皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場になることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「子育て 課題」についてです。
目次
子育て環境をとりまく課題
子どもが心身ともに健やかに成長していくために、ひとりひとりが「長期的にどんな未来や社会をつくりたいか」を考え、行動していく必要があります。
1.現代の子どもの育ちについての課題と社会背景
近年の子どもの育ちについては以下の課題と社会背景が指摘されています。
子どもの育ちの課題は?
【子どもの育ちの課題】
- 基本的な生活習慣やあいさつ・マナーなどが身についていない
- 自制心や耐性が少なくなっている
- 他者との関わりが苦手
- 運動能力の低下
社会背景
また、子どもの育ちの背景となる社会においては、国際化、情報化、少子化など経済社会の急激な変化で価値観や生活様式が多様化したことにより、
- コミュニティー意識の低下
- 経済性や効率性の過度の重視
- 大人優先の風潮
といった傾向がみられます。
2.子育てにおける経済面の課題
次に経済面での課題をみていきましょう。
手取り収入の減少
日本はバブルが弾けた頃から賃金があまり上がっておらず、さらに現在は業績が悪化している企業が増えているため、トータルでみると手取り収入が減少している家庭が多いです。
また大手企業と中小企業では賃金に大きな格差があり、中小企業が9割を占める日本では、自分達が思うような子育てができない現状があります。
教育費が高い
- 公立の小中学校でも給食費や教材費がかかる
- 仕事をしていれば学童やアフタースクール等への出費がかさむ
- 大学に入るための塾の費用や学費が高額
など、子育てにおける教育の費用負担に悩む家庭は多いです。
国公立大学でも学費だけで250万円ほどかかります(4年間)。
これは若者の結婚が遅れることや少子化の理由のひとつにもなっているようです。
補助金が15歳までしかない・所得制限がかかる
児童手当は0歳〜15歳までしか支払われません。また、児童手当には所得制限があり、2022年10月からは年収1,200万円以上の世帯に児童手当が給付されなくなります。
参考:【2022年10月児童手当改正】所得制限がかかるのは年収いくらの世帯?(Yahoo!ニュース)
3.保育環境における課題
保育園や託児所の不足で、就労を希望する母親が働けない現状もあるようです。
4.地域社会の機能低下
日本では地域社会のコミュニティとしての機能が大きく低下し、解体に向かっている傾向があるようです。
その結果、
- 子育てが孤独なものになってしまう
- 地域の見守り機能が失われ、子どもを狙った犯罪や子どもの非行の低年齢化が起こりやすくなる
- 外で遊ぶ子供が減ってゲームなど室内遊び中心になる
- 幅広い人間関係を経験する機会が減る
- あいさつやマナーを学ぶ機会が減る
などが課題となっています。
5.仕事第一の風潮
もともと日本には仕事優先の風潮があり、育児を優先したり育児と両立するのが難しい場合があります。会社の子育て支援に関する制度や子どもの預け先についてもまだまだ整備されておらず、選択肢も少ないようです。
▼以下のような声があります。
- 子どもの体調不良時に休みを取りづらい
- 子育てと両立できる働き方ができない
- 仕事と子育ての両立を応援してくれる雰囲気がない
- マミートラックにはまってしまう
出産・子育てにより、単調な業務の担当に変えられてしまうなど、子育てと仕事の両立はできても、出世や昇給は望めなくなること。
6.子どもの遊び場所・遊ぶ時間が少ない
子供がのびのび遊ぶ場所が少ないことも課題になっています。
- 公園があってもボール遊びは禁止だったり、子どもの声がうるさいと苦情がくるなど、自由に遊べる場所が少ない
- 塾や習い事で忙しく遊ぶための時間が少なくなった
発達障害のある子どもの子育てにおける課題
発達障害のある子どもの子育てにおける課題には、上記の内容に加えて以下のようなものがあります。
1.発達障害への理解が課題
発達障害を持つ子どもが快適に生活するためには周囲の理解が大切です。しかし以下のように、正確に理解してもらうのが難しいという課題があります。
- なかなか「先天性」のものであるという理解をされず、自助努力を求められがち
- 個人差が大きいため、理解されづらい
- 特別視されることも多い
照明が眩しい、文字の理解がしづらいなどの特性には我慢や努力を求められてしまうことも。
発達の凹凸は誰にでもありますが、その差が大きいのが「発達障害」です。
当事者にとっては困りごとに対応してもらえるのが大切なのであって、障害を特別視されるのは望んでいないはずです。
▼以下の動画も参考にしてみてください。(発達障がいの理解と相談におけるポイント 神奈川県公式かなチャンTV)
2.インクルーシブな教育や環境の整備が課題
学童や保育園に入れなかったり、退園を迫られるケースもあるようです。
発達障害のある子どもが学びやすい環境は、障害のない子どもにも学びやすい環境です。
障害のあるなしに関わらず、皆が地域の学校で学べたらいいのですが、なかなか実現されない現状があるようです。
包み込む、みんな一緒に、仲間外れにしない、などの意味があります。
3.親の負担の大きさが課題
発達障害は先天性のもので、育て方では変えられません。そのため、親の負担も大きくなりがちです。
また、特別児童扶養手当は発達障害も対象になりますが、認可が下りない場合があるなど、発達障害のある子どもの子育てへの支援制度は十分とはいえません。
重度または中度の障害のために介護を必要とする20歳未満の児童を育てる家庭に支給されます(所得制限があります)。
発達障害も対象になります。
4.自尊感情の低下や二次障害などの問題
発達障害をふまえた教育がなされていないことにより、失敗を繰り返し怒られるなど、自尊感情が下がってしまい、二次障害につながることも。
▼二次障害についてはこちらの記事をご覧ください。
5.学校卒業後の進路
発達障害のある子どもの子育てにおいて、特別支援学校・学級を卒業した後の進路が限られてしまうなど進路の課題もあります。
▼以下の記事も参考にしてみてくださいね。
子育て課題に対する取り組み
現在、子育ての課題に対し、どんな取り組みがなされているのでしょうか?
横浜市の場合
たとえば横浜市では以下の取り組みが行われています。
- 女性の再就職支援
- 子育てりぶいん
横浜市の女性しごと応援デスクでは、女性の再就職の支援を無料で行なっています。
また、横浜市の子育てりぶいんでは、子育て世帯への家賃補助を行なっています(横浜市が認定する賃貸住宅において、最大4万円/月、最長6年)。
▼横浜市の「地域における子育て支援」はこちらをご覧ください。
発達障害のある子どもの子育て相談先は?
発達障害のある子どもの子育て相談先は、
- 保健センター
- 子育て支援センター
- 児童相談センター
- 児童発達支援センター
- 小児神経科
- 児童精神科(自閉スペクトラム障害)
- 言語聴覚士(学習障害)
などがあります。
▼また、放課後等デイサービスもおすすめです。横浜市内で放課後等デイサービスを探される場合は以下の記事を参考にしてみてくださいね。
まとめ
今日の記事のまとめは以下のようになります。
- 現代の子どもの子育てには経済面や環境面での様々な課題がある。
- それらの課題が子育て中の親への過度な負担となっている。
- また、子どもの身体的・精神的な発達にマイナスの影響を与えている場合もある。
- 発達障害のある子どもの子育てには多くの理解や支援が必要である。
- 子育てに対する課題にはいくつかの取り組みがなされていて、それらを活用し、また増やしていく必要がある。
- これらの課題に対し、ひとりひとりが長期的なビジョンを持ち行動していく必要がある。
今日の記事が皆様のお役に立てれば幸いです。お読みいただき、ありがとうございました。