皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「障害者手帳 発達障害」についてです。

発達障害を抱える子どもが進学や就職などの人生のターニングポイントに差し掛かると、お母さんたちは子どもの将来を案じるものですよね。そして「何か子どもの将来に役立つような制度や支援がないか」と思い悩むのではないでしょうか。

そんな時、頭に思い浮かぶものの一つに障害者手帳があります。しかし「言葉は聞いて知っているけど、その内容はよく分からないのよね」というお母さんたちが以外に多い気がします。

そこで、今回の記事では子どもの将来に役立つ障害者手帳のお得な情報をお伝えします。子どもたちの将来のためにも、ぜひこの機会に障害者手帳のためになる正しい知識をたくさん持ち帰って下さいね。

そもそも発達障害でも手帳を取得できるの?

答えは「はい」です。それでも「うちの子は発達障害だけど、手帳の申請をしてもきっと無理よね」と考えてしまうお母さんは結構多いみたいです。どうしてなのでしょうか。

市民権を得てから10年足らずの新参者

発達障害は2000年以降に「身体・知的・精神」に続く「第4の障害」として知られるようになります。そして、発達障害が福祉の対象として法律で認めらてからまだ10年しか経っていません(2010年に障害者自立支援法が改正)。

その為、2020年現在、発達障害に専用の手帳は存在していません

お母さんたちが不安に思うのも当然ですよね。でも安心して下さい。発達障害でも障害者手帳は取得できますよ。

発達障害で手帳取得を目指す場合

障害者の手帳には「身体障害者手帳」「精神障害者福祉手帳」「療育手帳」の3つがあります。発達障害者は「療育手帳」か「精神障害者福祉手帳」の取得を目指すことになります。ちなみに、二つの手帳を併せ持つことは可能です。

療育手帳

取得の条件に「知的障害あり」との判定が必要になります。概ねIQ70以下が取得条件となっています。ただし、この判定基準は自治体によって異なり、場合によってはIQ90でも発達障害の診断がある場合は療育手帳の対象となることもあります。

詳しくは、お住まいの地域の児童相談所にて相談を受けてみて下さい。手帳の申請は市役所(障害福祉課など)で受け付けています。

精神障害者福祉手帳

知的障害が認められなかった場合はこちらを取得することになります。

ただし、精神障害者福祉手帳を取得する場合は、主治医の診断書が必要になります。一度、主治医に相談をしてみるのが良いでしょう。

手帳の申請は、療育手帳の場合と同様、お近くの市役所(障害福祉課など)で受け付けています。

いずれの手帳を申請する場合でも、子どもの日常生活の様子、具体的な発達障害の症状、対応に困っている事などを予め整理してから相談に行くと話がスムーズに進みます。

手帳を持つメリット・その1「子どもの将来の選択肢が増える」

子どもたちもやがては成長して、少しずつ自立と社会参加の道を歩んで行きます。その過程で「進学と就職」という大切なターニングポイントがあります。

その時、障害者手帳を持っているといくつかのメリットがあります。順番に説明しますね。

進学でのメリット

義務教育が始まる小学校入学の時期に差し掛かると、子どもの進学でお母さんは悩みますよね。

しかし、障害者手帳の有無が進学先を選ぶ時に影響するかもしれません。

発達障害のある子どもの進学先として、普通学級を除けば「通級・特別支援学級・特別支援学校」の3つの選択肢があります。

一般的には、障害が軽度の場合は通級、より多くの支援が必要な場合は特別支援学級や特別支援学校を選ぶことになります。もちろん、普通学級に通うこともできます。

特別支援学校

【メリット】

  • 発達障害についての豊富な知識をもった教員が教育を行う
  • 施設のバリアフリー化やスクールバスなど、障害児童に配慮している
  • 一人一人の障害に合わせた教育・訓練を受けられる

【デメリット】

  • 通常学級の子どもや、同年代の子どもとの交流が少ない
  • 生活上の自立を目的としているため、学力向上を目指す授業が少ない

特別支援学級・通級

【メリット】

  • 通常学級の子どもたちと接する機会が多い
  • 科目によっては通常学級で授業が受けられる(特に通級の場合)
  • 個々の発達に応じたカリキュラムで苦手科目に取り組める

【デメリット】

  • 教員が専門知識に乏しいケースもある
  • 障害児や障害者福祉に関する情報が入りにくい
  • 通常学級の子どもと比較されてしまい劣等感を持つことがある

上述したように3つの進学先にはそれぞれメリット・デメリットがあり単純比較は出来ません。しかし、特別支援学校(学級)への進学条件として障害者手帳(特に療育手帳)の所持を条件にしているケースが多いようです。

さらに、発達障害が広く知られるようになった2000年以降、特別支援学校への進学を希望するケースが増えています。

障害がある子どもたちが学んでいる特別支援学校。いま、通う子どもたちが急増しています。支援学校に通う子は、少子化にもかかわらず、この10年間で40%近くも増えました。

