皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは「発達障害 脳」についてです。

元々発達障害は中枢神経系と言われる、いわゆるの発達異常が原因だと言われていました。

しかし具体的にどこが機能低下しているのか、原因病巣はどこなのか、まだ分かっていないことも多いです。

今回は、現在分かっていることについて、発達障害の脳の機能について解説しました。

発達障害の人の脳の中はどんな風?自覚的にはこんな感じ!

発達障害の方の頭の中は定型発達の人とは思考パターンや感情が異なることが多いです。ADHDとASD別に見ていきましょう。

ADHDの場合

会話している時や話を聞いている時に集中できない

何か会話をしていても、何かのキーワードが気になって注意が自分の思考にトリップしてしまいます。

それで気づいたときには「何の話だったっけ?」と分からなくなっています。

優先順位がつけられない

やるべきことがあっても、ゲームや動画などが頭にちらつくと「ちょっと見てみようかな」と手を出し始めて、帰って来られなくなります。

またインターネットで調べものをしようとしても、広告などが気になってアマゾンなどのページに飛び、最後には全然違う商品を買っている、とかはよくある症状です。

周囲が見えないくらい過集中になる

何か興味を持つと食事も忘れるくらい集中します。興味のおもむくまま次々と作業が進み、注意が周囲に全く向かわなくなるためです。

これは悪い面でもありますが、過集中することで素晴らしい才能を発揮できるため、こういった要素を生かしていきたいですね。

以下の動画にて、ADHDの人の頭の中について解説しています。是非ご覧ください。

ASDの場合

周囲の言葉が通じない、ジェスチャーも通じない、意思疎通が全くできない環境に放り込まれる感じと似ているみたいです。

アフリカの原住民の集落に放り込まれたと想像すると良いみたいです。

以下の動画にて、ASDの人の頭の中について解説しています。是非ご覧ください。

疲労が強い

ADHDでは思考が飛び飛びになったり、過集中になったりするのでとにかく何かやろうとすると疲れやすくなります。

ASDの場合も、周囲が何もわからない状態になるので強いストレス状態に置かれるので、通常より疲れを感じている人が多いです。

MRIや研究から分かっていることと脳画像による診断

発達障害の画像診断について

発達障害の診断基準の中では、行動の特徴と日常生活に支障をきたしている度合いが診断の核となります。

現在ではMRIなどの画像診断は他の障害がないか除外診断をする意味合いが強いみたいですね。

発達障害の脳では神経細胞レベルで何が起こっているか

神経回路

研究レベルでは、恐らく脳の特定の場所と場所を繋ぐ神経回路の異常が原因だと言われています。

白質(はくしつ)と灰白質(かいはくしつ)

人間の脳は外から見ると白いところと灰色のところがあります。

白いところが白質、灰色のところが灰白質と名付けられているのですが、この白質にあたる部分が神経回路であり、灰色のところが脳の機能を司る場所となります。

発達障害では大脳白質が萎縮していることが指摘されています。

治療では脳内の神経伝達物質を強化するような薬を出されることが多いですが、これは神経回路を活性化しているようですね。

発達障害で関連する脳の部位とその役割まとめ

以下に現在分かっている範囲で、ADHDとASDで機能低下がみられる部位をまとめました。ちなみに、研究報告者によって部位もまちまちなので、代表的なものを載せています。

脳の機能低下部位 役割
ADHD 前頭前野、尾状核 ワーキングメモリ
海馬 ワーキングメモリ
眼窩前頭皮質 意思決定、衝動性(実行のブレーキ)
ASD 下前頭回、上側頭回 ミラーニューロン(人のマネをする)
偏桃体 表情認知
内側前頭前野 他人の気持ちを思いやる
小脳 運動や認知の調節

こうしてみると、ADHDではワーキングメモリ機能が低く覚えていられなかったり、意思決定や衝動性に問題があって次々と思考が飛んでいたり、症状と一致しますね。

ASDにおいても人の表情で感情がわからなかったり、人の気持ちがわからなかったりしているわけです。

まだ研究レベル

現段階ではMRIなどの画像による発達障害の診断はできません。

それは人によって機能低下している脳の部位が違ったり、活動レベルも違ったりするためです。

現在は行動の特徴から発達障害を診断していますが、こういった脳の特徴が明らかになっていけば、画像診断による客観的な診断が可能になる日も近いかもしれません。

脳に異常が生じる原因は遺伝子背景と環境要因

発達が阻害された神経回路の場所によって自閉症やADHDとなる

発達障害における脳の異常について、環境脳神経科学情報センター代表の黒田洋一郎は以下のように説明しています。

発達障害の症状は多様で、重いものや軽いものがあり2つ以上の症状を重ねてもつことも多い。~中略~ それは特定の行動に対応する特定の神経回路が、脳内で正常に発達できなかったからで異常の起こった神経回路(シナプス)形成の種類と数によって、自閉症、ADHDなど症状が違ったり、重なったりすると考えられる。

引用先:発達障害など子どもの脳発達の異常の増加と多様性

つまり、何らかの原因で神経回路の発達が阻害されるのですが、その場所によって自閉症の症状が出現したり、ADHDの症状が出現したりする可能性があるということです。

遺伝要因が背景にあり環境がトリガーとなる

神経の発達が阻害される原因

また上記の文献の中で、神経回路の正常な発達の阻害が生じる原因として、下記のように説明しています。

自閉症関連遺伝子群が大なり小なり、自閉症の“なりやすさ”を決める遺伝子背景となり、これに多様な環境因子が関わり、自閉症などの発達障害を起こすと考えられる。

引用的:発達障害など子どもの脳発達の異常の増加と多様性

つまり、遺伝要因により発達障害の「なりやすさ」が規定され、環境により「後押しされる」ということのようです。

環境要因

現在分かっているのは、農薬の影響と大気汚染の影響があるだろうということです。

農薬に関しては、日本は他国に比べ農薬の使用量が多く、さらに安全基準も神経への害を考慮したものになっていません。

アメリカでは農薬暴露による発達障害などの健康被害が啓蒙され、農薬の使用対して敏感になっています。

アメリカを含む先進国と比較し日本は少し意識が低いので、今後こういった分野の研究が進んでいくと良いですね。

まとめ

  • 発達障害の脳の中は定型発達とは違う思考パターンや特徴がある
  • 脳の細胞レベルでは神経回路を司る大脳白質の萎縮がみられる
  • 発達障害の疾患ごとに脳の中で機能低下している部位がある
  • 遺伝的になりやすさが規定され、農薬暴露などの環境によって後押しされている可能性がある

いかがでしたでしょうか。最後まで読んでいただいてありがとうございました。