皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害 発達性ディスレクシア」についてです。

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青木
発達性ディスレクシアをご存知でしょうか?

極端に文字だけが苦手で他の事はよくできる!
お子さんにそのような心当たりがあるのであれば発達障害のひとつ「発達性ディスレクシア(読み書き障害)」が原因かも知れません。

発達性ディスレクシアは、早期の支援開始が求められる発達障害です。
一斉授業の多い日本では、周囲も気付かないまま、長い時間つらい思いをすることも少なくありません。

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大竹
鬱(うつ)病などの二次障害も心配ですね……。

どんな症状があるのか? 
特徴をはじめ、自宅でも簡単に挑戦できる勉強方法までをまとめました。
ひとりで悩まなくても大丈夫! この記事で一緒に考えていきましょう!

発達性ディスレクシア(読み書き障害)とは?

発達性ディスクレシアは、一言で表すと「極端に文字が苦手」という特性を持った発達障害です。

よく「文字を覚えられない」と捉えられがちですが、全くできないわけではありません。

学習の方法を工夫すれば、その子に合ったペースで覚えていくことができます。
しかし、それは発達障害の存在に気付いて、適切な工夫をした場合です。

発達性ディスレクシアはどのような存在なのか、一緒に知っていきましょう!

文字が苦手な学習障害!? そもそも発達障害ってなに?

厚生労働省では、次のように定義されています。

小児期に生じる特異的な読み書き障害は発達性ディスレクシアとして知られ、知的な遅れや視聴覚障害がなく充分な教育歴と本人の努力があるにもかかわらず、知的能力から期待される読字能力を獲得することに困難がある状態と定義されます。なお読み能力だけでなく書字能力も通常劣っています。

引用元:e-ヘルスネット(厚生労働省)より「学習障害」の一部抜粋
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大竹
……難しいです……。
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青木
大丈夫、大竹さん!?
ちゃんと簡単にまとめて説明しますから!

発達性ディスレクシアは、「学習障害」に分類される発達障害です。
別名「読み書き障害」とも呼ばれます。

学習障害の対象となる複数の機能のうち、「読む」と「書く」の両方に困難があります。
目や耳の問題ではないこと、知的に問題がないことなどが条件です。

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青木
「読む」に困難のあるものは「読字障害(難読症)」、「書く」に困難のあるものは「書字障害」、
と名付けられています。
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大竹
ひとつずつ名前があるんですね。
じゃあ、発達性ディスレクシアは?
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青木
その両方をひとまとめに捉えた名前です。
「読む」が難しい場合は、結果的に「書く」が困難となることが多いんです。
そのため、ひとまとめに「読み書き障害」・「発達性ディスレクシア」と呼ばれています。

【発達障害とは?】

生まれつき脳の発達に特徴があり、「できること」と「できないこと」の差が極端に大きく開いてしまっている障害の総称です。
様々な種類があり、大きく分けて、

  • 注意欠陥多動性障害(ADHD) :じっとしていられない、注意が散漫になる など
  • 自閉症スペクトラム(ASD) :コミュニケーションが取りにくい など(アスペルガー症候群などを含む)
  • 学習障害(限局性学習障害/限局性学習症,LD) :「読む・書く・計算する・聞く・話す」ことに困難が生じる など

この三つに分類されます。

【学習障害とは?】

  • 読む
  • 書く
  • 計算する
  • 聞く
  • 話す

のいずれか、または複数の能力に困難が生じることによって起こる発達障害です。

参考:文部科学省「学習障害児に対する指導について(報告)」(平成11年7月)

【ディスレクシアの語源は?】

ディスレクシア(dyslexia)という言葉には、ギリシャ語でdys「困難」、lexia「読む」という意味があります。

発達性ディスレクシアの特徴ってどんなもの?

「読む/書くのが困難」とは、どのような状態でしょうか?

