皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場になることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは「ADHD兄弟発症比率」についてです。

ADHDが兄弟で発症する確率は高いのでしょうか?また、その男女比はどうなっているのでしょうか?

論文などを用いながら解説していきますので、是非参考にしてください。

兄弟でADHDになる確率

兄弟でADHDになる確率はまだはっきりとしていませんが、遺伝がADHDの原因ではないと言い切ることができないため、兄弟でADHDが発言しやすいという仮説を否定することもできません。

2018年に海外で兄姉がADHDもしくはASDの場合、弟妹もADHDもしくはASDを発病しているかの研究が発表されました。

参考元:Sibling Recurrence Risk and Cross-aggregation of Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder and Autism Spectrum Disorder

上記の研究結果は以下の通りです。

  • 兄姉がADHDの場合、弟妹もADHDである確率は通常よりも約13倍高くなる
  • 兄姉がASDの場合、弟妹はADHDである確率は通常よりも約3.5倍高くなる

遺伝子が一致している一卵性双生児の場合は100%の確率で発現するというわけではないため、兄弟にADHDの子どもがいるからといって、本人もADHDであるとは限りません。

ADHD発病率の男女比

学童期の子どものうち、男の子は女の子よりも3~5倍発病しやすいといわれ、成人になると男女比は1:1に落ち着きます。

参考元:ADHD(注意欠如・多動症) | NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター

男女で差が出るのは、脳の働きや仕組みに違いがあることに起因するといわれています。

男女別症状の違い

性別によって症状にも違いがあります。

男子の場合は多動の症状が多く見られますが、女子の場合は不注意の症状が多く見られます。

不注意の症状は多動の症状に比べて周囲から気づかれにくいため、実際の女子のADHDの比率はもう少し高いと考えられるようです。

よって男女比率の実際の数値の差は現在出ているものよりも小さいとされています。

診断年齢

ADHDであると診断される年齢の平均にも、男女で差があります。

男子は8歳前後で女子は12歳前後が平均です。

差があるのは、女子は男子に比べADHDであると発覚するのが遅れているのが原因であると考えられます。

子どもがADHDかどうかを妊娠中に知る方法は?

超音波検査・NIPT・絨毛検査・NT超音波検査・母体血清マーカー・羊水検査・新出生前診断・胎児ドッグなどに代表される妊娠前診断を持ってしても、子どもがADHDかどうかを知るすべは今のところありません

ADHDは身体に特徴が現れることもないので、出生後でも生理学的な検査だけではADHDかどうかの判別はつきません。

ADHDの診断には、アメリカの精神医学会の定めるマニュアルの「DSM-5」を用います。

これは、本人への面談や問診、行動評価、知能・発達・神経学的検査などから総合的に判断されるものです。

ADHDの診断方法については以下の記事にまとめていますので、併せてご覧ください。

ADHDの診断方法

ADHDの原因は未だ解明されていない

ADHDの症状は昔から認識されていたものの、それが障害として認識されるようになったのはまだほんの少し前の話です。

原因に関しても、脳の前頭野の働きや神経伝達物質の働きの低下など様々な説が提唱されていますが、それでもまだはっきりと解明されたわけではありません。

ADHDの子どもを持つ親の中には、周りから責められてしまい自分に原因があるかのように思えてしまう人もいます。

しかし、実際にはしつけや愛情不足、単純な遺伝が原因ではありません。

周りにADHDを持つ親がいるという場合は、その事をしっかりと理解した上でサポートしてあげるようにしましょう。

ADHDはその子の持つ特性の1つであり、強みになる可能性を持っています

子どもが自分らしく生きられるように、周りの大人が手伝ってあげることが大切です。

まとめ

  • 兄姉がADHDであると弟妹もADHDを発症する可能性がある
  • 男女によって発症比率と症状しやすさは異なる
  • ADHDの原因はいまだ解明されていない

今回は兄弟比率や男女比率をまとめました。

ADHDの症状が現れると、うまく事が進まず自己肯定感が満たされないことが多いです。

そんな時は失敗した事実を指摘するのではなく、できた部分を持ち上げることでADHDの方のメンタルを傷つけずにすみます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。