皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは「発達障害を抱える高校生」についてです。

子どもの凄まじい成長の速さに驚かされない親は、いないのではないでしょうか。小学校を卒業して中学校に上がったら、高校への扉はもうすぐそこ。

高校は、子どもたちが自らの在り方や進路について主体的に考えるようになる重要な時期を過ごす場所です。

特に発達障害を抱えていると、得意・不得意を含む様々な特性を抱えている子が多いので、それぞれに合った進学先を見つけることが大変重要な項目となります。

この記事では、高校生になった発達障害を抱える子どもへどう対応すればよいのかと、中学卒業後の進路の種類について記していきます。

生活における支援

子どもが発達障害を抱えていると、なかなか定型発達児と同様に「発達段階がある」ということを見落としてしまう保護者の方々も多いのではないでしょうか。

一般的に高校生がどの発達段階に分類されるのかを確認した後、発達障害を抱える生徒が生活上で必要なサポートについて見ていきましょう。

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青木
もちろん、それぞれが抱える障害の重さなどにより発達段階の時期が違うこともあります。

高校生という発達段階について

先ほど言ったように、高校生は発達段階において「青年中期」に分類されます。

この時期の特徴として挙げられるのは、「アイデンティティの確立を目指す」ということです。その具体的な内容は以下となります。

  • 思春期を脱しつつ、自らの生き方やあり方について考えるようになる
  • 自分の価値観および職業などを決定し、社会の一員としての自覚とその立ち位置を確立しようとする
  • 自分らしさを求めて他人と自分を比べ、そのささいな違いについて思い悩む

このように、今後の将来に対する展望などに対してとても思い悩む時期を過ごしているのが、高校生となるのです。

自己理解を深める手助け

自己確立に向けて様々に思い悩んでいる高校生に対しては、自己理解を深める手助けが必要です。

自己理解とは、例えば自分にできることや苦手な事、したい事について知ること。

様々な特性を持つ発達障害を抱える高校生は、特にそれが必要です。

自己理解を深めることは、今後の自立に向けて周囲のサポートをどのように受ければよいのか本人たちも理解できるようになります。また、できない事があってもそれを気に病むことも少なくなってくるでしょう。

手助けの内容としては、以下のようになります。

成功体験を積める環境を用意する

成功体験を積むことによって自分には何ができるのか、ということをより知ることが出来るようになります。またそれと同時に、自己肯定感を高めることにもつながります。

発達障害を抱える生徒はできることよりも、できないことに注目が集まりがちです。小さな成功体験を積むことは本人たちの自分に対する否定的な考えをぬぐうためにも、とても大切なこととなります。

苦手を理解してもらえる環境作りを

先ほど、発達障害を抱える子はできない事により注目されてしまう、と書きました。

特に周りと比べてしまう高校生の時期に自分の苦手分野について過度に言及されたり叱責されてしまうと、自己肯定感が下がってしまい、場合によっては二次障害につながってしまいます。

二次障害とは

本来の発達障害の特性ではなく、その特性に対して周囲の理解が得られず過度な叱責、仲間外れにされるなどといったことに起因するもの。不眠、抑うつ気分、暴言などといった心身の症状が出る。

二次障害は学校生活ではさらに長期欠席や問題行動、学力不振につながると考えられます。

このようなことが起こらないためにも、高等学校では子どもに対する教師を始めとした周囲の人々の苦手に対する理解とサポートが必要とされるのです。

相手を客観的に見る

高校生の時期は、主体的に進路などといったことを選択していく必要が出てきます。

もちろん生徒たちが自分自身によって選択していく意思を尊重することは大切です。しかし、判断軸がいくつもある中で客観的に物事を決断することは、発達障害を抱えている子にとって、抱えていない人と比べると特に難しいこととなります。

その結果、本人の特性とはあまりにもかけ離れたキャリアプランや進路について考えることもあるのです。

発達障害を抱える生徒が重要な選択をする場合は、ぜひ周囲の人々が客観的に見守ってサポートしてあげてください。

公的なサポートを利用する

高校生の時期は、子どもの自立心が芽生える時期でもあります。

そのため大人、特に親のいう事を聞かなくなってくることも増えてきます。子供のためを思いサポートしようとすればするほど、反発されてしまい、お互いのストレスが高まってきてしまうことも。

