皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害者でも手厚い支援が受けられる大学」についてです。
発達障害に対して理解が深まりつつある今、発達障害者に対し、手厚い支援を行う大学は増えています。
そこで今回は、大学が行う発達障害者向けのサポートにはどのようなものがあるのかをまとめました。
大学への進路を希望する発達障害の方や、発達障害のお子さんを持つ保護者の方に参考になれば幸いです。
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目次
発達障害に手厚い支援を提供する大学の特徴

発達障害者に対して大学ができる手厚いサポートを理解するためには、障害学生支援について知る必要があります。
2016年(平成28年)に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行されてから、障害者に対する差別の禁止や合理的配慮(サポート)の提供が国立大学では法的義務、私立大学では努力義務となりました。

大学によっては障害学生支援に力を入れていない場合があります。
施行後発覚した新たな課題を含め、以下7点を障害学生支援の方針としています。
- 教育環境の調整
- 初等中等教育段階から大学等への移行(進学)
- 大学等から就労への移行(就職)
- 大学間連携を含む関係機関との連携
- 障害のある学生への支援を行なう人材の養成・配置
- 研修・理解促進
- 情報公開
以上7の障害学生支援の方針を元に支援を続ける大学こそが、発達障害者に対して手厚い支援を行う大学と考えてよいでしょう。
教育環境の調整
「障害者ではこの講義は受けられない」といった差別をなくし、障害を持たない人と同様の機会を障害者でも平等に得られるよう、大学では配慮に力を入れています。
そして学生ひとりひとりが高い教養と専門的能力を得られるよう、障害者だからといって特別扱いは行わず、障害を持たない人と同様に学力や適性を求めます。
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初等中等教育段階から大学等への移行(進学)
高校等で提供されていた支援内容や方法を高校等から円滑に引き継ぎつつ、大学で可能な支援について入学前に確認できるよう積極的に発信します。
例えばオープンキャンパスでは実際に大学構内へ足を運べるため、大学職員から直接支援内容について話を聞けるため、積極的に活用しましょう。
大学等から就労への移行(就職)
障害者の就職には一般採用と、障害者枠を設けた障害者雇用促進に関する諸制度に基づく採用方式があります。
就職が見つかったとしても、障害に対する支援や合理的配慮は継続して必要なため、就職先に一定の配慮を求めなければなりません。
学外の支援は大学だけはカバーできませんので、学外のハローワークや域の労働・福祉機関等就職・定着支援を担当する機関と連携を取れるよう、日々連携を促進しています。

大学間連携を含む関係機関との連携
障害を持つ学生が大学生活を円満に過ごせるよう、他大学の支援担当間で教材やデータを共有することで、量と質の向上を目指します。
障害のある学生への支援を行なう人材の養成・配置
障害のある学生を支援する人材(支援人材)の育成や配置を積極的に行います。
障害者にとって支援のノウハウを持つ専門家は頼りになる存在であり、必要不可欠です。
大学側は支援人材が継続的かつ円満に支援活動が行えるようバックアップを促進します。
研修・理解促進
障害者差別に対する研修や障害を持たない学生に対して障害者に対する理解を促すようさまざまな取り組みを行います。
情報公開
大学のホームページなどで、大学で取り組んでいる障害者へのサポートを積極的に公開します。
障害に囚われず、だれも閲覧しやすい方法が求められます。
発達障害者へ手厚い支援を提供する大学事例

