不登校とは

不登校とは、病気や怪我、経済的事情以外の理由で子どもが長期的に学校を休み続ける状態のことです。
文部科学省による不登校の定義は以下の通りです。

「連続または断続して年間30日以上欠席し、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景によって、児童生徒が登校しない、したくてもできない状況のことである(病気や経済的な理由によるものは除く)」

不登校状態が継続して十分に支援を受けられない期間が長引くと、学力の停滞や自己肯定感の低下、健康状態悪化など、学習や社会的自立の妨げとなる様々な問題につながることとなります。
ただ、子どもが不登校になる要因には、社会環境や学校環境、家庭環境など様々な要因が影響していることから、無理に子供を再登校させようとすると、却って問題が悪化してしまう恐れがあります。

また、ひとえに不登校問題の解決といえども、元通っていた学校に再登校する以外にも、別の学校に転校すること、フリースクールや通信制高校などに通うことなど、様々な方法があります。
日本が抱える社会問題ともされる不登校問題は、その要因を踏まえた上で適切な対策を行うことが大切です。

不登校生徒数の推移

不登校の子どもの数は2000頃まで上昇の一途をたどり、その後も高水準で推移しています。
平成27年度の不登校の子どもの数と割合は
小学生:2万7581 人(0.42%、228人に1人)
中学校:9万8428 人(2.83%、35人に1人)
高校生:4万9591 人(1.49%、67人に1人)
です。

中でも特に割合の高い中学生の場合、40人クラスに約1人以上不登校児がいる計算になります。

不登校の社会的背景

不登校の背景には、子どもたちの社会性に関する課題が立ちはだかっています。
将来の夢や希望を持てずにいることや自尊感情が低いこと、コミュニケーションをとる上で困難を感じていたり、ストレスへの対処が難しく感じる傾向が原因として指摘されます。

また、社会的背景の影響を受けた保護者側の課題も、見逃してはいけません。
近年では、少子化や核家族化、地域内での人間関係の希薄化などによって、家庭が孤立してしまう状況が多く見受けられます。

孤立した家庭では、保護者の不安も増大となり、育児をする上で自信を失ってしまったり、意図せず過保護・過干渉になってしまうことが多いとも言われます。
また、長期的不況によって生活の余裕がなくなり、保護者が精神的なゆとりを失うことで子どもにもネガティブな影響が生じる傾向にあることも見逃せません。

これらの社会的背景によって、保護者の抱える課題も不登校問題と関係していると考えられます。
また、学校に通わせることが必ずしも正しいわけではないという保護者の価値観の変化も、不登校増加に影響を及ぼしているとされます。

時代の移り変わりとともに不登校児の数が増えているのは、背景にある社会性の変化や価値観の変化が影響を与えているからと言えるでしょう。