そんな時は、周囲のサポート機関に頼ることを忘れないでください。

保護者が子どもの直接的なサポートに必ずしもなる必要はなく、本人が信頼できる第三者とつなげることもできるのです。

放課後デイサービスを提供するアップも、そのような公的サービスを提供する施設の一つ。

お気になられた場合は、お気軽にお問い合わせください。

最終的な進路に関する判断は自分で

自己理解を深められたあとの最終判断は、本人に任せましょう。そこで周囲が本人に対して「正解」を押し付けてしまうと、その人のアイデンティティが失われてしまう危険性があります。

しかも、それが二次障害の引き金になることも。

合理的な判断が出来ていないと思われるような場合でも、あくまで本人の意思を尊重する姿勢を貫きましょう。

参照元:佐賀県教育センタープロジェクト研究teens

進路の種類

高校生以降になると、それまでの中学生までと比べて進路に対する選択肢が一気に増えます。そして選択が増える分、入学方法も多岐にわたるようになるのです。

中学卒業後の進路に関しては、中学二年生のころから積極的に考えていった方が良いでしょう。

本人にとって合っている場所かどうか知るためにも、ぜひ進学先候補の見学や体験授業に参加してください。

発達障害を抱えるにあたって、進路選択が重要な理由

先ほど、発達障害を抱える高校生は特に自己理解を深める必要性がある、と話しました。その自己理解を肯定的に深められる学校選びが、とても重要になってくるのです。

障害を抱える子どもは特に、特性が幅広いことによって一概に学力などで学校が選べないこともあり、進路選びが難しくなっています。しかも、それぞれの得意分野が伸びる時期だって様々です。

それなので、障がいを抱えていない子どもと比べてより、一人一人の個性に合った学校を選ぶ必要がでできます。

学校の種類

高等学校と聞いて、一般的に思い浮かぶものは何ですか?

平日は学校に通い、中学とさほど変わらない教科の勉強をして定期試験があり、一年間に定められただけの単位が取れれば進級できる、という所でしょうか。

しかし、発達障害を抱える子どもたちの個性により合わせるための進学先選びは、これよりももっと幅広く探す事ができるのです。

どれが一番お子さんに合うのか、考えながら読んでみてくださいね。

高等専門学校

高等専門学校の目的は、実践的・創造的技術者の養成です。

卒業には5年かかり、その間機械系や電気系などといった専門科目の他に、一般科目も学び、技術者に必要な教養と専門知識をどちらも身に着けることが可能となります。

専門科目では、学んだ事に対する応用力をつけるために机上の勉強だけではなく、実践することに重きが置かれています。

学科は学校により異なり、大きく工業系と商船系に分かれます。これら二つ以外にも、以下のような学科が提供されている場合もあります。

  • 経営情報学科
  • 情報デザイン学科
  • コミュニケーション情報学科
  • 国際流通学科

専攻科卒業後は更に2年間高度な技術教育を行い、それを修了すると審査を経て大学学部と同じ学士学位を取得することができます。

専門学校が提供している科の中で、子どもが特に興味を示すものがある場合や、LDなどで特定の分野が極端にできない子供にとって適当とされる場合もあります。

高等専修学校

高等専修学校は、工業系、商船系に限らず、バラエティに富んだ職業教育を行う学校のことです(農業、社会福祉など)。

不登校であったり、高等学校を中途で退学した生徒の受け入れも積極的に行っている節がある学校も多いです。

一見高等専門学校と同じように見える高等専修学校ですが、これら二つの間には以下のような違いがあります。

  • 専門学校は5年で卒業、専修学校は1~3年で卒業
  • 専門学校は高等教育機関、専修学校は中等教育機関
  • 専門学校は学校教育法上、高等学校や大学と同じ位置づけ。専修学校はそうではなく、「専修学校」として位置づけられている

