皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所となることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは、「発達障害当事者会」です。

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青木
発達障害に関する支援のほとんどは子供向けであり、大人の発達障害者への支援は中々見つかりませんね。
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大竹
大人になってから発達障害であると知る人が増えている中、気持ちの面での支えはどうすればいいのでしょうか。

大人になってから発達障害だと知る人の中には、今までの生活を続けることが困難だと感じたり、これからどう生活していけばいいのか悩んで誰にも相談できずにいる人が多くいます。

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青木
大人の発達障害者のために「当事者会」がありますが、どのようなものなのか見ていきましょう。

当事者会って何をするの?

近年、発達障害に関する認識が増えたことにより、生活や職業で困難を感じていた大人たちが、発達障害の診断を受けるようになってきました。

これにより、成人してから発達障害であると知る人が多くなっています。

子どもの発達障害に向けた支援は、療育施設や学校での取り組みにより多いですが、大人の発達障害に向けた支援は、増えてきていてもまだ少ないと言えます。

「発達障害者の当事者同士の活動支援の在り方に関する調査報告書」の内容を見ると、「当事者会」と見られる活動をしているのは平成28年時点で、全国で86施設しかありませんでした。

「当事者会」を『運営は概ね当事者で行われており,ピアサポート
やセルフヘルプをしているグループ』と定義

引用:一般社団法人発達・精神サポートネットワーク「発達障害者の当事者同士の活動支援の在り方に関する調査報告書」

上記の定義にある「ピアサポート」も含め、どのような会なのかを見ていきましょう。

具体的にどのような活動をするの?

先に述べたように、当事者会とは、当事者(発達障害者)が中心になって団体や集会を作り、他の発達障害者たちに向けた様々な支援をしています。

具体的な支援内容は、悩みを聞いてアドバイスをしたり共感したりする相談支援、困っていることを解決するための情報を提供したり、医療機関を紹介したり、就労できるための支援などもしています。

情報を得たり医療機関を紹介してもらったり、就労のための支援は、発達障害者支援センターでも受けられますが、当事者会の一番の特徴は、相談支援でしょう。

ピアサポート

発達障害者が抱える悩みを聞いて、理解してあげて共感したり、解決に向かうように適切なアドバイスをしたりするために、発達障害者によるサポートのことです。

各グループの運営者、もしくは支援の経験があったり研修を受けたりした人をピアサポーターと言い、特にこの方に相談できます。

そして、相談形式もカウンセリングのような1対1でできるところもあれば、カフェやバー、茶会などのようにもっとラフな雰囲気でできるところもあります。

参加するメリット・デメリット

こちらの動画は、発達障害者が実際に当事者会に参加した感想がまとめられています。

見ていただけるとわかりますが、新鮮な気持ちになれたり、他の参加者たちから情報を得られたりできるので、参加する価値はあるでしょう。

しかし、行く前に理解しなければいけないことは、自分とは異なる発達障害を持った方や程度も様々な方が参加することです。この点を理解してから当事者会に参加することをおすすめします。

参加や利用する際の条件はあるの?

定期、不定期に開催される当事者会は、事前申し込みが必要な場合が多いので、事前に各会の確認が必要です。そのような当事者会の場合、発達障害者、その家族、グレーゾーンなどの方が参加できます

診断書が必要な場合はあまりないので、必ずしも発達障害者である必要はありません。生活や仕事において困難を感じていて似たような経験をしている人と交流してみたい人も参加ができます。

発達障害者支援センターのように常設されている団体の場合は、運営時間や相談可能時間が設定されているので、その時間に行くことが可能です。

また、支援センターでは公的な支援の案内もしてくれますが、そのような支援を受けたい場合は、診断書が必要になるので医療機関で診断を受けことになります。

当事者会の必要性

先に述べた背景により、当事者会の必要性はこれからさらに高まっていると言えるでしょう。

しかし、当事者が中心となって運営をしているので、より発達障害者のことを考えられる反面、症状の種類や程度によっては運営が難しくなる可能性もあります。

当事者会の必要性が高まる訳と、当事者会を運営し続けられるために何が必要になっていくのかを見ていきましょう。

当事者会の必要性が高まっていく理由

大人になってから発達障害であると知る人が増えてきているので、公的な支援や就労支援だけではなく、気持ちの面での支援や今後の生活をどのようにすればいいのかのアドバイスなどを求める人が増えていくと想像できるでしょう。

「自分だけがこんなに苦労しているのか」「似たような環境にいる人たちはどのようにしているのか」「共感し合える人たちと知り合ってみたい、交流してみたい」と感じて当事者会を始めた人たちも多くいます。

カフェやバーを開いて発達障害者に向けたサービスをしたり、オフ会のように場所を借りて開催したり、人間関係を築くことが苦手な人に向けたセミナーをしたり、内容や形態の種類はたくさんあり、今後も変化していくでしょう。

