皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場になることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「ADHDは遺伝する?」についてです。
ADHDを日本語に訳すと「注意欠如・多動症」で、発達障害のうちの1つです。
主な症状は不注意、多動性、衝動性であり、症状が単独で現れる人もいれば混合して現れる人もいます。
今回は「親がADHDの場合子どもに遺伝するのか?」を解説するので、参考にしてくださいね。
目次
ADHDは遺伝しやすい

結論から申し上げると「ADHDは遺伝しやすい」といわれています。
しかし、すべての方が遺伝するわけではありません。ADHDの症状が現れる原因は遺伝の他に環境要因も含まれるからです。
精神経誌2018(120号11号)で発表された「注意欠如・多動症発病のエピジェネティクス仮説」にはADHDの遺伝率が記されています。
ADHDの遺伝率は以下の通りです。
- 児童思春期における遺伝率は70%程度
- 成人期における遺伝率は30%程度
参考元:注意欠如・多動症発病のエピジェネティクス仮説(PDF)
成人期における遺伝率が低くなる理由は、自己判断によるバイアスが影響しているためといわれています。
逆に児童思春期において遺伝率が高いのは、ADHD当事者ではなく教師や保護者といった第三者の評価が指標となるため観測されやすいのだと結論付けています。
ADHDを検査する方法

妊娠中に出産前診断が可能ですが、現在ADHDの可能性を確認できる検査はありません。
ADHDを診断するには生理学的な検査だけでは診断できないからといわれています。
ADHDかどうかを診断するには、アメリカ精神医学会が公開した「DSM-5」(精神障害のための診断と統計のマニュアル第5版)が必要です。
DSM-5を元に、本人へのカウンセリングや行動評価、知能・発達・神経学的検査を経て、ADHDかどうかが総合的に診断されます。
ADHDの診断方法については以下の記事にまとめていますので、併せてご覧ください。
ADHDの概要

英語でAttention Deficit Hyperactivity Disorderの略である「ADHD」は発見されてからまだ20数年しか経っていないこともあり、未だ解明されていない部分もたくさんあります。
ADHDは発達障害の1つで、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状がみられます。
ADHDの原因

ADHDの原因としてはっきりとしたものはまだわかりません。
しかし、現在「脳障害」「環境要因」の2つの説が研究されています。
この研究から、行動等をコントロールする神経系に原因がある脳の機能障害や、前頭葉の働きが弱いことがADHDの原因ではないかと考えられています。
前頭葉は脳の前部分にあって、物事を整理整頓したり、論理的な考えをする際に働きます。
また、注意力を持続させたり行動を司る部位でもあります。
ADHDの人は、これらの機能に何らかの異常があって、前頭葉がうまく働いていないと考えられます。
ADHDは脳機能の障害の素因が先天的にあって、それが出生後の脳機能の発達や環境的要因と相互に影響を及ぼしあい発症するとの説が、今のところ有力です。
まとめ
- ADHDは遺伝しやすい
- 遺伝の他に育った環境要因も影響がある
- 出産前診断でADHDを判定するのは不可能
ADHDは遺伝しやすいとはいえ、100%遺伝するものではありません。
お子さんがADHDの症状で苦しんでいたら、生活環境が原因の可能性があります。
可能な限り不安を取り除き、心穏やかな生活をお過ごしください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。