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療育による対応法
アスペルガー症候群を現代の医療で完全に治療することはできません。
しかし、療育を受けることによって、アスペルガー症候群の症状を和らげることができたり、困りごとを軽減することが可能です。
また、子どもの長所を伸ばしていくこともできます。
療育とは、言葉や身体機能に発達の遅れが見られる子どもに対し、生活への不自由をなくすことができるよう、専門的な教育支援プログラムに従いながらトレーニングをすることです。
この療育の目的や分野には様々なばバリエーションがあります。
例えば、人とのコミュニケーションを取るのが苦手な子どもに対しては、絵を描くことによって感情を読み取ったり、話題を作りやすいよう工夫をすることができます。
この際、絵本や図鑑を参考にしてその子の特性を把握したり、子どもが興味を持っている事柄を探したり、集中しやすい物事を確認する作業などが行われます。
成長段階に応じて、簡単な心理テストや適性検査を行い、治療方向の確認、修正を随時行いつつ進めていくのが特徴です。
療育で行われるトレーニングには、具体的に以下のようなものがあります。
TEACCH(ティーチ、Treatment and Education for Autistic and related Communication handicapped Children)
自閉症スペクトラム障害の援助プログラムです。
アメリカ精神医学会のマニュアル「DSM-5」において、アスペルガー症候群は自閉症スペクトラム障害に統合されています。
ABA(エービーエー、Applied Behavior Analysis)
応用行動分析です。
広汎性発達障害に対する療育に限定されず、スポーツ分野でも利用されている方法です。
SST(エスエスティー、ソーシャルスキルトレーニング)
対人関係をうまく行うために社会生活技能を身につけたり、障害の特性を自分自身で理解することで自己管理をするためのトレーニングのことです。
以上のような療法の原理や要素を取り入れながら、視覚的な支援や環境調整、動機付けをしてやる気を上げるための支援など様々なプログラムが行われています。
薬物による治療法
症状を和らげるために、投薬治療が行われることがあります。
統合失調症や強迫性障害などの共存障害の治療で、薬物療法が採択されることもあります。
脳と精神状態を確認しつつ適切に薬が処方されますが、感覚過敏を抑えるための気分安定薬が処方されることもあります。
ただ、薬には副作用がある上、人によって個人差があります。
専門家によると、子供に処方する場合は、より慎重にすべきともされています。
主治医とよく相談をした上で、納得して治療を進めるようにしましょう。
不安に思うこと、懸念点などはなんでも質問をして、適切な用法、用量を守ることが肝心です。
また、薬を利用して子どもを落ち着かせるだけではいけません。
精神状態が安定しているときはスキルトレーニングなどを行い薬だけに頼ることはやめましょう。