皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「会話」についてです。

相手が言いたいことを察する、言葉の裏を読む、表情を読む。私たちが日頃幾度も交わす会話には、たくさんの技術が隠れています。その技術は、生まれてから今まで自分から興味をもったり、家族から教わって吸収したもの、そして吸収したものを実際に試すことで体感して得たものでしょう。

発達障害の傾向の一つに「言葉そのままの解釈をする・字義通り受け止める」「表情が読めない・読み間違える」が挙げられます。

こういったことは、発達障害に限られたことではありません。しかし、障害の傾向によって「生きづらさ」を抱えている人は数多くいます。

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青木
今回は、会話の場面を仕事に絞って、発達障害の方とその周りにいる方の会話のポイントをご紹介します。

発達障害による会話への影響

職場で出される仕事の指示が、具体的な内容のものばかりとは限りません。

「黒のボールペンを○本、A4の白のコピー用紙100枚入りを○つを〇〇に取りに行って下さい」という具体的な指示であれば誰もが理解でき行動に移せます。具体的な内容でない指示とはどういったものでしょうか。

下記の例文をご覧下さい。


A.
「今日の会議の議事録、夕方までにいつも部で纏めているみたいに纏めておいてね」

B.
「〇〇会社の〇〇さん、いつもやり取りしている人知っているだろう?」
「その〇〇さんにこの前の件、どう結論出そうとされているか探りの連絡入れておいてもらえない?」


このような内容が挙げられたとします。

あなたこのような指示が出た場合どのように理解し、どのような行動をとりますか?

発達障害を抱えた人は、「具体的な指示」が無いと、「どう対応したら良いのか分からない」場面が少なくありません。

その為、下記の行動を取る可能性もあるでしょう。


A.
自分が認識している会議の議事録を、自分が認識しているまとめ方で、自分にとっての夕方までにまとめたら良いと判断する

B.
「〇〇さんに、この前の結論どのように出そうとされているか、探りを入れるよう指示されお電話しました」とそのままの内容を伝えてしまう


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大竹
発達障害の傾向にある字義通りの解釈をする、察することが苦手なのです。決して悪気があったり、わざと行っているわけではありません。

ASD:自閉症スペクトラム障害

発達障害を抱えた人の中には、コミュニケーションが苦手という人が多くいます。上でも触れた様に、指示された内容から具体的な意図や目的、相手の表情から内容を読み解くことが苦手です。

この障害をASD(自閉症スペクトラム障害、アスペルガー症候群など)と言い、発達障害に分類される代表的な障害のひとつです。

  • 空気を読んだ発言が苦手
  • 相手の目を見て会話することが苦手
  • 状況や立場をわきまえた態度が苦手
  • 強いこだわりを持つことが多い など

ASDを抱えてしまうことで、対人とのコミュニケーションに大きな支障が生じてしまう場面が少なくありません。

POINT

空気を読まない発言などによる失敗は、発達障害に限らず多くあります。コミュニケーションが苦手な人だからといって、必ずASDを抱えているとは限りません。

周囲から見た判断と誤解

発達障害は骨折や怪我とは違い、外傷等「見た目で判断できる基準」がありません。この為、周囲も「発達障害を抱えている人」とは判断できず「変わった人」と誤解してしまう場合が多いのです。

話が噛み合わない人

会話とは言葉と言葉のキャッチボールです。ですが、発達障害の影響により、普段行っているキャッチボールが苦手です。

想像とは違った返事が返ってきたり、内容が異なったります。

一方的に話し続けたりなども多く、キャッチボールをすることが難しい場面もあるのです。

空気を読めない人

仕事面の打ち合わせ以外に限らず、普段のコミュニケーションにおいても苦手部分が多くあります。この為、知らない間に相手を傷つけてしまう言葉を発していることもあるでしょう。

相手の表情から意図を読み解くことが苦手なので、良かれと思って発言した内容が、逆効果になることもあるのです。

さらには、目上の人に対しての話し方ができない場合もあります。

日常的に、注意や指摘を受ける機会が増えてしまうのです。

一緒に仕事し辛い人

ASDを抱えた人の中には「強いこだわり」を持っている人が少なくありません。この「強いこだわり」によって、周囲と噛み合わない場面はあるでしょう。

一例ですが、下記の内容が挙げられます。

  • 場所に強いこだわり
  • 手順に強いこだわり
  • 使う物に強いこだわり

場所にこだわる

誰にでもお気に入りの場所はありますよね。発達障害の影響で、自分の好きなスペースにこだわりがある人は多くいます。その理由のひとつが感覚過敏です。

感覚過敏とは、視覚や聴覚など人間にある五感に、「過剰反応してしまう感覚」がある状態を言います。

例えば、部屋の照明が眩しい。また、物音や話し声が煩く聞こえてしまうなどです。

お気に入りのスペース以外では周囲の環境により集中できず、ストレスを感じてしまう為、場所にこだわる傾向があります。

使う物に対するこだわりも、感覚過敏の影響と言えるでしょう。自分の好きな感触や使い心地の良い物じゃないとストレスを受けてしまう為、文房具や身につける衣服などにもこだわりがあります。

