皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは「発達障害児とのコミュニケーション対策」についてです。

「しっかり伝えたつもりの内容が、なぜか相手に上手く理解してもらえない」

「よく場違いなコメントをされてしまって、こちらも嫌な思いをしてしまう」

上記のように、発達障害を抱える子どもとのコミュニケーションが上手くいかない、といった悩みを抱える人は少なくありません。

上手くいかない事には、実はちゃんとした理由があるのです。

この記事ではその理由と、より上手に意思疎通するにはどうすれば良いのかについて記していきます。

コミュニケーションが苦手な発達障害のタイプ

発達障害は、先天性の脳の機能障害の事です。

主に自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の三つのタイプに分類されます。

この中でも、コミュニケーションを最も苦手とする発達障害のタイプは自閉症スペクトラム障害(ASD)であると言われています。

また、特定の情報伝達方法(書く、聞く、読む、話すなど)を苦手とする場合も多い学習障害も、ASDに次いでコミュニケーションに困難が生じることがあるでしょう。

一方ADHDは、物事を忘れやすい、整理できないといった特性がありますが、意思疎通については他の分類と比べて基本的に問題が起きることは少ないと言われています。

“コミュ障”との違い

“コミュ障”とは、「コミュニケーション障害」を省略した言葉です。ただし、実際に障害があることを示すのではなく、「コミュニケーションが苦手である」ことを表す俗語として主に使用されます。

“コミュ障”であるからと言って、必ずしもその人が発達障害を抱えているとは限りません。

引用元:相談支援研究開発センターキズキビジネスカレッジ

コミュニケーションが苦手な5つの理由

発達障害を抱えている子どもは、周りとのコミュニケーションが上手く取れないが故に「変わっている」「空気が読めない」などと思われてしまうことが少なくありません。

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青木
そもそも、「コミュニケーションが苦手」とは、どのような状態を指すのでしょうか。
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大竹
以下、そう思われてしまう理由について記しています。

メタメッセージを受け取れない

私たちは普段コミュニケーションをとるとき、言葉のやり取り以外にも、身振り、表情、声のトーンなどといった相手の情報もやり取りします。

メタメッセージとは、そういった非言語的コミュニケーションの事を指すのです。

実際のコミュニケーションにおいて、伝えることの80%以上はメタメッセージによるものだと考えられています。しかし、ASDを持つ子は特に、これらを理解しづらいという特性を持っているので、言葉をそのまま通りに理解してしまう子が多いです。

以下、メタメッセージを受け取れなかった例となります。

  • 皮肉や冗談を理解できず、真に受けてしまう
  • 友達のプライベートな話題を、「誰にも言わないでね」と言われなかったためクラスのみんなに伝えてしまう
  • 周りが話をそろそろ切り上げようとしていた雰囲気の中、一人だけしゃべり続けてしまう

“適当”がわからない

日常的な会話において、「適当に」「ちょっとだけ」「普通に」などといった表現はよく使用されますよね。

しかし、言葉を文字通りに理解するASDの子どもにとって、そのようなあいまいな表現はうまく理解することができません。

「ちょっと」は、一体どれくらい「ちょっと」なのだろうか?

といったことを考え固まってしまったり、通常考える「ちょっと」の量をはるかに超えた量を提供してしまったりしてしまうことも。

例えば、「犬にいつもよりちょっとだけ多めに餌あげて」と伝えた場合、その度合いが理解できず、過剰にいつもより多く餌を与えてしまうことなどがあります。

想像力に偏りがある

先ほど、ASDを抱えた子がメタメッセージを受け取れないこと、”適当”が分からないことなどを示しましたが、それはASDの特性の一つである「想像力の偏り」に起因しているとも考えられます。

例えば、道で転んでけがをしてしまった友達が「大丈夫だよ」と言いながら、つらそうな表情を浮かべているとします。

通常このような場合、「この子は心配をかけたくないから、大丈夫ではなくてもそう言っているだな」と考えて、相手を助ける行為に移るかと思われます。

しかし、ASDを抱えている場合、相手の言葉の意味だけ受け取り、「大丈夫なんだ」と考え、そのまま友達を置き去りにしてしまう、なんてこともあるかもしれないのです。

また、想像力が偏っていると融通が利かなかったり、気持ちの切り替えがしづらいということもあります。また、いわゆる「暗黙のルール」に関してもわからない事が多いかもしれません。

これも、円滑なコミュニケーションをとることを阻害する一因となります。

対人・社会関係が理解しづらい

先ほど、ASDを抱える子はあいまいな事柄を理解するのが苦手であると説明しました。

対人関係や社会関係も、成長する過程で何となく理解するようになる曖昧なものです。それらがあまり理解できない事が、対人関係におけるコミュニケーションで弊害を生じさせる可能性もあります。

例えば、知らない人や初めて会った人、年上の人に対して一般的に敬語が使われることが多いですよね。

しかし、この社会関係をうまく理解できないため、初対面の人に対してもため口をきいてしまうなんど、周囲から見ると一見「無礼」であると思われる行為をしてしまうこともあります。

小さい頃は社会的にも年齢を理由に許される事が多いです。しかし、成長してもし社会人として働くようになった時には、会社での上下関係などもあるので注意しておきたい点でもあります。

ライター体験談

自閉症を抱える筆者の妹ですが、小学生の頃家族でスーパーに買い物に行っていました。

そこで試食を配っていた方が妹にも優しく「どうぞ」と声をかけて渡してくれようとしたのですが、妹は勢いよく「やだ!!」とそれは大声で反発してしまったのです。

せっかく試食のものを渡してくれようとした上に、初対面の相手にそれはないだろうと、母があわててその人に謝っていたのを今でも覚えています。社会性を理解できていないASDを抱える子の例の一つです。

