今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所となることを願って投稿させて頂きます。 今日のトピックは「発達障害・適職」についてです。

発達障害やその傾向があるお子さんがいる親御さんの心配なこととして挙げられることは“将来仕事に就き自立できるかどうか”だと思います。

答えを先にお伝えしますと“援助が必要な時はそれをカバーすることができれば自立できる”だと思います。

子供の頃から発達障害やその傾向があると分かっている場合は、早期にその子の特性を伸ばし不得意をカバーする方法を探ることができます。結果、スムーズな社会生活を送ることができる可能性が高くなります。

avatar
青木
発達障害の有無に関わらず、一度就いた仕事をずっと続ける人ってどれ位いるのかな?
avatar
大竹
やりたいことをする為、自分に合った職場に移る為に、転職する人はたくさんいるよ
avatar
青木
転職する時にはエネルギーがいると聞くけれど、発達障害のある人が転職する時はもっと大変なのかな?

今回は発達障害の子供さんの将来を考える上で“転職”に焦点を当てて考えいきます。

発達障害の方の転職のきっかけを考えてましょう

一般的によく聞く理由は、キャリアアップの為、対人関係や労働条件の良いところに転職したい、自分の行いたい仕事を行う為などです。

実際はどのような理由が挙がっているかを見ていきましょう。

なぜ転職するの?

転職の理由について厚生労働省の以下の資料(平成27年度)をご参照下さい。

転職者が直前の勤め先を離職した主な理由をみると、「自己都合」が最も高くなっている。自己都合による離職理由(3つまでの複数回答)をみると、「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」が27.3%で最も高く、次いで「満足のいく仕事内容でなかったから」が26.7%、「賃金が低かったから」が25.1%となっている。

厚生労働省

次に、発達障害のある方が退職する理由をご参照下さい。

具体的な離職理由

障害・病気のためが40.7%と最も多く、次いで業務遂行上の課題ありが23.7%、人間関係の悪化が20.1%、労働条件があわないが7.9%、キャリアアップのためが6.1%、将来への不安が2.7%、職場以外の要因が2.1%、労働意欲に課題ありが1.5%、その他の理由が19.8%となっている。

NVR障害者職業総合センター  平成30年度 障害のある求職者の実態調査中間報告

双方とも、理由として大きく占めているのが“自己都合”です。ですが、その内容が異なります。

共通点もあるのですが、発達障害の方の就労継続のカギとなるのは体調コントロールを行うことではないかと考えます。

また、周囲の方に体調不良になる前に仕事の負荷を軽減してもらうなど助けてもらい易い環境づくりの協力をお願いすることと思います。

そういった対処を行っていても、障害の度合いによって体調コントロールの困難さはあるのでしょう。

転職後のメリット・デメリットは?

メリットとしては、退職したい理由となっていた希望を叶えたり、デメリットをメリットにを変えられます。

また、転職前よりも自分にとって働き易くなる可能性があります。勤務時間や業務内容が体に優しいことや、自分のやりたいことができる環境など理由となるのではないでしょうか。

そうなると、心身の調子が良くなり退職理由であった“障害のため”で辛い思いをする方が減少するのではないでしょうか。

反対にマイナス要因がプラスになることがメリットととなります。労働条件や、給与、仕事の内容について具体的なことを調べて相談した上で転職するので当然のこととも言えます。

デメリットは、転職前に話し合い、決定されたことが入職後に現場では引き継がれていないということもあり、現実は違っていたということも起こり得ます。

対人関係に悩み退職した方は、職場見学を経て転職したとしても見学だけでは計れないことですので転職後も対人関係に悩む可能性は否めません。

転職にあたっての準備

発達障害の特性は様々ですが、その特性が故に視野が狭まり転職に際する情報収集や自分自身への捉え方に偏りが表れる可能性があります。

ですので周囲の方の協力と、その為の周囲の方への自分からの発信も不可欠です。

発達障害の方が転職する前の準備としてどのようなことが挙げられるかを考えていきます。

現在の労働条件・職場での不安や不満がある場合

  • 現状どのようなことで不安なのか不満なのかを書き出してみる。
  • 書き出したことを家族、友人に見てもらい、話を聞いてもらう。
  • または、無料で相談できる行政の窓口へ話を聞いてもらい相談する。(各都道府県の発達障害者支援センター、障害者就業・生活支援センター、相談支援事業所など)
  • ジョブコーチ、デイケアなどの協力を得ながら就業した方はそちらにも相談する。
  • その上で、果たして本当転職が良いのか、時期として適正なのかなどを吟味して協力者と共にプランを立てる。
  • 転職までにかかる期間やタイミングと金銭面で融通できる範囲も考えながら、助言してもらったことも踏まえながら転職活動を行う。

