのカフェイン
煎(せん)茶は、「煎茶の茶葉10 gに対し、90℃のお湯430 mlで1 分間」の抽出方法で、約20 mgのカフェイン
紅茶の抽出液は、「茶葉5 gに対し、90℃のお湯360mlで1.5~4 分間」の抽出方法で、約30 mgのカフェイン
と、なるそうです。
※ご注意※
使用する原料の種類や量、茶葉を蒸らす時間によってもカフェインの量が変化しますので、あくまで参考として下さいね!
参考元:農林水産省 「カフェインの過剰摂取について」


参考元:厚生労働省 「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」
参考元:食品安全委員会 「ファクトシート」(最終更新日:平成30年)PDF資料
↓こちらの外部リンクから、飲み物の種類に応じたカフェインの含有量を確認することができます。
【外部リンク】農林水産省 「カフェインの過剰摂取について」
【外部リンク】文部科学省 「五訂日本食品標準成分表 第2章」より「16 し好飲料類」PDF資料
気をつけたいポイント
思っている以上に摂取してしまう!
妊娠中は「1日にコーヒーを3~4杯まで」が目安とされているカフェイン摂取ですが、気をつけたいポイントがあります。
それは、「他の食品や医薬品にも、物によってはカフェインが含まれている」ことです。
コーヒーを飲む量をキチンと自己管理していても、こうした他の食品・医薬品からもカフェインを口にした結果、自分で思っている以上にカフェインを摂取してしまう可能性があるのです。
【カフェインをたくさん摂取してしまいがちな例】
- コーヒーや紅茶と一緒に、チョコレートや抹茶系のお菓子を食べる
- 緑茶やウーロン茶で、カフェインを含む医薬品を飲む
など

おいしいですもんね……。

妊娠中はそもそも、糖分の多い甘いお菓子類は控えるよう産婦人科などから指導されるケースもあります。
もし、「少しでも食べたいな……」と思ったら、お菓子に含まれるカフェインの量にも気をつけて下さいね。
「カフェイン」は成分表示の対象外
カフェインを含んだ食品についてですが、現在、カフェインは食品表示法に基づく食品表示基準・栄養成分表示義務の対象に入っていません。
「食品表示法」とは、消費者等に販売される全ての食品に対して「食品表示」が義務付けられている法律です。

食品表示では原材料などの情報が、栄養成分表示では「エネルギー」をはじめとする成分の情報が記載されており、 私たち消費者は「食品に何が入っているか」を知ることができます。
しかし、「カフェイン」については表示の義務がなく、製造者の任意で記載される場合と記載されない場合があります。

場合によっては、食品の原材料や特徴から「これはカフェインが含まれているのかな……?」と自分で気付く必要もあるでしょう。
【気をつけたい原材料や特徴の例】
- 「カカオ豆」「ココア」「抹茶」などの原材料名の記載
- 「緑茶抽出物」などの形での記載
- 「眠気すっきり」などのキャッチフレーズがある商品
など

参考元:消費者庁「食品表示法に基づく 栄養成分表示のための ガイドライン」PDF資料
参考元:消費者庁「栄養成分表示及び栄養強調表示とは」PDF資料)
妊娠・授乳中の飲み物に迷ったら……
いちいち表示や成分を気にして食品を探すのは大変ですよね。
また、「コーヒーが飲みたいけど、カフェインが気になるし……」というお母さんもいらっしゃるでしょう。
妊娠・授乳中のお母さんでもカフェインを気にせずに済む食品があります。
例えば、「デカフェ」「カフェインフリー」「カフェインレス」「ノンカフェイン」などと記載された、主に妊娠・授乳中の人やカフェインが苦手な人に向けて作られている食品類です。
【それぞれの違いについて】
- デカフェ/カフェインフリー
カフェインを取り除く加工が施された飲み物を指す言葉です。 - カフェインレス
カフェインを90%以上取り除く加工が施されています。 - ノンカフェイン
カフェインを含まない原材料を使って作られています。
(麦茶、たんぽぽコーヒー、ごぼう茶、ハーブティー など)
マタニティ関係の商品を取り扱うお店などでは、こういったカフェインレスのコーヒーなども数多く市販されています。
妊娠中でもカフェインを気にすることなく飲むことができるので、リフレッシュのためにも、お好みのものを探してみましょう。
【カフェインレス商品の例】

妊娠中だけでなく、授乳期や就寝前などにも嬉しいですね。
【ノンカフェイン商品の例】
ハーブティーなども種類が豊富です。
「たんぽぽコーヒー」は、「たんぽぽ茶」などの名称で売られていることもあります。
↓ノンカフェインの「ごぼう茶」などは、自宅でも手作りすることができますよ。
参考動画:YouTube「ごぼう茶の作り方は意外と簡単だった♪」
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お父さん、手作りにチャレンジしてみませんか?
もし、妊娠中にカフェインをたくさん摂取してしまったら!?
妊娠中にカフェインを多量に摂取してしまった場合は、万一に備え、かかりつけの産婦人科へ相談しましょう。
受診する必要があるかどうか、まずは状況を電話で伝えてみるといいでしょう。