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青木
大竹さん。
このWeb記事に並んだ文字を見て、どうやって「音」に置き換えていますか?
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大竹
えっ……?
どうやっているのかな。無意識です。
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青木
それは大竹さんに、たくさん文字を読んで来た経験があるからです。脳が高速で処理してくれているんですよ。

文字は、読まなければただの「記号」に過ぎません。
この「音を表した記号」を頭の中でそれぞれ対応する「音」に置き換えることで、人ははじめて「読む」ことができます。

書くことも同じです。
頭の中に浮かべた「音」を対応する記号に置き換えることによって、文字を「書く」ことに成功します。

発達性ディスレクシアを持つ人には、この「記号と音を結びつける行為」が難しいとされています。

誰かに読んでもらって耳から入った情報は理解できますが、自分で読もうとしたり、書こうとしたりすると途端に難しくなってしまうのです。

個人差はありますが、文字という記号が読みづらい/書きづらいといった状態です。
生まれつきの症状である為、文字に対する感覚が他の人とは異なっていることに気付かない場合が多く、「自分は努力が足りない」と思い詰めてしまうこともあります。

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青木
下記は、表面に現れる特徴の例です。

【発達性ディスレクシアの特徴例】

  • 幼児期は文字に興味がない
  • 文字が変質して見える
     (ゆがむ、踊っている、かすむ、
      バラバラになる、刺さるように見える など)
  • 促音拗音の誤りが多い(「っ」「ょ」など)
  • 同音の文字を間違えやすい(「は」「わ」など)
  • 形が近い文字の誤りが多い(「あ」「お」など)
  • 音読がたどたどしく、読むスピードが遅い
  •  読むので精いっぱいで内容が頭に入ってこない
  • 文末を自分で適当に変えてしまう
  •  書くが遅く、よく書き間違える
  •  行やマス通りに書くのが難しい
  • 筆圧の調節が難しい
  • 長文にすぐ疲れてしまう
  • どこを読んでいるのか、書き写しているのかわからなくなる

 など

※個人差があり、例に全部当てはまるとは限りません。
また、当てはまる場合も、軽度~深刻な状態など人によって困難の度合いは異なります。

学習困難と二次障害:対策をせずに放置していると、どうなるの?

発達性ディスレクシアを持っていることに気付かず、何の対策も支援も行わないまま学年が上がっていくと、どうなるでしょうか?
次に起こりかねないのが、他の学習も困難となってしまう事です。

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大竹
勉強には、新しい文字が次々と登場しますよね……。
ひらがなの他にも、カタカナ(片仮名)、漢字、数字、アルファベット……。
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青木
黒板の文字を写しきる前に消されてしまうなど、一斉授業の速度についていけなくなることで、充分な学習ができない恐れもあります。
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大竹
教科書を読んだり、ノートに書き写したりすることにも、文字を使いますね。ここで疲れると、肝心の学習内容が頭に入ってくる前にクタクタです……。

学習困難だけでなく、二次障害を引き起こす可能性もあります。

学習についていけず「わからないこと」がどんどん増えることで、不安な毎日を過ごさなければならなくなってしまうかも知れません。
外見からは障害の存在がわかりづらいため、文字を上手く読み書きできない原因を「努力をしていないからだ!」などと頭ごなしに怒られてしまうかも知れません。

これらの不安や恐怖が要因となり、心に傷を負ってしまうケースも少なくないのです。

学習困難や二次障害におちいらないようにするためにも、早期の支援開始が必要とされています。

【二次障害とは? 】
発達障害が理由で社会に上手く適応できなくなった結果、鬱(うつ)や引きこもりなどを引き起こしてしまう事です。

1学級に1人は読み書き障害?