発達障害者への手厚いサポートを提供する大学は多くあります。
すべての事例を紹介するのは難しいため一部をお伝えしますね。
富山大学(国立)
富山大学では発達障害者を支援する目的で「アクセシビリティ・コミュニケーション支援室」が設立されました。
支援内容は主に4つで、①修学支援、②就職活動支援、③家族支援、④同年代の人と会合を開き交流します。
参考元:富山大学における発達障害学生支援~学生支援センターアクセシビリティ・コミュニケーション支援室の取り組み~ | アクセシビリティ・コミュニケーション支援室 | 富山大学学生支援センター
明星大学(私立)
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行以前の2016年、明星大学(めいせいだいがく)は障害者への支援サポート「スタートプログラム」を提供していました。
紹介されたのが、明星大の「スタートプログラム」。発達障害の学生のために独自に開発された支援カリキュラムで、年間30コマ(月3回)、学内や職場のルール、公共マナーなど社会的なスキルを小グループで学ぶ。有料で月2万円。
毎日新聞
そして同時期である2015年以降、明星大学敷地内に「ユニバーサルデザインセンター(UDセンター)」を設け、障害を持つ学生に対して修学支援や自立支援を提供します。
当センターでは支援コーディネータが2名常駐しているので安心して利用できる点が魅力です。
参考元:ユニバーサルデザインセンター(UDセンター) | 明星大学
日本福祉大学(私立)
キャンパスが3つありますが、キャンパスごとに障害者を支援する体制を設けています。
入学受験から入学後、在籍中のサポートが分かりやすく確立しているので安心して通学できる点が魅力です。
障害者への支援だけではなく支援者の育成にも力を注いでおり、支援をサポートするボランティアの大半が同大学内の学生です。
同じ立場同士切磋琢磨しながら学生ライフを送れるでしょう。
参考元:日本福祉大学 学生支援センター
障害学生支援ランキングも参考に
全国障害者支援センターが発表している障害学生支援ランキングも是非ご参照下さい。
一部内容を抜粋してご紹介致します。
障害者支援ランキング(障害のある学生への授業での配慮に関するランキング)は、以下の範囲を考慮して算出しています。
・授業での配慮の方針
・語学授業、体育実技、実験や実習といったさまざまな分野で配慮内容
・障害別の配慮内容などを総合して点数を付ける
1位 広島大学(国立)
2位 京都大学(国立)
3位 愛媛大学(国立)
4位 日本福祉大学(私立)
5位 島根大学(国立)
参考元:大学ランキング2023年度版
また、障害者支援ランキングを掲載している全国障害学生支援センターのHPもご参照下さい。
センターでは入学や進級の際の相談に応じ、大学における障害学生の受け入れ状況に関する調査などを行っています。
大学進学を考えている方、漠然と進路が気になる方へ参考になればと思います。
以下の記事は、大学進学のために塾を検討している方向けのものです。よろしければご覧ください。
発達障害者における大学生活での困りごと

大学側の支援が手厚い点がわかったところで、大学生活において発達障害の特性による困りごとや理由を挙げます。
出席日数が足りない
自宅から学校が遠い、体調不良によって継続した通学が困難、新しい環境に慣れるまでに時間がかかる点に留意して大学選びを行いましょう。
可能であれば学校見学やオープンキャンパスへの参加を検討してください。
カリキュラムなどの手続きができない
昨今はインターネットの普及により、オンライン手続きで完了するパターンはあります。
それでも第三者の作業が絡む場合、手続きの締切日を忘れてしまう、手続きの手順を把握できない、できない時の対処方法(人に尋ねるなど)が分からないなど困りごとは出てくるでしょう。
家族や支援者のサポートを活用し、手続きを忘れないようにしてください。
就職できない
就職に関する情報収集が困難、授業に精いっぱいで将来のことを考える余裕がないなど、就職活動で躓く(つまずく)可能性が高くなります。
支援サポートや学外の支援も活用し、可能な限り希望の職種に就けるよう計画を立てましょう。
友人ができない
対人緊張の高さ、人への興味の薄さなど発達障害の特性により人間関係の構築が難しい場合があります。
支援サポートや先生の協力を経て少しずつ構築していきましょう。
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学生の中には、大学通学後に初めて発達書障害やその傾向があると分かる人もいるくらい、発達障害の理解度は本人も第三者もまちまちです。
よって、大学入学後から特性に対する困りごとに向き合い、対処方法を学ばなくてはならず、根気が必要です。
しかしご安心ください。
現代の大学の多くは手厚いサポートを提供しているので、選んだ大学を信じて学業に集中してくださいね。
発達障害者が大学選びの際注意する点