体調不良の場合

  • なるだけ早期に体調の変化に気づいて、それを受け止めることがポイント。体調の黄色信号を知っておくこと。
  • それを受け流さず受け止める。
  • 主治医、職場の方や家族や友人に伝え相談。
  • ジョブコーチやデイケアにサポートしてもらったことがある方はそちらにも相談できる時は行う。過去の状況、特に現場や体調について詳しく知ってもらっている存在なのでより具体的な助言をもらうことができる可能性がある。
  • 体調が悪くなりきらない内に休養する。
  • 充電できたらもう一度現在の職場で働くことができるのか向き合ってみる。この時も周囲と話しながら行うこと。
  • 周囲の助言も踏まえながら、転職を決断する場合はなるだけ早めに転職活動を始める。

やりたいことが他にある場合

  • 自分がやりたいことを優先することは良いこということを前提に家族、友人、主治医、ジョブコーチなど周りにいる方と相談してみる。
  • 現職場と転職先の労働条件や業務内容の違いを情報収集する。この時も情報収集の見落としがないか周囲の方の協力を得ながら行うことがポイント。

転職にあたっての情報収集

転職前に‥職場で雇用形態を変更する手段も

他に仕事や職場を変えること以外に、雇用形態などを変更する方法もあります。

対人関係に問題なく、配慮してもらっていても仕事内容や業務のハードさについていくことが難しい時は障害者雇用や給与形態、役職の変更を職場に相談することも可能です。

障害者雇用につきましては、職場によってその枠組みがあるかどうかの違いがありますので丁寧な情報収集が必要です。

転職サイトを利用する

発達障害の方に特化した就職・転職サイトに相談する手段もあります。職種の適正だけでなく面接の際のアドバイスなども具体的にもらえることなどが期待できます。

転職は誰でも起こり得る人生のイベント子供の頃からできることは?

発達障害の特性による得意や困りごとは子供の頃から多種多様です。

得意の伸ばし方、不得意のカバーの仕方については親御さんと共に日々試していらっしゃると思います。

“転職”はまだまだ先の話です。

転職という環境変化に対しても柔軟に行動できるような、どのお子さんにも共通してお勧めできる方法をご紹介します。

将来的にお役立て頂ける情報でありますが、子供のうちからもお役立て頂けるかと思いますのでよろしければ読んでください。

  • 困っていることが何なのか、自分の平常時の体調がどんな感じかを知っておく。
  • 困っていることや普段との体調の違いを言葉にする習慣を。始めから自分からは言えないので、周囲にいる人の方から尋ねていくことから。慣れてきたら、自分から先に言えるように慣れる練習をする。
  • 得意なこと、苦手なことを知っておく。得意なことを伸ばす方法と実践、苦手なことをカバーする方法と実践してみる。続けてみて自分のものにする。

ご家族の力だけでなく、行政の力を借りることもお勧めします。市町村区の保健センターや児童相談所などで相談できます。(発達障害支援センターや相談窓口の検索サイト:国立障害者リハビリテーションセンター

また、放課後デイサービスでもお気軽に相談して頂けます。その施設の一つ、神奈川県横浜市にあるアップも、そんなサービスを提供する施設です。一人一人の特性に合った学習方法や日常・学校生活での困りごとを支援します。

まとめ

転職するかしないかは、子供さんにとってまだまだ先の話でイメージがしづらいかもしれません。

発達障害のある子供さんの特性は、様々で年齢や環境によりその表れ方にも個性が生じやすく、波もあると言えます。

その特性に自分で対応できるよう日頃からご家族と共に取り組まれていると思います。

何か新しい取り組みでなくても、今行っておられることが転職だけでなく、将来にもきっとお役立て頂けます。

今回の記事を通じて、今行なっておられることが全て子供さんの身になっていると感じて下さるきっかけにもなればと思います。