研究では、一説では日本人の約8%(厚生労働省の解説では児童生徒の3.3%)は読み書き障害があると考えられているそうです。
8%だと25人に1人の割合、3%だと50人中1~2人の割合ですから、およそ1学級に1人は居る計算ですね。

しかし、

  • 発達性ディスレクシア自体の認知度が低い
  • 日頃の会話には問題がないため、外見からはわかりづらい
  • 全くできないわけではなく、何度か繰り返すと読めるようになる

などの要因から、周囲の気づきや本人の自覚が無い場合も少なくありません。
ひらがなやカタカナの習得に問題がなくても、より難しい漢字や英語の勉強が始まってから初めて表面化するケースもあります。

発達性ディスレクシアは早期の支援が大切とされていますが、未就学児や小学校低学年のうちに気付かれることは少なく、支援の開始が遅れてしまうのが現状だそうです。

どんな支援があるの? 周囲にできることは?

 

支援の種類:抱え込まないで! 不安があれば各団体の相談窓口へ

発達性ディスレクシアであることがわかった場合、どこで、どのような支援を受けられるでしょうか。
お住まいの地域によって異なりますが、支援環境には下記のような種類があります。

【支援環境の種類例】

  • 公共の専門窓口・専門の医療機関へ相談する
  • 公共の発達支援センターなどを利用する
  • 各学校の特別支援学級の利用
  • 特別支援学校の利用
  • 発達障害の子どもを対象とした学習塾の利用

受け入れ条件などは各団体によって異なりますので、まずはお住まいの地域にある公共の専門窓口や専門の医療機関などに相談してみて下さい。
自治体のホームページや、地域発行の情報誌にも連絡先が載っていることがあります。
本当に発達障害である確証がなくても、『不安があれば気軽に相談しても良い』と相談窓口を設けている団体もあります。

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大竹
ためしに確認してみたら、
私の住んでいる町では、町役場の広報誌に「発達障害の相談」の記載がありました!
↓こちらの外部リンクからも、
全国の相談窓口を探すことができます
国立障害者リハビリテーションセンター・
発達障害情報・支援センター
相談窓口の一覧

インターネットも活用しよう:情報収集や、同じ悩みをもった仲間に出会える!

インターネットやSNSを上手に活用することも、精神的な負担を減らす上で効果的です。

情報を収集したり、TwitterやFaceBookなどで同じ悩みをもった仲間に出会えるかも知れません。
お住まいの地域になかなか相談できる場所がない場合でも、インターネットを通して相談窓口へ連絡することができます。

子育てと発達障害の情報がいっぱい!
↓ こちらのサイトもご参考下さい! 
横浜市都筑区児童発達支援と放課後等デイサービス
運動・学習療育アップ
運動・学習療育アップへのリンク画像です。
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青木
ひとりで悩まなくてもいいんです。
困ったら、勇気を出して助けを求めてみて!

周囲にできること:身近な人が発達性ディスレクシアを持っていたら?

生まれつきの発達障害を変えることはできませんが、学習困難や二次障害のリスクは対策次第で軽減できます。

「気付く」こと

発達性ディスレクシアへの支援は早ければ早いほど、可能であれば保育園/幼稚園児など小学校入学前の未就学児のうちに、始めた方が良いとされています。
もしお子さんの「ひらがなを覚えられない」様子に違和感があるのでしたら、早期に対策を検討した方が良いでしょう。

「できないこと」を叱るのではなく、「できること」に目を向ける

本人にはどうすることもできない部分を叱るより、得意な部分をひとつでも多く見つけて伸ばす事で、学習意欲や自信に繋がります。
前向きな気持ちを育てることは、二次障害である鬱(うつ)病や引きこもりの発症を防ぐ助けにもなります。

配慮すること

補助があれば、読み書きの負担を少なくして学習することができます。
デジタル教科書やカメラといったIT機器の使用など、本人から使いたいと申し出があった場合は、可能な限り認められる環境を作ることも大切です。

↓海外では、個性に合った学習方法が認められている例もあるそうです。

引用元:Twitterより
―てんねんDr.@adhdsavetheplan

まとめ

いかがでしたでしょうか。

極端に文字だけが苦手で他の事はよくできる!というお子さん。
発達障害のひとつ「発達性ディスレクシア(読み書き障害)」について紹介させていただきました。

ひとりで考えすぎずにまずは、周りの力も借りて相談をしてみましょう!