皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場になることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「食事でよくなる子供の発達障害」についてです。
現代には色々な病気に対する食事療法の本が存在します。発達障害も例外ではありません。
毎日三食とる食事が人間の身体に与える影響は大きなものです。それを意識することは大事ですが、間違った認識をしてしまうと逆に状況を悪化させてしまうこともあります。
今回は、発達障害の食事療法についてどのようなことに気を付けた方が良いのかを考えていきます。
目次
食事で発達障害が改善される可能性がある
食事で発達障害は治る!ということは断言できませんが、日々の食事を意識することで、発達障害の症状を改善できる可能性はあります。
バランスの取れた食事で体調が良くなる
発達障害を持つ子供は、食へのこだわりが強かったり、好き嫌いが激しかったりすることが多く、偏った食生活になりがちです。
偏食が続くと栄養バランスが崩れて、体調が悪くなります。
体調が悪くなってしまうと集中力が落ちてしまったり、機嫌が悪くなってしまうなど、発達障害の症状も強く出てしまいます。
栄養のバランスを考えて食事を工夫してみることで症状を抑えることが期待できます。
子供が特定の物を食べてくれない場合には、細かくして分からないようにする、いつものメニューに少しだけ加える、匂いや味つけを好みのものに変えてあげるなどの対処法があります。
詳しい解説や対処法はこちらを参考にしてみて下さい。
鉄分不足、たんぱく質不足が発達障害の原因!?
発達障害の食事療法の本としてこちらの本が話題になっています。
商品概要 | ADHDの息子を食事で改善させた料理家が、どんな食事療法を行ったのかが紹介されています。 |
価格 | 1,430円 (Amazon 2021/9/7時点) |
特徴 | 発達障害の基礎知識から摂るべき栄養や避けるべきものの説明までされています。すぐに実践できるようレシピやこの食事による改善例も紹介されています。 |
レビュー | ・実践された方の体験と精神科医による解説がバランスよく載っている良書。 ・ストイック過ぎず長く継続できるようにフォローされている文面に、発達障害と向き合う親の覚悟を感じる。 ・うちの子は成人しているが発達障害がある。1歳の頃からたんぱく質も鉄も食べてきた。どう説明したら良いのか。 |
この本では、以下のことを心掛けるよう紹介されています。
- 動物性たんぱく質を積極的にとる
- 鉄分を十分にとる
- 良質な脂質をとる
- 糖質を控える
- 牛乳を飲みすぎない
- インスタント食品や食品添加物を控える
参考 マキノ出版(2019/2/16)「食事でよくなる!子供の発達障害」目次より
これらを実践することによって子供の隠れ貧血が改善され、発達障害の症状が良くなるとされています。
改善例や医師の解説も載っていて親としては頼もしい内容になっています。
しかし、気を付けるべきこともあります。
発達障害の原因はまだ明らかではない
こちらの本のタイトルには、「隠れ貧血」が発達障害の原因だった!と書かれていますが、これは定かではありません。
発達障害の原因については研究が行われていますが、詳しいメカニズムは分かっていません。現在では、先天的な脳機能に要因があるとする説が有力です。
隠れ貧血を原因だと信じて食事だけで治そうとするのは、食事を作る親にも食べる子供にも負担となってしまいます。
「隠れ貧血を改善すれば、少しは症状が良くなるかもしれない」くらいの気持ちの方が良いです。
インパクトを出すために誇張表現が多いです。興味を持つきっかけにするのは良いですが、中身を見る前に信じすぎないよう気をつけましょう。
意識しすぎると凄い負担になる
こちらの本で紹介されていることを実践するのはかなり大変です。
完璧に行うというより頭の片隅に置いておいて、余裕を持って行うことが重要です。
糖質を減らし、たんぱく質・脂質を増やすと一番問題になるのは食費です。基本的にたんぱく質・脂質は糖質よりも高いです。
インスタント食品も忙しい時に重宝しますよね。たんぱく質や脂質は調理が必要なものが多いので、インスタント禁止、たんぱく質・脂質多めの食事を作るのは一苦労です。
食事療法を実践することによって、経済的に厳しくなったり、食事の準備に追われたりして不安やイライラを感じてしまうと、子供もそれを感じ取ってしまうことがあります。
親子関係の悪化は発達障害の改善にとっても悪影響を及ぼします。無理のない範囲でやりましょう。
また、ストイックに行おうとして、子供にあれはダメ!これもダメ!と言い続けると、かなりのストレスになります。
