皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害ひきこもり」についてです。
発達障害の子どもを育てているお母さんなら「もし、うちの子がひきこもりになったらどうしよう」って1度は頭をよぎった経験があるのではないでしょうか。
「発達障害と引きこもり」の間には深い関係がありそうですね。事実、ひきこもりになる人のうち約3割が発達障害という調査結果もあります。
「そんなこと言われたら、余計不安になるじゃない。どうしたらいいの?」そんなお母さんたちの不安な声が聞こえてきます。
ひきこもりを防ぐことは簡単ではありません。それでも、発達障害の特性を正しく理解して、適切な対応をすれば、ひきこもりになるリスクをぐっと減らせることができるかもしれませんよ。
今回は、ひきこもりを回避するために、役立つ3つのポイントを紹介したいと思います。
目次
発達障害 x 二次障害 = ひきこもり
結論から言うと「発達障害=ひきこもり」というわけではなく、発達障害に二次障害が合併してひきこもりになるケースが多いようです。つまり、ひきこもりを減らすカギは、二次障害をいかにして回避するかにあります。
- 習癖の問題(チック、脱毛癖、爪噛み、貧乏ゆすりなど)
- 不登校、登校拒否
- 種々の心身症、自立神経症
- うつ病、うつ症状
- 反抗挑戦性障害
- 非行
- 校内暴力、いじめ、家庭内暴力 などがあります。
ちょっと見ただけでも、大変そうですよね。ひきこもってしまうのも、仕方ないような気もします。
そして、厄介なことに発達障害を抱える子どもには、これらの二次障害を合併しやすい2つの特性を持っているのです。それでは、その特性をみてみましょう。きっと、二次障害を回避するためのヒントが隠されているはずです。
特性1: ストレスに対する抵抗力が弱い
ストレスを感じない人はいないでしょう。
私の場合を例にしますと、会社の上司から嫌味を言われたり、混雑した電車に乗り合わせたり、車の渋滞に巻き込まれたりなど、イライラしてストレスを感じない日はありません。
それでも、ひどく落ち込んで無気力になったり、体調を崩して寝込んだりすることはありません。
しかし、発達障害を抱える子どもたちは違います。ストレスに対する抵抗力が極端に低いので、ちょっとしたストレスでも、情緒不安定になったり、体調を崩してしまいます。
原因は脳の発達にあると言われていて、発達障害に限らず精神障害全般に見られる特徴でもあります。
特性2: たくさんのストレスに囲まれている
発達障害を抱える子どもたちは、普通の人よりも多くのストレスに囲まれて生活を送っています。
- 発達障害への偏見や誤解(なまけている、努力が足りない、わがまま)
- 人との関係作りが苦手(空気が読めない、相手の気持ちを想像するのが苦手、孤立しやすい)
- 知覚過敏(光、音、匂いに敏感)
- 生活リズムが乱れやすい(睡眠障害、昼夜逆転、偏食)
どうですか。これだけのストレスに囲まれているのにも関わらず、ストレスに対する抵抗力が弱いんです。きっと、子どもたちは神経をすり減らしながら、たくさんのストレスに耐えながら毎日の生活を送っているのではないでしょう。
もし、周囲の人たちがその大変さを理解して、適切に対応してあげなかったとしたらどうなるでしょうか。
きっと「自分はダメな人間なんだ。迷惑ばかりかけている」と劣等感を持ち、自己肯定感が低い子どもになって、やがては二次障害を招いてしまうことになりかねません。
子どもをストレスから守るためにできること
「発達障害 x 二次障害 = ひきこもり」の関係が分かってきたと思います。次は、二次障害を引き起こさないためにお母さんたちができることを考えてみましょう。ポイントは、二次障害の天敵であるストレスから我が子をどう守るかですよね。
出来たことを褒める
発達障害とは脳機能がアンバランスに発達した状態なので、普通の子どものような状態に戻すことはできません。なので、子どもの発達障害をそのまま受け入れることが、ストレスから守るための第一歩となります。
言葉にすると簡単ですが、実際は難しいですよね。その気持ちは私自身も経験からよく分かります。
私の妻は統合失調症を抱えていますが、最初の頃はその事実を受け入れることができず、妻との喧嘩が続き、妻も家で塞ぎ込む日が続きました。
でも、3年くらい経った頃から、少しずつ彼女の病気を受け入れるように努力を始めました。すると、少しずつ妻の症状も安定し始めました。やがて、前向きな気持ちを取り戻し、笑顔が見られる日が多くなりました。
その時、私が実践したのが「出来たことを褒める」です。これは、お母さんたちにもおすすめします。やる事は至ってシンプル。
