皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは「発達障害聴覚優位の関係」についてです。

ある事象を判断したり解釈したりする際に、視覚よりも聴覚でインプットする傾向を聴覚優位といい、発達障害者の中には聴覚優位の方が一定数います。

聴覚優位における困りごとやサポート方法が分からない方に向けて、今回は発達障害と聴覚優位の関係性、特徴、サポート方法について解説します。

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青木
聴覚よりも視覚でインプットしやすい傾向を視覚優位といい、視覚優位の方も一定数発達障害者の中にいると聞きますが……?
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大竹
あくまでも優位性の問題であって、発達障害そのものではありません。発達障害者ではなくても、極端な優位性を持つ方はいます。

発達障害と聴覚優位の関係

聴覚優位とは、耳から入ってくる情報処理が得意である一方、文字やなど視覚的な情報処理が苦手である状態のことを指します。

その聴覚優位と対照的であるのが視覚優位で、耳からの情報処理よりも、視覚的な情報処理を得意とします。

ですから何かを伝える場合は、シンプルな口頭での言葉と一緒に絵を見せて説明するのが効果的となります。

発達障害を抱える人の多くは、これら二つのうちのどちらかに分類されると言われ、一般的に視覚優位である人の方が多いとされています。

ライター体験談

正式な診断はしていませんが、筆者の妹は視覚優位であると考えられます。

彼女に何かを伝える場合、言葉ではなく、絵など視覚的な情報を使った方が理解してもらいやすいからです。

参照元:なごみ発達障害者の視覚優位と聴覚優位

視覚優位の参考記事は「発達障害と視覚優位|子供の特性を理解して伝わりやすい子育てを!」です。

聴覚優位と聴覚過敏の違い

聴覚優位と聴覚過敏、どちらも発達障害を抱える子どもに見られる様々な特性ですが、二つの言葉は違う状態です。

聴覚優位聴覚過敏
耳から入ってくる情報処理が得意
文字など視覚的な情報処理が苦手
大抵の人にとって気にならない音に
対し、激しい苦痛を感じる
聴覚優位と聴覚過敏の違い
「聴覚過敏」の例

掃除機の音を聞くだけで、吐き気を催してしまう

耳からの情報処理能力が優れているからといって、聴覚が過剰に敏感かどうかは決まっていません。

聴覚過敏であっても聴覚優位ではない人、逆に聴覚優位であっても聴覚過敏ではない人もいます。

参照元:LITALICO仕事ナビ

聴覚優位の特徴とは

発達障害と聴覚優位の関係を確認できましたね。

次は聴覚優位の具体的な特徴について得意・不得意に分けお伝えします。

得意なこと

聴覚優位である人は、耳からの情報処理が得意です。

【聴覚優位な人の得意なこと一例】

  • 口頭での指示や説明の理解
  • 音楽を聴いていると、その歌詞をすぐに覚えられる
  • 英語や、その他外国語のリスニングやスピーキング

学校では先生による口頭での指示が多いので、聴覚優位な子は視覚優位である子よりも、困る度合いが低いと言われています。

また耳から入る情報処理能力が高いため、複数の指示を一度に、具体的に出すのも良しとされているのです。

一般的に会話など音声でのやり取りの方が記憶に残りやすいため、外国語を学ぶ際は、聴覚を使うリスニングやスピーキングが得意であると言えます。

苦手なこと

聴覚優位であるがゆえに、耳から入る情報の高い処理能力が裏目に出てしまうと「高い聴覚の情報処理能力によるもの」「線優位性によるもの」の2つの苦手が生じます。順番に確認していきましょう。

高い聴覚の情報処理能力によるもの

耳から入る情報を処理するのが長けている聴覚優位は、能力の高さが裏目に出てしまいます

【聴覚優位の苦手なこと】

  • 賑やかな場所での会話
  • 音楽を聴きながら作業

例えば、聴覚優位である子と賑やかなカフェで会話をします。

カフェでは二人の会話以外にも、周りのお客さんの声、お皿を片付ける音、BGMなど、たくさんの音であふれていますよね。

聴覚優位の場合、脳が「この音は必要・不要」の判断が難しく、話し声や雑音を全て等しく処理する可能性があります。

後者の音楽を聴きながら作業が苦手である理由も同様です。音楽に聞き入った結果、作業に集中するのが難しい状況に陥ってしまいます。

どの音が今聞くべきものなのかを判断しづらく、辛い思いをしているかもしれません。

線優位性によるもの

線優位性とは、視覚において色の認知よりも線などの境界線を認知するのが得意です。

聴覚優位である人の視野は、多くの場合線優位であると言われ、線優位であれば色覚が偏り、微妙な濃淡がわからない場合があります。

境界線を認知しやすい反面、境界を決めづらい立体的な空間がすぐに認知できない可能性が出てくるのです。

立体的な空間が把握できないと、以下のようなことが起きます。

【立体的な空間が把握できないとは?】

  • 人の顔を把握する・覚えるのに時間がかかる
  • 奥行が分からないので、遠くにある壁がとても近くに感じる
  • 暗い道の中階段を下りているとき、段差がわからない

