皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場になることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「発達障害 爪噛み」についてです。
爪噛み等の癖はどんな子どもにも見られますが、発達障害の影響が大きいと成長しても治まらなかったり、日常生活に支障が出たりすることが多いです。
今回は、発達障害があって爪噛みがひどい場合、どのようなことに気を付けて対処していけば良いか考えていきましょう。
目次
発達障害のある子の爪噛みの原因
ストレスが原因?
爪を噛んでしまう行為は、ストレスに影響されているものがほとんどです。発達障害でなくても、ストレスを感じるとやってしまうという方もいます。
発達障害のある子の場合は、対人関係がうまくいかなかったり、周りからの刺激に過剰に反応してしまったりしてストレスを感じやすいです。そのため爪噛みの回数が多くなってしまうと考えられます。
発達障害の子の日常生活でのストレスについてはこちらの記事を参考にしてみて下さい。
チック障害
チックは、急に出現する運動や音声が、繰り返し、不随意に出現する疾患で、比較的よく見られる疾患です。注意欠陥・多動性障害(ADHD)、強迫性障害に合併することが知られており、ストレスや疲労などで症状が出やすくなることがあります。
参考 【NCNP病院】 国立精神・神経医療研究センター
チックは10~20%の子供に見られ数か月で消える一過性のものと、1年以上続く慢性のものがあります。慢性チックは発達障害と併発しやすいです。3歳~6歳頃の男児に多いとされています。
運動チックと音声チックがあり、それぞれに単純性と複雑性があります。
運動チック | 音声チック | |
単純 | 単純運動チック ・まばたき ・顔をしかめる ・首をかしげる ・肩をすくめる など | 単純音声チック ・「ん」と声を出す ・鼻を鳴らす ・咳払い など |
複雑 | 複雑運動チック ・蹴る動作、 ・ジャンプする ・倒れ込む ・叩く など | 複雑音声チック (10歳過ぎ頃から出現する) ・他の人の言葉を繰り返す(反響言語) ・その場にふさわしくないことを言う(汚言症) ・同じ言葉を繰り返す(反復言語) など |
チックに関してさらに情報が欲しい方はこちらの記事を参考にしてみて下さい。
チックの原因は脳の働きが大きく関係していると考えられていますが、詳しい原因は分かっていません。脳の体質、性格、環境、発達などの様々な複合的要因があると考えられています。
止めさせるべき理由
細菌が入り込みやすくなる
爪を噛む時は手をそのまま口の中に入れます。手には多くの菌やウイルスが潜んでいるので、感染しやすくなってしまいます。特に砂場で遊んでいる最中は大変危険です。
また、継続的に行っていると、深爪や傷ができやすくなります。そこに雑菌が入り込むと膿や腫れが生じてしまいます。癖が治らないうちは、こまめに手洗いをして清潔に保つようにしましょう。
歯並びなどの口内環境が悪化する
硬い爪を前歯で噛み切るため出っ歯になったり、それを受ける下顎が前に出て受け口になったりする恐れがあります。毎回同じ歯で行う場合には、力の掛かり方が不均一になりかみ合わせが悪くなり、歯並びが乱れてしまいます。
爪との摩擦で歯が削れることや爪によって歯茎を傷つけることもあります。歯並び等の口内環境の矯正にはお金と時間が掛かるので注意が必要です。
無理に止めさせると起こること
爪噛みした時に怒鳴ったり、強制的に止めさせようとしたりすると、別の問題につながってしまうんだ。
別の癖が現れる
爪を噛むという行為がストレスに対応するための身体の反応であることがあります。ストレスで脳が緊張状態になった時に、これらの行動を起こすことで脳の緊張を和らげているという考えもあります。
そのため、無理やり止めさせても、髪の毛いじりやゆびしゃぶり、性器いじりなどの別の癖が現れる可能性が高いです。変わる度に注意をし続けても、繰り返してしまうでしょう。
もっと深刻な事態になる可能性
