皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「発達障害・気持ちの切り替え」についてです。

発達障害の特性により、気持ちの切り替えが上手くいかずに作業や物事を先に進めにくくて困る方がいます。

これは発達障害の特性の一つである、コミュニケーションの不得手や、不注意によるミスによることから生じると考えられます。

“特性によるミス”を理解してもらえないことで家庭や学校などで繰り返し叱られたりする中で自己肯定感が低くなることが一要因となります。

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気持ちの切り替えが上手くいかないと、体もしんどくなりますよね。
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大竹
気持ちの切り替えがスムーズにいくにはどうしたら良いのか、考えていきましょう。

発達障害の特性による生じやすいミス、どんなことが挙げられるでしょう

「一生懸命に努力しても、なかなか上手くいかない。」

「発達障害と分かるまでは自分の努力不足だと思ってがむしゃらに頑張ってきた。」

発達障害の特性は努力だけでは補えないものが多く、そこに大きな悩みを抱きながら大人になる方もいます。

なぜなら発達障害は、脳の一部の機能がうまく働かないことから生じる障害で、本人の努力不足や親御さんの育て方が原因ではないからです。

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青木
発達障害の種類(一部)と特性、生じやすい困りごとを挙げます。

自閉症(ADD)

ADDの特性

・他者との関わりが難しい
・共感性に乏しい
・言葉の遅れがある
・同じ行動に強いこだわりをもつ
・言葉と言葉の行間を察することが苦手 など

困りごと

・字義通りに言葉を理解するので、察することが苦手。状況によっては相手を怒らせたり、本人が感情的になる
・言葉足らずになりがちで、伝えたいことが伝わらず誤解が生じる
・気になったことに集中するあまりに作業が滞る など

アスペルガー障害(AS)

ASの特性

・他者との関わりが難しい
・共感性に乏しい
・“暗黙の了解”が分からない 
・得意なこと、苦手なことの凸凹が激しい など

困りごと

・字義通りに言葉を理解するので、察することが苦手。状況によっては相手を怒らせたり、本人が感情的になってしまう
・思ったままのことを言葉にしてしまう など

注意欠陥多動性障害(ADHD)

ADHDの特性

・注意や集中力に欠ける
・突然、突飛な行動を起こすなど衝動性が高い
・身体エネルギーの使い方が苦手 など

困りごと

・気をつけていてもうっかりミスや忘れ物が多い
・体調管理が苦手
・不注意になることが多くケガや事故を起こしやすい など

学習障害(LD)/限局性学習障害(SLD)

LD・SLDの特性

・一部に学習の困難さが見られる
・読み書きが難しい
・数字の概念が理解できない など

困りごと

・学習に一部、困難があることに気付いてもらえない。“努力不足”と思われる など

当事者の方が述べておられるより現実的な発達障害の特性についても、よろしければご参照ください。

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大竹
発達障害の特性は一つとは限らず、いくつかの特性が重なる方もいます。
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青木
また自分のことながら長年に渡り、特性を捉えられずに辛い思いをする方も多いです。

発達障害があると気持ちの切り替えが難しいのはなぜ?

上記しましたように、発達障害の特性によりご本人が苦しい思いをされることが多いです。

特性以外によるところもあります。それは、最初にお伝えしましたように家族や学校、友人・対人関係に於いて特性への理解を得られないことでの苦しさもあります。

ご本人は十分努力して気を付けているのに、うっかりミスや忘れ物、言葉のチョイスを誤って誤解を招いてしまう‥以下のように、限界を超える位に努力している方が多いのです。

特に、一番身近な家族から理解を得られない場合は精神負担が大きくなりますよね。

日常生活を共にしているからこそ子供のうっかりや癖に気づく、家族だからこそ大人になった時に困らないように注意する。

ただ、その注意のされ方によって子供は「自分は家族に迷惑をかけている」、「自分の努力が足らないのかな」、「なんで分かってくれないの?」というマイナスの考えで埋められいく可能性があります。

その結果、自己肯定感をもてなくなり、大人になってからも過度に自信を持てなかったり、仕事で叱責ではなく指導を受ける場であっても「ダメ出しされた」と不安や怒りを抱いたりします。

その上それらのマイナスの感情をそのままの強さで何日も、感じ続ける方もあります。

発達障害の特性でもある、“一点への集中力の高さ”や“記憶力の高さ”によるところがあります。これは良い所でもあるのですが、失敗し注意や叱責された場面とその時の感情を明確に記憶することで、このような状況に至ると考えます。