「〇〇ちゃん。△△△ができたの。すごいね。お母さん、うれしいよ」と言って、とにかく出来たことをほめまくります。そうやって、子どもの自己肯定感を高めます。
子どもは、お母さんに褒めてもらうのが大好きなので、この方法は効果が期待できますよ。ぜひ1度、試してみて下さい。
SPELL
日常生活を送っていると子育ての悩みが尽きることはないとですよね。
毎日が試行錯誤の連続。その都度、子どもへの対応を考えなくてはなりませんよね。まして、発達障害を抱える子どもたちの場合、対応を誤ってストレスをかけ過ぎてしまうと、返って状態を悪化させてしまいかねません。
「もう、どうしていいか分からない。誰かいい方法を教えて」そんなお母さんたちの嘆きが聞こえて来ます。
実は、そんなお母さんたちを助けるために、障害を持つ子どもたちをサポートする時の基本的な対応法がいくつか知られています。今回は、イギリスの自閉症協会が推奨するSPELLを紹介します。
SPELLは自閉症スペクトラム障害のある人への支援で欠かせない5つの原則の頭文字をとったものです。そして、発達障害を抱える子どもたちへのアプローチを考える時にも大変有効です。それでは、一つずつ説明してゆきます。
Structure(構造化): 子どもが理解しやすいように工夫する(例 : 絵や図を用いて説明する。矢印を用いて場所を案内する。色を変えて見やすくする)
Positive(肯定的な関わり): 叱るのではなく褒める。できることに注目する。
Emphasis(共感・理解): 子どもの立場で考える。子どもの世界観や価値観を大切にする。
Low arousal(低刺激): 視覚や音の刺激を少なくした環境。室温や湿度の見直し。匂いがきつくない。人混みを避ける。
Links(連携): 家庭・学校・医療・福祉・その他の地域の支援関係者、関係施設との連携。
いかがですか。子どもの対応に困った時、ぜひSPELLを思い出してみて下さい。子どもたちの視点に立った良いアプローチが見えてくるかもしれません。少なくとも、間違ったアプローチを選ぶことは少なくなりますよ。
まずは生活リズムを守ることから
すでに話したように、発達障害を抱えた子どもたちは生活リズムが乱れがちです。生活リズムが乱れてくると、学校生活に馴染めなくなり不登校やいじめに至るケースもあります。
そこで、毎日の日常生活の見直しから始めてみるのはどうでしょう。生活リズムが整うだけでも、発達障害を抱えた子どもたちのストレスは軽減されます。例えば次のような例が予想できます。
- バランスの摂れた食事を心がける
- 朝ごはんは食べるようにする(脳の発達に影響するみたいです)
- 日中はなるべく運動して、夜はよく眠れるようにする
- ゲームなどに没頭し過ぎないように時間を決める(脳の発達に影響するみたいです)
どうですか。「これだったら、私にも出来そう」と思えるものから始めてみませんか。
相談機関をフル活用
「よーし。早速実践だ」と最初は意気込んでいたものの、やはり一人で続けるのは大変です。なので、相談機関のサポートを最大限にフル活用しましょう。私も専門家たちのサポートを受けながら、日々頑張っていますよ。
ペアレント・トレーニング
発達障害支援センターなどでは、発達障害の特性を理解し、子どもとの良い関わり方を学びながら、楽しく子育てが出来るように支援するプログラムを親向けに行なっています。
これをペアレント・トレーニングと呼びますが、この取り組みには少なくとも3つのメリットがあります。
- 専門家と一緒に学ぶので、自分勝手な自己流になりにくい
- 子どもの成長過程をお母さんたちと一緒に見守り、喜んでくれる。
- 同じ悩みを抱えているお母さんたちと知り合いになれる。
加えて、先ほど紹介したSPELLなども専門家と相談しながら、実践と学びを繰り返すことができます。これだけのメリットがあるのに、活用しないのは勿体無いですよね。ぜひ1度、相談機関に足を運んでみてはいかがでしょうか。
具体的な相談機関
まずは、お住まいの地域にある
- 発達障害支援センター
- ひきこもり地域支援センター
- 児童発達支援センター
- 児童発達支援事業所
などに相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ
ひきこもりは8050問題として取り上げられるように、子どもだけでなくお母さんたちを含めた家族にも関わってくる問題であるため、お母さんたちの関心も高く不安な気持ちにもなりますよね。
それでも、発達障害によるひきこもりは、二次障害の原因になるストレスを少なくすることによって、回避することができるかもしれません。
まずは、専門機関に相談して、一緒に対策を考えてみてはいかがでしょうか。