皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。 今日のトピックは「発達障害の対応」についてです。

発達障害を持つ方々には適切な対応方法があるのをご存知でしょうか?

発達障害による影響で、子どもの頃から自分について悩み、大人でも社会で辛い思いをされている方や、支える家族も一緒に苦悩されている場合があります。

周りが誤った対応をすることで、さらに苦しめてしまう可能性もあるのです。

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青木
本人が悩んでいるのに、対応次第ではさらに苦しめてしまう事があるんですね。
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大竹
適切な対応によっては悩みや辛さを軽減できる可能性がありますので、今回はその方法や事例を合わせてお伝えしますね。

褒めて伸ばすのが基本の対応

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褒めて育てると言う考え方は、最近の子育てや人事教育の世界でも基本になりつつあるようです。

発達障害の有無や年齢に関わらず、褒められて気分が悪くなる人は少ないはずですが、褒める必要があるのには理由があります。

出来ない事に自覚がある

発達障害によって能力の偏りが生まれてしまいますが、多くの場合、自分がうまく出来ていない部分には自覚があります。

さらに、なぜ上手くできないのだろうと悩まれている事が多いため、その部分を注意され叱られるとさらに追い込まれてしまうのです。

このストレスを上手く表現できないと、かんしゃくを起こす・泣く・乱暴するなどの形として表してしまいます。

そのため、部分的にでも出来たところに注目して褒める事が大事になるのです。そうすることで、出来ない事への不安感やストレスが軽減でき、気持ちも安定しやすくなります。

失敗体験が多い

出来ない自覚があることにも繋がりますが、どうしても失敗の数が増えてしまう傾向にあります。

誰でも失敗すると悔しい、悲しい思いをするでしょうが、その体験が多くなると自信を失くしやすくなるのです。『どうせ自分なんて』と口に出してしまう事もあるでしょう。

そのため、出来ていない部分ではなく出来た部分を褒めて成功を感じてもらう方が自信と意欲につながっていきます

褒めるという事は良いところ探し

当事者を支える家族や周りの方々が出来ないところにばかり目が行くと、どうしても次のように感じてしまいます。

  • 教え方が悪かったのでは
  • 育て方を間違えたのでは
  • 甘やかし過ぎたのでは
  • いつになったら出来るようになるのか    など

こうなってしまうと、出来ない事が周りの責任とも感じてしまい、さらにストレスを生み、きつい指導になったり叱ること注意することが増える可能性があるのです。

前述したように叱ることは追い込む事につながるため、さらに悪い結果が続く悪循環になる場合があります。

褒めることを意識すると、自然と良いところを探さなければなりません。良いところを見つけようとすることで、悪い方に向かっていた気持ちを切り替える事が出来ます。

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青木
確かに不安がある時に褒めてもらえたらホッとしますね。でも、人を褒めるって難しそうです。
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大竹
意識した事が無いと難しく感じるかもしれませんね。でも、意外な方法で簡単に褒め上手になれるんですよ。

褒めることは実は簡単!?

人を褒める時には、必ず良い部分を探さなければいけません。しかし、普段生活しているなかで、常に良い部分を探し続けるのは大変だと思います。

そこで、発達障害の方に特に有効な褒め方をご紹介したいと思います。

行動を口に出して伝えるだけ

こちらの方法は、とても単純で誰でもすぐに始められると思います。

発達障害は当たり前な事が難しいと言われていますが、当たり前にやったことを口に出して伝えると言うのは『出来たところを見ていたよ』と伝えることになるようです。

さらにコツとしては、大げさに言う必要はなく、むしろ本人にだけ聞こえる程度の声で伝えた方が褒めているようになると言われています。

行動を見ているだけでも良い

いつでもそばにいて声をかけ続けるのはさすがに大変です。これについては、簡単な代用方法があります。

実は、声が届かなくても目配せするだけで褒めている効果があると言われているのです。

見るという事に、いつも見守っている、出来たところを見ていたよと言う意味合いが含まれるため、大変な時は目配せだけでもするようにしましょう。

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青木
これなら簡単ですね。不安な時に見守ってもらえてたら安心するし嬉しい気がします。
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大竹
そうですね。行った事を伝えるだけですが、見守り褒めている事と同じになるほどの重要な意味があるのです。
次は、発達障害の症状別に対応を見ていきます。