発達障害のある子の場合は、ストレスが溜まると情緒障害を引き起こすことがあります。
情緒障害とは、状況に合わない感情・気分が持続し、不適切な行動が引き起こされ、それらを自分の意志ではコントロールできないことが継続し、学校生活や社会生活に適応できなくなる状態をいいます。
引用 文部科学省HP
情緒障害は大きく以下の3つに分類されます。
- 緘黙、不登校、孤立などの非社会的行動
- 反抗や盗みなどの反社会的行動
- チックや夜尿、偏食などの神経的習癖
参考 【宮城県HP】子供を理解するためのキーワード「発達障害」
発達障害のある子の場合は、ストレスの矛先を自分に向けた時に爪噛みを含めた自傷行為を行い、他者に向けた時は破壊や暴力を行う傾向があります。
度重なる注意や自己嫌悪によって情緒障害を引き起こしたり、情緒障害の症状である爪噛みを無理に抑えたりすると、爪噛みなどの癖から非社会的・反社会的行動に繋がってしまいます。
爪噛みへの対処法
自然と治ることもある
子供がまだ小さい場合は、ゆびしゃぶりの延長としてただの癖になっていることもあります。この場合は直接注意するのではなく、手遊びなどの手先を使った動きに誘導することで自然と治ります。
爪噛み対策用のマニキュアもあります。他に発達障害を疑うような症状や気になる点がない場合は試してみても良いと思います。
商品概要 | 苦味成分の入ったマニキュアで、 子供の爪に塗ることで爪噛みを防ぎます。 |
価格 | 2,340円(税込) Yahoo!ショッピング 2021年10月18日時点 |
特徴 | 苦味成分は植物由来の物です。 除光液を使わず、除菌シートなどでサッと拭き取れます。 |
レビュー | ・試しに買って使って見たら1週間ほどでやめれるようになりました! (小学1年生の母) ・一日目でパタッと口に手を入れることがなくなりました。 相当まずかったみたいです。 爪に塗る行為が嬉しいのか朝になると率先して持ってきます。 (3歳女児の母) |
ストレスの元を断つ
ストレスが引き金になっている場合は、その原因を取り除く必要があります。どのような時に症状が出やすいか観察してみましょう。対人関係や精神的な不安から来るものは、スクールカウンセラーや心療内科で相談、治療が有効です。
爪噛みに対して自分がどう思っているのか、どうしたいのか子供の考えを聞くことも大切です。どうしたらやらなくなるのか親子で一緒に考えていくのも良いでしょう。
感覚過敏が原因の環境によるストレスの場合は、外部からの刺激を抑える工夫が有効です。感覚過敏があると下の動画のように、日常生活で大きな負担がかかります。
視覚過敏の場合はサングラス、聴覚過敏の場合はイヤーマフなど、症状に合わせた対応が必要になってきます。
視覚過敏について詳しく知りたい方はこちら
聴覚過敏に詳しく知りたい方はこちら
病院で診断をもらう
病院で診断をもらえると専門家によるカウンセリングや抗うつ薬などの薬を処方してもらえます。ADHDの治療薬で回数が減ることもあります。また、診断があることで学校や園での配慮をお願いしやすくなります。
しかし、「たかが爪噛みで病院へいくなんて」という偏見などが理由で定期的な通院に繋がらないケースが多いようです。
1年以上続いている場合は慢性化してしまっていますので、病院での治療をオススメします。すでに発達障害で通院している場合は主治医に相談してみましょう。
まとめ
今回は爪噛みの対処法について学んでいきました。ポイントは以下の通りです。
- 爪噛みはチックと呼ばれる症状の一つであることがある。
- 爪噛みやチックの原因は詳しくは分かっていないが、ストレスが引き金になっていることが多く、発達障害のある子はストレスを抱えやすい。
- 無理やり止めさせると、非社会的・反社会的行動に繋がってしまう可能性がある。
- 引き金となっているストレスを軽減する方法を模索することが大切。場合によっては病院でカウンセリング、薬物治療を行うことが有効。
子供の場合は癖なのか、ストレスから来る症状なのか分かりにくいですよね。子供に変な癖があるとついつい叱ってしまいがちですが、生活に支障がない場合は優しく見守ることも必要かもしれませんね。