引用元:NHK生活情報ブログ

なのでもし、うちの子供に手厚いサポート体制が整っている特別支援学校への進学を希望しても、手帳を所持していないがために入学できないかもしれません。

つまり、障害者手帳を持つことは、発達障害を抱える子どもの進学の選択肢を確保できるメリットがあります。

*子供とその家族の支えとなる福祉サービスを目指している「運動・学習療育アップ」では、発達障害と子育てに役立つ情報を発信中です。▶︎興味のある方はこちらまで。

就職でのメリット

無事に学校を卒業した後、大切になってくるのが就職ですね。ここでも障害者手帳を取得していると二つの選択肢「一般枠と障害者枠」を持つことができます

一般枠

【メリット】

  • 求人数が多い
  • 給料は高い
  • 色々な仕事に取り組める

【デメリット】

  • 障害への配慮がない
  • フルタイムで働く(残業・休日種菌の可能性)
  • 苦手な仕事でも断りにくい

障害者枠

【メリット】

  • 障害に応じた働きやすい環境整備
  • 障害の理解(症状・通院・お薬など)
  • 障害の特性に合った仕事を任せてもらえる

【デメリット】

  • 求人数が少ない
  • 給料は安い
  • 仕事内容は軽作業が多い

就職に関しても学校教育の場合と同じです。一般枠と障害者枠の良し悪しの判断は難しいですね。一人一人の障害の特性、本人の価値観、家族や会社のサポート体制などによって、その判断は大きく変わるでしょうからね。

しかしながら、障害者手帳を持つことによって、二つの求人枠で仕事を探すことが出来ます。当然、求人数が多くなります。

つまり、自分に合った職場(働いてみたい職場)を探すには大変有利になりますね。

また、障害者手帳を持っていると本人の体調に合わせて「一般枠で仕事を探す、それともサポートの手厚い障害者枠で仕事を見つける」という使い分けをすることも出来ます。

発達障害の症状には波があるのでこれは安心しますね。ここでも、障害者手帳を持つことのメリットを活かすことができます。

手帳を持つメリット・その2「知らなきゃ損する!障害者手帳で受けられる割引一覧」

進学や就職などのターニングポイントだけでなく、日頃の日常生活においても様々なメリットがあります。

交通機関の割引

精神障害者福祉手帳の場合、一部の交通機関では割引を受けられないので注意して下さい。

  • JR(精神障害者福祉手帳での割引は行っていない)
  • バス・タクシー
  • 高速道路(精神障害者福祉手帳での割引は行っていない)
  • 飛行機

通信の割引

月々の割引額は小さいですが、携帯電話やスマホはずっと使い続けるものです。年単位でみると結構な金額になります。

  • 携帯電話
  • スマホ
  • NHK受信料(条件が厳しい)

商業施設の割引

これだけの施設で割引のメリットがあれば、お出かけが楽しみになりますね。

  • USJ
  • 遊園地
  • 動物園・水族館
  • 美術館
  • 映画館
  • その他の公共施設

税金の割引

これらのメリットは、子どもよりも親にありそうですね。

  • 障害者控除
  • 自動車税

どうですか。障害者手帳を上手に活用することによって、これだけの割引きによる恩恵を受けることができます。せっかく様々な企業や自治体が割引を実地しているので遠慮せずにどんどん利用してみてはいかがでしょうか。

発達障害を抱える子どもたちの日常生活の活動範囲が広がれば、将来的に社会参加へとつながります。

そして、たくさんの人たちと出会い、様々な経験を積み重ねる中で、社会の中に自分の居場所を見つけ、自信を持つ(自己肯定感を高める)ことになるでしょう。

それは、発達障害を抱える子どもたちの人生にきっとプラスとなるはずです。

私の妻も障害者手帳を持っています。お金の心配をすることが減り、積極的に外出するようになりました。

障害者手帳を取得するデメリット

一番のデメリットは、手帳を取得することによる本人や家族の心理的な負担でしょう。

発達障害は、最近のテレビや雑誌などで取り上げられることが多いので、世間に認知されてきました。

それでも尚、障害者に対する偏見や差別は残っています。当然、お母さんたちにとっては不安感は残りますよね。

それに自分自身が障害を受け入れていないと、障害者というレッテルを貼ったと自分自身を責めてしまうことにもなりかねません。

特に精神障害者はストレスに対する抵抗力が弱いので、心のバランスを崩して症状を悪化させてしまう可能性も考えられます。

私の妻が障害者手帳を取得する時も、最初は彼女の両親が反対しました。私と妻だけで申請に踏み切ることも考えたのですが、まず彼女の両親とよく話し合うことにしました。

そして、みんなが「障害を受け入れる」ことができてから申請・取得を行いました。申請まで2年ほどかかりましたが、家族全員が納得しているので彼女自身が不要なストレスを抱えることはありません。

なので、まずは本人と家族がよく話し合い相談してみて下さい。そして、納得した上で申請・取得を行うのがいいでしょう。 

まとめ

いかかでしたか。障害者手帳をもっていると、発達障害を抱える子どもの将来「教育・就職・日常生活など」多岐にわたってメリットがあります。

一方、偏見や差別に対する心理的負担や不安感というデメリットも忘れてはなりません。やはり、手帳を持つことの判断は難しいですね。

特に、小さな子どもにその判断は大変難しいでしょう。だからこそ、お母さんたちが障害者手帳のメリット・デメリットを正しく理解することが大切になってきます。

今回の記事で得た知識をぜひ、子どもの将来に有効活用してみて下さいね。