発達障害┃症状別の対応

発達障害は自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の3つがあります。

基本的には知的障害は無いとされていますが、それぞれの障害も重なっている事があるため明確な判断は困難とされているようです。

特に子どもで見られるそれぞれの特徴についてはこちらをご参照ください。

発達障害は様々な症状が混在している場合が多く、対応を一概に述べる事は難しいため、それぞれに対する対応方法は参考としてお読みください。

自閉症スペクトラム障害の対応

自閉症への対応としては、イギリス自閉症協会と言うところが基本理念を作っていますのでそちらをご紹介します。

SPELL

それぞれの頭文字をとって作られた言葉です。

Structure 構造化

  • 本人に合わせた環境作り
  • 子どもの不安を取り除くための支援
  • 子どもが理解しやすいスケジュールや手順を提示する

Positive 肯定的な関わり

  • 自信や自己肯定感を高める関わり方
  • ダメという否定ではなく、こうしようという肯定的な声掛け
  • 出来ない事を責めず、出来る事を褒めて、簡単な物から出来る事を増やす関わり方

Empathy 共感

  • 気持ちに寄り添う
  • 子どもから見える世界や支店に寄り添う
  • 症状の理解とそれ以上に、その子自身を知ろうとする姿勢

Low arousal 低興奮・低刺激

  • ストレスの少ない環境(色、音、匂い、温度など)
  • 子どもの感覚的な刺激を減らす(服の素材、声の大きさ、睡眠の見直しなど)
  • 疲れを考慮して、こまめに休憩
  • プライベートスペースの確保(小さなテントなど)

Link 連携

  • 家庭、学校、医療、福祉など
  • 1人で抱え込み過ぎない支援体制
  • チームの一貫した関わり

自閉症スペクトラム向けな褒め方

自閉症スペクトラムの場合は、コミュニケーションに難しさを感じる場合が多くあるため、毎回決まった短い言葉で褒めた方が良いとされています。

また、感覚への刺激も有効になるため、心地よい刺激として頭を撫でる事や抱きしめる事も良いでしょう。

注意欠落・多動性障害の対応

不注意・衝動性・多動性を特徴とします。不注意が優勢になる方や衝動性・多動性が優性になる方など個人差がありますので、それぞれの特性に合わせる事が重要です。

環境調整

気がそれやすいため、様々な刺激によって集中が出来なくなる可能性があります。

  • オモチャなどで散らかっている
  • テレビや人の話し声が聞こえる
  • 窓際で色々なものが見える空間   など

できるだけ刺激を少なくするため部屋は片付ける、音が静かな場所を用意する、カーテンで刺激を減らす等の対応をしましょう。

ルールを決める

必ず行ってほしい事は、ルールとして伝えるようにします。内容は簡単なもので、一度にたくさん出してはいけません。

  • 帰ってきたら、最初に手を洗う
  • 外に出る時は必ず止まって「いってきます」を言う
  • 荷物置きカバンを置く   など

目で見て分かるように、文章や絵などを貼り出しておくことも有効です。また、言葉で伝える時も、できるだけ具体的で短く分かりやすい内容を心がけましょう。

課題などを集中して取り組んでもらいたいときは、集中が途切れるタイミングで他の事をしてもらったり声をかけたりして気持ちをリセットするのも良いです。

出来た事やルールを守れたことに関しては、ここでも必ず褒めるようにしてください。そうすることで、またやってみよう、ルールを守ってみようと思えるきっかけになります。

どうにもならない衝動は薬物療法

発達障害は脳の障害でもあるため、どうにもならない興奮などに対しては薬物療法が有効な場合があります。

しかし、すべての症状を良くするわけではありませんので、薬以外での適切な対応もしっかり続けていくようにしましょう。

また、薬物療法に関しては、医師の指示のもと用法・用量を守って正しくお使いください。

学習障害の対応

読む、書く、計算などの特定な事柄に難しさがある状態を言います。小学校高学年になる程周りとの差を感じやすくなるため、気持ちの落ち込みにも注意が必要です。

得意分野を伸ばす

特定の事柄が苦手なため、それ以外の分野は普通に行える場合があります。

まずは、出来る部分に目を向け得意な事を伸ばすことで自信にもつながり、意欲が落ちにくくなります。また、得意分野を伸ばすことにより、苦手な分野もカバーできる可能性があるでしょう。