また、なぜそのような言い方をされたか、自分の行動を振り返ってみて分析する、俯瞰的にバランス良く捉えることが苦手であることも要因の一つです。

下向きの気持を切り替えるために

誰しもマイナスの気持ちを抱くものです。ただ、マイナス思考はデメリットばかりではなくマイナスの感情があるからこそ、危険を回避し、自分の体を守ることができます。

発達障害の方はそのマイナスの気持ちを切り替えることが困難な為に日常生活を送ることが難しくなり易いです。また、気持ちだけではなく体調を崩す方もいます。

気持ちを切り替える為にできることを挙げます。

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大竹
子供の時に家族ができることを考えてみます。

家族の理解

発達障害やその傾向がある状態とはどんな特性を指すのか?を意識しながら関わりると良いかもしれません。

発達障害の診断を受けておられるお子さんがいらっしゃる方はそのような意識をもたれると思います。

そうでない方で「うちの子、なんでこんなに忘れ物をするのかな?」「前言ったことをなかなか分かってくれないし、行動にを変えようとしない!」ということが気になる方は腹を立てる前に“疑問をもつ”と良いです。

そのような意識をもつことで、怒りや納得のいかなさより先に「忘れ物続いているみたいだけど、何か手伝えることはある?」「困っていることはない?」という言葉かけができるのではないかと考えます。

子供なりに言われたことを意識し、家族の見えないところで努力をひたすら重ねていることが多いのです。

失敗した時に改善する作戦を一緒に考える

失敗したことを反省することも、ある程度は大切です。その上で、次からどのように行動しようかな?、と前向きな話合いができた方が気持ちを切り替え易いです。

お子さんと一緒に考え取り組んでみて、また工夫を重ねる。作戦会議のようにしてワクワクしながら話し合うと、子供さんも取り組みやすいと思います。

失敗した後の行動目標が具体的であれば、沈んだ気持ちをひきずる隙を与えることがありません。

子供の頃の習慣は大人になってから活きます。ですので、気持ちのコントロールを自分の力で行えるということにつながります。

自分の気持ちに気づく

“気持ちの切り替えを行う”ということは、“自分の気持ちに気付くことができる”ということです。

自分自身を客観視できる人は、自分の気持ちや体調がどのような状況に置かれているかを捉えることが上手です。ですので、気分の安定を図ることができ、体調管理がスムーズに運びます。

「何だか、いつもの体調と違うなあ」、「なんかもやもやする」など感じていることを自分の中でセリフとして起こしてみることも手段の一つです。

ですが、お子さんが最初からこの手段を使うことは難しいことが多いと思います。特に発達障害のあるお子さんは、体感をもつことや客観視することが困難です。

気持ちの切り替えをスムーズにし、しんどくならない為に子供の頃から練習をつむことが大切になってきます。

ご家族が子供さんにインタビューする

そこで、ご家族の力が必要です。お子さんの様子がいつもと違うなと思われたら、声をかけてあげて下さい。うまく言葉にできない時は、ご家族がインタビューして下さい。

「モヤモヤするって、お腹?胸の辺り?」、「その感じって、胸がチクチクする感じ?」、「重たい感じ?」など尋ねていきます。

次に気分を表す単語を使っていきましょう。

「くしゅくしゅする感じなら、もしかしたらイラ立っているのかも」、「トンネルを歩いてるみたいな感じ何だね‥不安という名前の気分かな」というように聞かれると良いでしょう。

子供さん自身の中でインタビューする

ご家族を通じてのやりとりに慣れたら、次は自身でインタビューすることで自分の気持ちに気づいていく練習をします。

次に、作戦会議で使った方法を組み合わせて対処行動にもつなげられると、気持ちの切り替えがスムーズに運ぶ可能性が高まります。

“気持ち”よりも“行動すること”に意識が向くからです。

大人になった時にどのように役立つ?

子供の頃に練習した気持ちの切り替え方。大人になってからも、もちろん役立ちます。

社会や家庭に於いて、子供の頃と比べると大人になると想定外の連続で対人関係がより複雑になる為、気持ちが揺れる機会が一層多くなります。

大人になったタイミングで気持ちの切り替えのトレーニングをすることも可能です。しかし仕事や家庭など取り巻く環境に、より多忙となってトレーニングに時間がかかる可能性があります。

発達障害の方はそういった状況に、より敏感に反応し、疲労し混乱し易いのです。

そういった状況に遭遇した時、よりスムーズに気持ちの切り替えを行えた方が自信喪失せず、仕事や用事をこなすことができます。

お子さんに関わるご家族は時に大変な思いをされていると思います。大人になった時にも必ず役立つものとして、気持ちの切り替え方を子供さんと一緒に考え練習する時間をもって頂けたら良いなと思います。

ご家族だけで抱えることが難しい時、頼れる場所があります。

区市町村の発達支援センターや、放課後デイサービスなどの機関や施設です。子供さんの発達に関する不安やご相談など、お気軽にお問い合わせ頂けます。

放課後デイサービス アップでは、お子さんの学校や日常生活でのご相談にも応じておりますので、ぜひHPご参照下さい。

まとめ

発達障害の特性の理解、それを踏まえた気持ちの切り替え方に取り組むこと、いずれもご家族の協力が不可欠です。

大人になってからも役立つ“気持ちの切り替えの方法”が、お子さんの自活に向けての生活全般に於いて役立てて頂けるものとしてこの記事をお役立て頂ければ幸いです。