こちらの学校も、すでに自分の興味分野が明らかである、障がいが比較的軽度な子どもにとって適当であるかもしれません。

特別支援学校高等部

こちらは、障害を抱える子どもたちの学習や生活、就職においての手厚い支援を受けられる学校となります。 卒業後の生徒の社会的自立と企業就労を主に目的としています。

高校では特別支援学級を設置しているところが少ないので、中学校まで特別支援学級に通っていた子供がこちらの学校に入ることも多いです。 クラスは少人数制で、障害の強度によって分けられます。

教科学習が行われず、どちらかと言えばコミュニケーションやお金の数え方、身体の動かし方などといった生活に必要な知識を身につけます。高校の卒業資格は得られませんが、大学への受験資格は得られます。

教員は通常の教員免許に加えて、特別支援学校の教員免許も持ち、様々な障害に関する知識があります。 そんな先生方が指導してくれる特別支援学校の最大の特徴として挙げられるのは、生徒一人一人のきめ細やかで丁寧な対応をしてくれる所です。

ライター体験談

筆者の妹は重度の自閉症を抱えていますが、そんな彼女も特別支援学校へ通いました。

母と妹の担任の先生は毎日連絡網で妹の様子などの報告をしていたことから、一人一人いかに丁寧にサポートしてもらっていたかが伺えます。

妹のクラスは妹と同じ程度の障害を抱えた子供たちが集まり、高校卒業後はそれぞれ福祉園へと行くこととなりました。

一方、まだ軽度であった妹と同じ他の同級生たちは、就職をすることとなっていました。

通信制

一般的な学校は3年間、週に5~6日学校に通い卒業を目指す全日制です。

しかし、もしお子さんが学校にあまり通学したくないという場合でしたら、学校へ通学する必要のない通信制の高校に通うことが出来ます。

通信制の高校は基本的に自宅で学習を行います。「レポート」を郵送やウェブ経由などで学校に提出、決められた日数分だけ「スクーリング(面接指導)」を受け、テストを受けるという仕組みです。

発達障害を抱えている子どものための通信高校は調べればいくらでも出てくるので、ぜひ探してみてくださいね。

単位制高校

一般的な高等学校は、クラス制をとっています。クラス制とは、1年ごとに必要な単位数が決まっている上で、それを取得できれば進級できる、というものになります。

このクラス制とは対照的な授業形態をとるのが、単位制。

単位制高校では、必須科目を含む74単位以上を取得し、3年数以上を通えば卒業が可能となります。

科目の履修が学年にとらわれず行うことができ、自分のペースで行えることが大きな特徴です。

先ほど説明した通信制高校で主に導入されている制度ですが、一部の全日制高校でも実施しているところがあるようです。

学校選びで忘れてはいけない事

子どもに合う学校選びを行う際、もちろん資料請求やカウンセリングなどと言ったことも重要です。

ただそれ以上に、実際にオープンキャンパスや体験授業など、学校に実際に足を運ぶことやその学校の雰囲気を実際に体験してみることがとても大切になります。

そういった経験を通じて、子どもは「何が好きなのか」「何がいやなのか」「何がやりたいのか」といった自己理解を深めることもできるようになるのです。

「青年中期」という重要な時期をすごす高校だからこそ、このように本人が学校を直に体験する機会が必要になります。

参照元:teensLITALICO文部科学省

まとめ

高等学校は、発達段階でいうと「青年中期」を子どもたちが過ごす場所となります。

その青年中期の主な特徴は、アイデンティティを確立する時期である、ということ。自分とは何かについて考えるからこそ他人と自分を比較し、そのささいな違いについて思い悩むことが多くなります。

特に様々な特性を抱える発達障害の子供たちは「できないこと」に注目が集まってしまうことが多く、より自己肯定感を低くしてしまい、場合によっては二次障害に発達してしまう恐れもあります。

高校では、そういった状況を防ぐためにも自己肯定感を育める適切な環境にいることがとても重要となります。その中で、どんなタイプの高校が本人に合っているのかオープンキャンパスなどに足を運び、本人の望む進学先にすすめるようサポートしてあげてください。