症状によっては緊急性があるかも知れません。
救急車が必要かどうか迷う時は、お住まいの地域の救急相談の窓口などへ連絡しましょう。
↓こちらの外部リンクのサイトから、
全国の救急相談の窓口を探すことができます。
【外部リンク】EPARKクリニック・病院 「全国の一般救急センター窓口一覧」
出産後に、健康や発達が気になる時は……

子どもの健康が気になる時の相談先
無事に出産を終えた後も、妊娠中にカフェインを摂取していたことが後から気になることがあるかも知れませんね。
お子さんの健康の不安は、医療機関の他、お住まいの地域の「保健センター」などで相談することができます。
【相談先の例】
- お子さんのかかりつけの小児科
- 市区町村の保健センター
など

気になることがあれば、身近な医師や保健士に伝えてみましょう。
発達障害が気になる時の相談先
発達障害の検査は専門の医療機関へ
妊娠中にカフェインを摂取していた場合でも、「カフェインを摂取していた」という事実だけではお子さんの発達障害は判断できません。
発達障害の診断は、専門の医療機関での検査を通して行われます。
実際のお子さんの様子を見て「発達が遅いな……」「他の子と違うかも……」と思う時は、専門の医療機関を受診しましょう。
【発達障害の検査を受けられる医療機関の例】
- 発達障害の検査を行っている小児科の病院
- 児童精神科/小児神経科/発達外来のある病院
など
医療機関を受診することに気が引ける場合や、どこの医療機関を受診すれば良いかわからない場合は、まずはお住まいの地域の保健センターや「子育て支援」の窓口、発達障害者支援センターへ相談してみましょう。
「発達障害者支援センター」は、発達障害を持つ人や児童への支援を総合的に行う専門機関です。
各関係機関や地域と連携し、発達障害を持つ本人と家族、周囲の人達からの様々な相談に応じてくれます。
↓こちらの外部リンクからも、全国の発達障害者支援センターを探すことができます。
【外部リンク】
発達障害情報・支援センター(厚生労働省) 「相談窓口の一覧」
2~3歳を過ぎないと診断できない?
発達障害の診断ができるようになるのは、早くて2~3歳頃からといわれています。
乳幼児期の子どもは成長過程で様子が頻繁に変わります。
その為、発達の遅れがあるように見えても、それが成長の一過程なのか発達障害の特徴なのかがハッキリとわからないことがあるのです。

また、成長の速度は個人によっても差があります。
早産で生まれた赤ちゃんの場合は、発達の速度がゆっくりになる傾向があるそうです。
生まれてからの月数ではなく、出産予定日を基準に月齢を数える「修正月齢」を発達の基準にしてみましょう。
周囲の子に比べて発達が遅いように感じても、ゆっくりでも確実に成長しているようであれば、落ち着いて様子を見守ってあげて下さいね。

カフェインに心当たりがあって、早産で、なおかつ発達が遅いと、「発達障害かも……」と不安になりそうです……。

医療機関を受診する必要があるかどうかも含めて、保健士の目で判断してくれますよ。
【相談先の例】
- 市区町村の保健センター
- 発達相談ができる小児科
など
「1歳6ヵ月健診」や「3歳健診」などの乳幼児健診のタイミングでも、発達に関する相談ができます。
心配や不安があれば相談してみましょう。
まとめ
それでは、これまでの情報をまとめてみましょう。
- 妊娠中のカフェイン摂取は発達障害の原因になる可能性がある!
(流産、早産、低体重、低酸素状態のリスクも) - 妊娠中は、「コーヒーを1日3~4杯まで」を上限の目安に!
- コーヒー以外の食品・医薬品にもカフェインが含まれていることがある!
(抹茶やチョコレート、利尿作用のある医薬品 など) - 妊娠・授乳中の人に向けた食品も利用しましょう!
(カフェインレス、ノンカフェイン など) - 不安があれば医療機関や保健センターに相談しましょう!
妊娠期間中の食生活は赤ちゃんにも影響があります。
もしも何かあった場合は、お母さんは自身の行動を振り返って後悔してしまうかも知れません。
何かと制限の多い妊娠中ですが、カフェインと上手に付き合って、ストレスなく乗り切って下さいね。
まずはご無事のご出産となりますように!
発達障害についてもっと詳しく・他の情報も知りたい方は、
こちらのサイトも参考にしてみて下さい!
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