大学選びの際に注意する点を挙げます。すべての人に当てはまるわけではないので、不要な部分は読み飛ばしてください。
通学しやすさ
自宅から通えるラクな範囲にあるか、またラクな通学手段を使えるかは重要です。
特に発達障害の方は自分の特性に合った乗り物かどうかもポンイトです。
例えば通学中に読書に過集中しすぎて降りる駅を間違えた、なんてことがないよう工夫をしなくてはなりません。
通学途中にケガや転倒しやすい場所を通ったり、人混みに紛れていかなければならかったり、過度のストレスを受けてしまうと学業に専念できなくなってしまうので注意しましょう。
学生寮の利用
自宅ではなく寮や一人暮らしでの通学も選択肢の一つです。
大学によっては寮の内部を公開していたり、寮母さんが事情を聞き配慮していたりと情報提供してくれます。
興味ある分野が学べるか
発達障害者の特性の一つにのある分野に対するこだわりが強い点があります。
興味あることへの勉強ができれば、多少疲れていても通学を継続できるかもしれません。
修学サポートをしてもらえるか
スケジュールが厳しいまたは提出場所にばらつきが多い手続きは、障害を持っていない学生であっても億劫なものです。
高校等と異なりカリキュラムの履修手続きは自分で行わなければなりません。
一人ではこなせない場合に助けてもらえるような体制があるかは重要なポイントです。
通信制の大学も視野に入れる
どうしても入りたい大学があったとしても、障害者支援が満足ではない、または立地や通学の条件が合わない可能性はあります。
通学に難点がある場合は通信制の学部や大学を選ぶのも一つの手段です。
大学に直接お問い合わせを
発達障害に手厚い大学についてはネットで検索できます。
「大学 発達障害 やさしい」「大学 発達障害 手厚い」などで検索すると、障害ある学生への支援や障害学生担当者についての情報が出てきます。
ネットの情報だけではなくオフラインの情報も集めてみましょう。例えば直接大学へ問い合わせることで、ネットに掲載されていない最新の情報を具体的に得られる可能性があります。
以上のことから気になった大学には、可能であれば障害者支援担当の部署へ直接問い合わせをしてみてください。
補足情報
大学入学後に発達障害や発達障害の傾向があると気付いてもらい、診断がつかないまま大学が支援しているケースも多いようです。
近年では小学生の時に発達障害に気付くケースが増えているのですが、大学へ通学してから気付く場合もあります。
だからこそ、より手厚い支援が必要となるのかもしれません。
以下の記事では高校進学に悩みを抱える方に向けて情報発信しています。「大学の前にまずは高校進学を……」とお考えの方は、是非ご覧ください。
大学進学をする発達障害者は増加傾向

果たしてうちの子は大学に行けるのか‥と不安に思う保護者の方は多いと思いますので、ぜひご参考になればと思います。
発達障害の人が大学に進学している割合を毎年統計している「独立行政法人日本学生支援機構」という団体があります。
独立行政法人日本学生支援機構が年度ごとに行う「障害のある学生の修学支援に関する実態調査」は、実態調査を2006年から行っています。
調査方法はあらかじめ用意された質問に大学側が答えて回答を集める物です。
調査の結果、大学に在学している障害者の人数は2006年度(平成18年度)で4,937人であったのに対し、2020年度(令和2年度)においては35,341人と、14年間でおよそ7倍以上増加していることが判明しました。

2016年(平成28年度)に施行した「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」により、2016年以降の増加率が高い数値です。
2020年度(令和2年度)の数値を細かく見ていくと、大学在籍人数35,341人のうち、発達障害者は7,654人であり、全体の約2割を占めています。
参考元:障害のある学生の修学支援に関する実態調査 | 独立行政法人日本学生支援機構 / 令和2年度(2020年度)障害のある学生の修学支援に関する実態調査


まとめ
発達障害の子供さんに優しく手厚い大学は昔に比べ増えています。
調べている中で「小中学校でも大学並みに、手厚い体制があればいいのに」という声が上がっているのが印象的でした。
また、大学に於いてサポートを受けるには発達障害の開示が必要となってくるのでお子さんの人生に大きく関わってくることでもあります。
けっして一人で抱え込まないでください。自身の発達障害のことは希望の大学や地域の発達支援機関などを利用して解決の糸口を見つけてください。

放課後デイサービスアップでも、発達障害のお子さんの悩みの相談に対応しますので、宜しければご参照下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。