手順にこだわる

発達障害を抱えてしまう影響で、求められている手順が明確に分からないと不安になる傾向があります。

決められた手順を繰り返し行う作業など、簡単なルーティン作業なら一度覚えれば不自由なく対応可能です。この一方、臨機応変な対応が求められる作業には不向きになります。

「緊急でこっちの資料を用意して欲しいんだけど…」とお願いしても、急には対応できない場面は少なくありません。

さらに、自分のルーティン中に割り込まれることに苛立ちを覚え、パニックになる場合もあるでしょう。

結果的に「扱いにくい人だな…」と感じられてしまうのです。

会話やコミュニケーションの工夫

他人との会話によるコミュニケーションは簡単ではありません。発達障害に限らず、ふとした一言が相手を傷つけてしまうことはあります。

しかし、ASDの影響で意識していても失敗してしまうのです。

指示内容を復唱する

仕事面においては、指示内容を的確に判断し、実行することが求められます。

「指示内容が曖昧…」や「意図が分からない…」という場合は、分からないままにせず確認し、復唱することを心がけましょう。

仮に間違って判断していたら「そこは違うよ」と訂正してくれるので、正しく理解することにつながります。

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青木
誤った解釈のまま作業を進めると、二度手間になる場合もありますしね。

具体的な指示を受ける

作業内容によっては、口で説明するよりも実際に行動して説明する方が早い場合もあります。発達障害の影響によって、情報の受け取り方に偏りがある人は多くいます。

  • 目からの情報が優先される視覚優位
  • 耳からの情報が優先される聴覚優位

例えば、視覚優位の人に言葉で説明しても上手く理解してくれない場合があるのです。

この場合、実際にやり方を見せて「視覚から情報を与える」ことで指示内容を一度で理解することも期待できます。

無理に話しかけず、聞き手に

コミュニケーションの場は1対1のみとは限りません。ミーティングなど多人数で行う場面もあるでしょう。

全員の人に意識を向けることは難しいので、話をしている相手の聞き手となり、無理に自分から話しかけることは控えましょう。

また、聴覚過敏の影響で「大人数の場所が苦手」という人もいます。

事情を説明すれば対応できる場面もありますので、相談してみることをおすすめします。

周囲の配慮も大切

発達障害は判断が難しい障害です。本人が自覚ないまま生活しているという場合もあります。

仮に、発達障害を抱えていると分かっているのなら、困っている場面などに声をかけてあげたり、対応方法を教えてあげたりすれば、理解に繋がります。

ただ、障害を抱えた本人からはお礼以外の言葉が返ってくるかもしれません。

ですが、本人にとっては悪気は全く無く、一生懸命に取り組もうとしていることを理解していただきたいのです。

相談できる場所

発達障害を抱えてしまうことで、様々なストレスが負担となります。会話によるトラブルから会社に居づらい…という人も少なくないでしょう。

発達障害を抱えている人を対象にした支援機関があります。

仕事環境の見直し、病院の紹介など、様々な相談に応じてくれますので、活用してみてはいかがでしょうか。

大切なことは、一人で悩まないことです。

POINT

全国展開していますが、各地域によって支援内容が異なる場合があります。

SNSの利用

スマホの普及により、TwitterやInstagramなどSNSでの交流は当たり前の時代になっています。中には自身の障害を告白する人、障害を抱えた人の対応に困っているという人も多くいます。

下記のツイートをご覧下さい。

同じ境遇の仲間を知る、または交流することで悩みの解決に繋がる場合もあるでしょう。

まとめ

今回は職場における発達障害の方との会話について取り上げました。

発達障害の影響により、会話が苦手という人は多くいます。時には相手を傷つけたり、場をわきまえない発言をしてしまう場面もあるでしょう。

発達障害は完治することが出来ない障害の為、その場、その状況に合った態度や発言を学んでいくしかありません。

これには本人の努力は勿論ですが、周囲の配慮も大切となります。

分かりやすい方法や手順で説明し、仕事上の失敗とならない様、明確な意思疎通が大切です。