苦手分野も出来る範囲から行ってみる

苦手だからといって、まったく手を付けないと言うのも自信喪失につながる可能性があります。

特性に合わせて出来る範囲から行っていく事が大事で、簡単な課題を積み重ねて少しずつ目標に向かうようにしましょう。

同時に、様々な代用方法もあります。

  • 文字を見やすくする(読みやすい書体、色、大きさの工夫)
  • 音声による代用
  • 漢字が難しい場合はふりがな
  • タブレットやパソコンなどで文字入力  など

状態に合わせて工夫をすることで苦手分野も克服できる可能性があります。

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青木
適切な対応が大事なのは分かりましたが、やっぱり状態に合わせるって難しそうですね。
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大竹
どの対応が一番良いかを一人で判断するのはとても難しいですね。そんな時には専門機関への相談をしましょう。

専門機関への相談も大事な対応方法の1つ

先ほどお伝えしたイギリス自閉症協会では、自閉症の人が見ている世界を知ってもらうため次のような動画を公開しています。

この動画では、感覚が過敏な様子が描かれており、普通の買い物の中でも様々な光景がクローズアップして見聞きされています。

それぞれが不快な刺激となって、最終的にはストレスに耐えきれずパニックを起こした状態となったようです。

このような世界観や知識は、やはり専門の機関でなければ分かりませんし、それぞれの症状に合う対応方法を相談するのが一番だと思います。

相談後の対応事例

まだ診断を受けていない小学校低学年の息子を持つ家族の体験談を見つけましたので、要約して述べさせてもらいます。

軽度発達障害の子が通常学級で生活するために

息子が小学2年生になり個人懇談会で担任から「お子さんは突然パニックやトラブルを起こして他の子と違うようです」と言われ、わが子をしっかり見てくれていないからだと最初は担任に不信感を抱きました。

運動会の時、勝手な行動をするわが子を見て驚きましたが、それでも担任への不信感は消えず、自宅では息子を注意するようにしたのです。

ところが、状態はどんどん悪くなるため担任のすすめで医療機関を受診したところ広汎性発達障害と診断されました。

適切な対応をすれば良くなると言われ、学校の担任とも協力して適切な対応を心がけ続けると、状態が落ち着き家族としても心にゆとりが生まれるようになったと思います。

参考元:愛知県教育委員 親のための子育て経験談集

相談できる身近な専門機関

専門機関に相談して、それぞれが適切な対応を心がけることで状態が安定することがあります。身近に相談できる専門機関は次のような場所がありますので、ご参考ください。

  • 発達障害者支援センター(相談窓口の情報
  • 子育て支援センター(市町村の担当窓口)
  • 児童発達支援センター(市区町村の担当窓口、または発達障害者支援センターにお問い合わせ)

さらに、発達障害のある子ども達向けの、運動と学習で療育を行う事業である放課後等デイサービスなどもあります。合わせてこちらもご覧ください。

横浜市都筑区児童発達支援と放課後等デイサービス 運動・学習療育アップ

児童発達支援と放課後等デイサービス 運動・学習療育アップ

まとめ

発達障害に対する対応方法をお伝えしてきましたが、やはり褒める事はとても大事になります。

しかし、サポートする方々のゆとりが無ければ褒める余裕もなくなってしまうように感じました。

1人で悩みこまず身近な専門機関に相談して、みんなでサポートし合える体制を整える事が、適切な対応をするために一番良い方法だと思います。

対応に悩んでいる方や困っている方は、我慢せずに相談だけでもしてみてはいかがでしょうか。