学校の給食、友達とお菓子を食べるといった子供にとって楽しみな時間を奪うことにもなります。
子供の負担にならないように普段の食事でさりげなく意識することが大切です。
食事は子供とのコミュニケーションの場
食事の中身について見てきましたが、食事は親子のコミュニケーションをとる場でもあります。
親子間のコミュニケーションも発達障害を改善させることが期待できます。
コミュニケーションの重要性ついてはこちらの記事をご覧ください。
その日あったことを聞いてあげる
食事の場を通して、子供のその日あったことを聞くことができます。
普段子供と話す機会が少ない方もそうでない方も、子供の話をしっかり聞いて、何を考えているのか、家の外ではどんなことをしているのかを知ってみましょう。
発達障害の子供の中には言いたいことがあるのに外ではうまく話せなくて、心の中にしまい込んでしまう子や話に一貫性がなく誰にも聞いてもらえない子がいます。
目を合わせて相槌を打ってを聞いてあげることで、子供は親に対し「ちゃんと話を聞いてくれている」と感じるでしょう。
普段の食事の時から話を聞いてあげる時間を作ることで、子供が外で何か嫌なことがあったときや困ったことがあった時に相談しやすくなります。
共通の話題で感情を共有する
食事の場では、親と子が同じものを囲むので、感情を共有しやすいです。
感情を表に出すのが苦手な子や何を考えているのかわかりにくい子とも、食という共通のものを通じて、コミュニケーションをとれます。
「美味しいね」「これはちょっと辛いかな?」「これはこうして作ったんだよ」など
味の感想や料理の工程を話してみると、子供が食に興味を持ったり、手伝いをしてくれるようになったりするかもしれません。
また、テレビなどの同じものを見聞きする中で、感想を言い合うことで感情を共有することができます。
話すのが苦手な子の感情表現の練習にもなります。子供が考えていることを聞き出してみましょう。
うまく話せなくても最後まで聞いてあげてリアクションをとることで、コミュニケーションが成立していきます。
親の感情も共有することで、子供が他の人の気持ちを考えるようになるきっかけになります。
食事を通した会話によって、子供の苦手なものや特性について新しい発見があるかもしれません。
食事以外にもよくなる方法はある
親子間のコミュニケーションのように食事療法以外にも発達障害を改善する方法はあります。
食事だけで治そうとするのではなく、様々な方法でアプローチしてみましょう。
放課後等デイサービスで学習や運動に取り組む
放課後デイサービスでは学習や運動などを行い、子供の発達をサポートしています。
場所により行っている療育は違いますが、一人一人の目標に合わせて指導や訓練を行っていくので、子供の能力を伸ばし、社会に出るために必要なことを学ぶことができます。
アップでは運動・学習に加えてプログラミングの学習も行っています。
お医者さんに相談する
病院に行って、医者の診察を受けることも大切です。
専門的な知識を持ち、何人もの発達障害の子供を見てきているお医者さんは、適切なアドバイスをくれるはずです。
どんな生活を心掛ければよいか、困ったことがあったら相談してみましょう。
また、発達障害の治療として薬も処方してくれます。
薬に抵抗がある方もいるかもしれませんが、適切な量を服用すれば、過剰になっている神経を鎮めて症状を改善することができます。
こちらの動画では、薬の種類ごとに効果や副作用などが紹介されています。
まとめ
今回は、発達障害の食事療法について気を付けていきたい事を紹介しました。
ポイントは以下の通りです。
- 栄養バランスを整えることは、発達障害の有無に関係なく、快適な生活に繋がる。
- 鉄分不足、タンパク不足を改善することによって、発達障害がよくなる可能性もあるが、ストイックにやると親と子のどちらにもストレスになり逆効果になる。
- 食事を意識するのは良い事だが、余裕を持ってできる範囲で実践する。
- 食事の場はコミュニケーションをとる絶好の機会なので、色んな話をする。
- 食事以外にも学習、運動、医者の指導の下の薬物治療など、改善する可能性のある方法はある。
食事で治る!という情報を聞くと、「治るかもしれない」という希望を持つことができますが、「今までの食事が悪かったのか」という後悔や自己嫌悪に陥ってしまうこともあります。
原因について考えていると、「親のせいで発達障害になってしまったのではないか」など、自分に責任を感じてしまうかもしれません。
しかし、発達障害は親のせいでも子供のせいでもありません。
インパクトのある言葉に囚われることなく、冷静に情報を得ていきたいですね。
このサイトでは、今後も発達障害に関する情報を発信していきますので、ぜひ参考にしてみて下さい。