そして、聴覚優位への偏りが特に強い場合は、相手の顔や表情を読み取る事の出来ない、相貌失認(そうぼうしつにん)となる可能性もあるようです。

相貌失認(そうぼうしつにん)

脳損傷が起因で引き起こされる症状の一つに失認(しつにん)があります。
失認の中でも相貌失認は、人の顔を覚えられない症状を示します。

参考元:高次脳機能障害って何だろう | 愛知県

参照元:兵庫県立芦屋特別支援学校山の力

以下の動画はYouTuberアルフさんの動画で、彼はADHDとアスペルガー症候群を持っています。

自身の経験と文献を元に視覚優位と聴覚優位について説明していますので、参考にしてみてください。

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青木
聴覚優位の子どもに向けて、どのようなサポートが必要であるかを見ていきましょう。

聴覚優位の子どもに向けたサポート

聴覚優位である子どもに対して、どのようなサポートが求められているのでしょうか?苦手なシチュエーション別に説明していきます。

静かな環境を用意

何か集中しなければならない場合、音で思考が邪魔されないように静かな環境を用意しましょう。

もし静かな環境が用意できなかった場合は、耳栓や防音用のイヤーマフ装着も候補に入れます。

どんな音も感知してしまうため、BGMは流さない方が集中できます。

ライター体験談

正式な診断はしていませんが、筆者は聴覚優位だと思います。ラジオや音楽を聴きながらの作業が苦手であるためです。
自分の耳がまるで集音器のごとく周りの音をかき集めてくるため、次第に頭痛や吐き気がしてきます。
よってカフェでの勉強も苦手で、どうしても人の声や食器の音が聞こえて仕方がありません。

顔写真を用意

発達障害に限らず「名前と顔が一致しない」という状況はよくあります。

名前と顔が一致しない場合の対策として、覚えたい人の顔写真と名前をセットに1セットにして用意しましょう。

覚えたい人と名前を持って写真撮影すると一石二鳥ですね。

定期的に写真を見返して名前を声に出すと、顔も名前も徐々に覚えやすくなります。

話しかける時は、相手の目を見る

話す時は、目と目をしっかり合わせて「自分に話しかけているんだ」と認識してもらいましょう。

自分が誰に話しかけているのかを意識すれば、どの音が今の自分にとって必要なのかが、分かりやすくなるからです。

複数の音が同時に耳に入っている場合、聴覚優位の子供は、耳から入る情報の処理能力が優れているがために、聞こえてくる音を全て同等に処理しているかもしれません。

学習について

聴覚優位の子供は、音で聴く内容の情報処理が長けているので、教科書など学習に必要なものは黙読ではなく音読をおすすめです。

何かを記憶する場合、聴覚優位であれば語呂合わせやリズムに乗ってみると、より効果が出やすいと言われています。

最近は文字をスキャンし、読み上げ可能なアプリがあります。

勉強時間を決める場合は、時計を見て「○○時まで」とするのではなく、タイマーなど音で終了時間を知らせてくれるものが良いでしょう。

お持ちのスマートフォンや携帯電話にあらかじめ同梱されているタイマーアプリでもいいですし、手元にタイマーを置いておくのも効果があります。

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青木
聴覚優位は、発達障害における様々な特性のうちの一つです。
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大竹
そして、その偏りは人それぞれ。本人に合ったサポートを模索し、実践していきましょう。

参照元:発達障害者の視覚優位と聴覚優位兵庫県立芦屋特別支援学校

聴覚優位に関する本

「不思議の国のアリス」の著者、ルイス・キャロルが聴覚優位だったことはご存知ですか?

聴覚優位の他にも、視覚優位など様々な認知様式を扱った書籍の一つに天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル /講談社/岡南があります。

ギフテッドとは、発達に偏りがあるが天才的な才能を持つ人たち。

聴覚優位型の障害について触れられている本に「ギフテッド」天才の育て方 /学研教育出版/杉山登志郎があります。

書籍は知識を網羅できますので、知識を得たい方だけでなく、より理解を深めたい方にもおすすめします。

放課後デイサービスという選択も

近年、発達障害を抱える子どもを対象としたデイサービスが増えています。

神奈川県横浜市にあるアップも、そんなサービスを提供する施設のうちの一つです。

ここでは、個々の特性に合った運動や学習療育を手掛けています。学校やその他生活での不安などがある場合など、ぜひお気軽にお問合せください。

まとめ

今回は聴覚優位について説明してきました。

聴覚優位を抱える発達障害の子どもは視覚優位である子の人数と比べると少なく、発達障害支援サポートの内容が視覚優位である子に偏りやすいのが現状です。

もし子供が聴覚優位であるにもかかわらず視覚優位に対するサポートである場合は、サポート内容見直しをおすすめします。

正しいサポートにより聴覚優位の得意を活かし、より過ごしやすい生活を送りましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。