情報伝達の方法に得意・不得意がある

LDを抱える子は、聞く・書く・読む・話すなどと言った、ある特定の分野が極度に苦手であることが多いです。

それなので、もしコミュニケーションをとる方法が本人にとっての苦手分野である場合、意思疎通がうまくいかない可能性が大きくなります。

例えば、情報を耳で聞いて理解することを苦手としている子にとって、早口の会話や授業中の指示などはうまく認識できません。

そして、会話の途中からついていけなくなったり、口頭での指示をしっかり理解することが出来ず、コミュニケーションが上手くいかなかった、と思われてしまうことが多いです。

また、ASDの子は、視覚優位である子が多いです。

こちらも、口頭での長い指示などは理解しにくく感じてしまいます。

視覚優位とは

絵や写真、図などを視覚的に示された情報の処理が優れていること。
一方、口頭での説明など聴覚的に入る情報の処理が苦手。

情報を理解するのにそれぞれ適切な方法があるので、それを周囲が理解していないとコミュニケーションが上手くいかなくなる原因となるのです。

引用元: キズキビジネスカレッジ大阪大学現代GPプロジェクトNHK

コミュニケーションの4つの対策

発達障害は、生まれつきの脳の発達機能障害です。

コミュニケーションにおける苦手の原因は脳の構造上の特性なので、本人の努力で簡単にどうこうできるわけではありません。

発達障害を抱える子と円滑なコミュニケーションを行うには、まず一番身近な人々が理解を示す事です。そして、その理解の輪を広げていく必要があります。同時に、コミュニケーションを上手く行うにはどうすればいいのか考え、協力する姿勢も必要です。

苦手といっても、人それぞれ違うものなので、一人一人に合わせた対策を行っていく必要があります。

以下、その対策例を記していきます。

指示は具体的に

先ほど説明したように、発達障害、特にASDを抱えている子にとって曖昧な指示や内容は理解しづらいです。そして、その曖昧な指示が原因で思わぬ結果をもたらしてしまうことがあります。

それを防ぐためにも、普段の生活から具体的な指示をするように意識しましょう。「これくらいならわかるだろう」という先入観をなくすことが重要です。

ライター体験談

筆者の妹は自閉症を抱えていますが、やはりあいまいな表現は理解することが難しいようです。

例えば、「ご飯にふりかけをちょっとかけてね」というと、ご飯の一部がほんのり色づく位しかかけません。逆に「少なすぎるからもう少しかけていいよ!」と言うと、ご飯の白い部分が見えなくなるほど大量にかけてしまいます。

実際にふりかけがかかったご飯を見て、ようやくそのかけるべき量を理解していました。

文字や図での説明を求める

ASD、LDを持つ人どちらにとっても有効な対策です。

先ほど説明したように、ASDを持つ人は視覚優位である人が多いです。

それなので、何かの情報を伝達する場合は口頭だけではなく、絵や図、文字などを用いると、本人にとってもわかりやすくなります。

また、LDの人の中でも情報を聞き取ることが苦手な子がいます。

情報の聞き漏れや、話についていけなくなるといった状況を回避するためにも、視覚的な説明を補足するととても効果的です。

視覚的な説明をする手段として良く用いられるのが、以下のような絵カードです。ぜひご参照ください。

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青木
全てのASD・LDを抱える子が視覚優位であるとは限りません。中には聴覚優位である子や、文字が読めない子もいます。
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大竹
聴覚優位である子には口頭での説明を、文字が読めない子には文字を読み起こす機械などを利用する、というように、それぞれに合った対策を模索しましょう。

聴覚優位とは

視覚優位の逆。
耳から入ってくる聴覚的な情報を理解するのが得意である一方、視覚的な情報を処理することを苦手とする。

嫌だと感じた所は伝える

もし発達障害を抱える子どもが失礼な事を言ってしまったり、少し「場の雰囲気にそぐわないかな?」と感じる発言をした場合は、本人に伝えるようにしましょう。これは家族だけには限りません。

発達障害を抱える子どもとのコミュニケーションが上手くいかず、彼らから何も言わず離れて行ってしまう人は少なくありません。

その人達はそれで気分が良くなるのかもしれませんが、離れられた側はその理由が分からないのです。その理由が分からないので、また新しい友達を作っても離れられてしまう、というようなことが起きてしまいます。

コミュニケーションにおける良し悪しは、きちんと誰かに教えてもらわないと障害を抱えた子供たちは分からないことが多いので、そこは本人のためにも伝えて上げましょう。

公的なサービスを利用する

近年、発達障害を抱える子どもたちのデイサービスが増えています。

デイサービスでは、子どもたちに対して運動や学習など、様々な事を通してコミュニケーション能力や社会性などを教えているところがほとんどです。

神奈川県横浜市にあるアップも、そんなサービスを提供する施設の一つですので、お気になられた場合はお気軽にご連絡ください。

引用元: キズキビジネスカレッジKodansha Bluebacks

まとめ

発達障害、特にASDやLDを持つ子どもたちは、コミュニケーションに齟齬が生じることが少なくありません。

コミュニケーションが上手くいかないことには、メタメッセージが受け取れない、曖昧な表現が理解しづらい、といった理由があります。

そういった理由を個々で探求し、それぞれに合った対策をしていく必要があるのです。何か相手が不快に感じてしまうような発言や、的外れな返答をしてしまうことがあっても、決して本人たちに悪気があるわけではありません。

このことを周囲の人々が理解しサポートする必要があり、更にその輪を広げていくことが重要となります。