そして、上記のように今後のライフスタイルの変化によっても、さらに多くのニーズが出てきます。

当事者会が増えていけば、発達障害者に対する認識や関心、理解が増えていくので、今後発達障害者も生活しやすい環境に近づけていけるかも知れません。

運営を続けていくために必要なこと

運営をしている発達障害者たちの症状によっては、運営するに当たり難しくなることがあります。難しくなった時、支援が必要と考えられる点は以下の通りです。

  • 立ち上げる時に行う手続きや相談
  • 事務や会計、運営自体に関すること
  • 参加者同士の思い違いや誤解がないようにするためのルールや枠組み作り
  • サービス内容やイベント開催の段取り
  • その他運営に関して困ったことが発生する時の相談相手(相談場所)

これらの点を見ると当事者だけで運営する際、誰かの助けが必要になってくる場合があります。その場合、発達障害者支援センターや発達障害に関する知識がある方との協力が必要になってきます。

当事者会の方針や主体性に影響がない程度に、立ち上げ時やその後の事務関係の仕事を行ったり、運営側の当事者の特性を理解した上で助けが必要な分野を補ったりできる人材や機関と連携した方がいいでしょう。

発達障害当事者協会」は、運営側の当事者たちに向けた、人材育成の研修も開催される時があるので、それらの研修に参加することも運営を助けることになるでしょう。

発達障害当事者協会

大人の発達障害者の声を集めたり、理解を深めたりするための活動をしています。
「情報交換会」や「発達障害当事者の支援を考える研究会」などを開催しており、最近「発達障害当事者会人材育成研究会」も始めました。

もし当事者会を立ち上げたいと思った場合、これらのことも考えていかないといけないので、すでに立ち上げている方や発達障害者支援センターにまずは相談してみましょう。

どこで当事者会が開催されているの?

当事者会が開催される場所は、主催者や団体などによって異なりますが、都市部で開催されることが多いです。カフェやバーのように常設してある場合は、営業時間中に行けますが、そうでない場合はどうすればいいのでしょうか。

ここでは、様々な場所で当事者会を開催している団体について紹介します。

発達障害ピアサポート サピア

サピア」は、東京都、埼玉県、神奈川県で活動している大人の発達障害当事者会です。通常は1ヵ月に1~2回程度の開催をしており、スタッフは当事者がボランティアで活動をしています。

主に、雑談や交流を目的とした茶話会を開催しており、参加するだけでなく当事者同士が協力して作り上げていく当事者会にするために、「講師も当事者で行なう勉強会」や当事者が企画したレクリエーションも多数行われてきました。

ボランティアで役割を持ったサピアのスタッフとして挑戦してみたい方は、一度サピア公式のイベントに参加して、相談してみてください。自分の可能性を知る機会になるかも知れません。

あおい発達障害当事者会

「あおい発達障害当事者会」は、調布市と飯田橋で主に活動している団体であり、中高年(原則45歳以上)に向けた発達障害当事者会と、大人の精神疾患及び発達障害者に向けたリカバリーの学校を開催しています。

中高年の世代に向けた茶話会の内容は、普段思っていることや考えていることを自由に話し、他の参加者はその話を聞くことです。

自分の体験談や思いを話して聞いてもらうことで尊重し共感し合い、穏やかな居場所を作ることを大事にしているので、普段会話を続けることが苦手な方でも参加しやすい当事者会になっています。

発達障害当事者グループ グループそのまま

グループそのまま」は、京都や大阪を中心に活動している当事者会です。近況報告やフリートークをする定例会、少人数による交流を目的としたワールドカフェを開催しています。

また、他の当事者会と異なる所は、アクティ部という部活動をしていることです。2~4カ月に1回のペースで、参加者である部員で遊びに行き、社会的行動の経験を体験しています。

上記の活動ではサポートスタッフが協力しており、発達障害者の家族や発達障害支援に興味のある方向けに募集をしています。

先に述べたように、当事者会にはその家族や発達障害に興味や理解のある方の協力が必要になってくるので、今後の当事者会のあり方を考える機会になるでしょう。

まとめ

  • 当事者会は、ピアサポートが中心となる当事者同士で助け合えるために活動する会や団体のことである
  • 大人の発達障害者に向けた支援、当事者会は増えてきているが少ない
  • 当事者会の必要性は高まっていくが、運営を続けていくには、発達障害者の家族や発達障害に理解のある人や機関と連携していかなければいけない
  • まずは当事者会に参加したり、サポートしたりしてみる
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青木
当事者会の内容や今後の必要性を見てきましたが、大人の発達障害者に対する理解を深めていかなければいけませんね。
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大竹
それぞれの当事者会が独立して活動しているので、今後は当事者会同士の協力も必要になってくるでしょう。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。