ADHDにおいて、兄弟で発症する確率は高いのでしょうか。
まだ、その男女比についても見ておきましょう。
目次
兄弟でADHDになる確率
兄弟でADHDになる確率はまだはっきりとしていませんが、遺伝がADHDの原因ではないと言い切ることができないため、兄弟でADHDが発言しやすいという仮説を否定することもできません。
また、実際に兄弟にADHDの子どもがいる場合、いない場合に比べて5~7倍、発症する確率が高いとした傾向を報告している研究もあります。
ただ、遺伝子が一致している一卵性双生児でも、100%の確率で発現するというわけではないため、兄弟にADHDの子どもがいるからといって、本人もADHDであるとは限りません。
ADHD発現率の男女比
男女でそれぞれかかりやすい病気や発症率に違いが見られることからもわかるように、ADHDの発現率も男女によって差があります。
ADHDの男:女の比率は4:1とされており、この差は脳の働きや仕組みに違いがあることに起因すると言われています。
また、性別によって症状にも違いがあります。
男子の場合は多動の症状が多く見られますが、女子の場合は不注意の症状が多く見られます。
不注意の症状は多動の症状に比べて周囲から気づかれにくいため、実際の女子のADHDの比率はもう少し高いと考えられます。
そのため、男女比率の実際の数値の差は現在出ているものよりも小さいとされています。
また、ADHDであることが診断される年齢の平均にも、男女で差があります。
男子は8歳前後で女子は12歳前後が平均で、この開きは女子は男子に比べADHDであることが発覚するのが遅れていることが原因であると考えられます。
子どもがADHDかどうかを妊娠中に知る方法は?
超音波検査・NIPT・絨毛検査・NT超音波検査・母体血清マーカー・羊水検査・新出生前診断・胎児ドッグなどに代表される妊娠前診断を持ってしても、子どもがADHDかどうかを知るすべは今のところありません。
ADHDは身体に特徴が現れることもないので、出生後でも生理学的な検査だけではADHDかどうかの判別はつきません。
ADHDの診断には、アメリカの精神医学会の定めるマニュアルの「DSM-5」を用います。
これは、本人への面談や問診、行動評価、知能・発達・神経学的検査などから総合的に判断されるものです。
ADHDの原因は未だ解明されていない
ADHDの症状は昔から認識されていたものの、それが障害として認識されるようになったのはまだほんの少し前の話です。
原因に関しても、脳の前頭野の働きや神経伝達物質の働きの低下など様々な説が提唱されていますが、それでもまだはっきりと解明されたわけではありません。
ADHDの子どもを持つ親の中には、周りから責められてしまい自分に原因があるかのように思えてしまう人もいます。
しかし、実際にはしつけや愛情不足、単純な遺伝が原因ではありません。
周りにADHDを持つ親がいるという場合は、その事をしっかりと理解した上でサポートしてあげるようにしましょう。
ADHDはその子の持つ特性の1つであり、強みにもなり得ます。
子どもが自分らしく生きられるように、周りの大人が手伝ってあげることが大切です。