皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害のセルフチェック」についてです。
昨今、「大人の発達障害」という言葉を聞くことが多くなってきました。この記事を読んでいる人の中にはネットにある簡易なセルフチェックをされた方もいるかもしれません。しかしそのセルフチェックで「自分は発達障害だったのか」で終わってしまっては、ご自身では納得できても、生きづらさ・働きづらさは変わりません。
ではセルフチェックで傾向ありと出た場合どうしたらよいのか、それを解説していきます。
目次
セルフチェックの結果だけでは判断不足
前提としてご理解頂きたいのは、セルフチェックの結果だけでは発達障害と言い切れません。
発達障害の傾向の有無は判断出来るかもしれませんが、それだけでは十分な結果は出せません。専門の医療機関を受診し精密な検査を受けた結果、初めて発達障害の有無が分かるのです。
セルフチェックの結果だけで「自分は発達障害を抱えているんだ」と思い込まないで下さい。
不安やストレスから、精神疾患を発症してしまう可能性もあります。
そもそも発達障害とは?
法の改正や環境の充実、メディアにも多数取り上げられたことで「発達障害」という言葉は世間に周知されてきました。しかし、発達障害の詳しい内容に関して答えらる人は決して多くありません。
さらに「障害」というイメージから偏見を持たれている人も少なくないのが現状です。
3つに分類される発達障害
発達障害とは、生まれつき「脳の機能障害」が原因と言われており、定形発達の子供に比べ「出来ること」「出来ないこと」の成長に極端な差が出来てしまう事で、生活に支障が生じる障害の総称を言います。
また、発達障害は大きく3つに分類されます。
- ASD:自閉症スペクトラム障害、アスペルガー症候群
- ADHD:注意欠陥・多動性障害
- LD:学習障害
では、それぞれの特徴について見ていきましょう。
ASD:自閉症スペクトラム障害、アスペルガー症候群
- 相手の目を見て会話することが苦手
- 空気を読む、相手の感情を読み解くのが苦手
- 会話中、知らない間に相手を傷付けてしまう
コミュニケーションが苦手の為、周囲と話が合わず、1人でいることも多くあります。
ADHD:注意欠陥・多動性障害
- 同じ席でジッとしているのが苦手の為、会議などでは集中が続かない
- 我慢することが苦手でもあり、団体行動を乱してしまいがち
- 忘れ物が多い、大切な書類の場所を忘れてしまう
LD:学習障害
- 言葉の読み書きが苦手
- 簡単な計算が出来ない
- 単語は読めても、文章になると途端に読めなくなる
発達障害の根本的な治療法は見つかっていない
発達障害の症状は、抱えている人により様々です。ASDを抱えている人がいれば、ADHDとLDを併存させている人もいます。さらに症状の重さによっても違ってくるのです。
また、根本的な治療法はまだ見つかっておらず、症状を抑える薬の処方や、社会に適応していく為に行う「療育」が主な治療法となっているのが現状です。
大人の発達障害の特徴として、下記の動画を添付してあります。よければ併せてご覧下さい。
なぜ「大人の発達障害」が生じるのか
上でも触れましたが、発達障害とは幼少期からの発達に偏りが生じ、日常生活に困難をきたしている状態を指します。これらの発症原因は、生まれつきの脳機能の障害と環境的要因の二つが影響しあっています。
では幼少期からの発達の問題だとして、なぜ大人になるまで気が付かない場合があるのでしょうか。
例えば障害を抱えていても友人間では個性として認められていた、または親や先生の適切なフォローがあった、なども考えられます。そうすると問題が表面化しないため、障害として問題にならないまま社会人になることがあり得るのです。
また、外見だけでは発達障害と判断するのが難しいという特徴もあります。
発達障害は病気や怪我ではない為「外傷」がありません。ですので、周囲は勿論、抱えている本人すら診断を受けないと「これが障害」と解らないのです。
認められない「働きづらさ」
社会人になると、友人でなく、同僚や上司、取引先など自分の特性を知らない多くの人と関わらなければなりません。そして扱う情報も細かく丁寧な部分まで求められ、同時に複数の案件を抱えることもあります。
仕事をしている人は、どこに何を書いたらいいのか分かりにくい書類、情報量が多くて困惑する会議、こだわりの強い顧客からの細かな注文など日々様々な出来事に追われています。
頭の中で効率よく情報処理をして、臨機応変に、マルチタスクもこなしつつ……、それが出来れば問題ないかもしれません。しかし発達障害の影響で対応が難しく、「仕事のできない人」「怠けもの」「努力不足」と褒められるより、注意や叱責を受けることの方が多くなってしまうのです。
社会での「働きづらさ」が原因で医療機関を受診し検査した結果、発達障害を抱えていたと分かるケースもあり、成人してから治療を受ける人も少なくありません。
より早い対策で、早い症状緩和を
発達障害の症状は、適切な対処によって、その働きづらさを緩和することは出来ます。
セルフチェックで終わらせることなく、実際に医療機関で正しい診断を受けることです。
専門家の診断から適切なカウンセリングなどを受け、具体的にどのような発達障害の特性が強いのかを自身で深く理解し、意識を変えたり生活を工夫したりすることによって障害を緩和できます。人によって障害も環境も様々ですから、自分の特性に合わせた支援を考えるために、専門家の視点を欠かせないものになるでしょう。
それを踏まえたうえで職場にも詳しく説明し、特にどの部分が不得意でサポートが必要なのか知ってもらう、また、得意な部分を生かせるような環境に変えてもらうなどで、働きづらさを少しずつ解消していくことができます。
支援機関、医療機関の活用
- 市区町村の保健センター
子供から大人の発達に関する相談を受けてくれます。予約制の所もあるのでまずは電話してみましょう。
- 医療機関(精神科)
実際に診断を下すのは病院になります。しかし精神科ならどこでも診断ができるわけではありません。発達障害を専門として扱っている精神科をご受診下さい。
- 発達障害情報・支援センター(国立障害者リハビリテーションセンター)
ここでは全国の相談窓口や制度が紹介されています。情報収集にお役立てください。また、全国に展開している機関ですが、支援内容が異なる場合がありますので、相談前に1度上記リンクよりご確認下さい。
1人で悩まない
何より1人で悩まないことが大切です。「発達障害だったらどうしよう」という不安を抱えてしまうことはあるでしょう。ですが、1人で抱え込まず、紹介した支援機関などの活用を含め、相談できる場所を増やしていきましょう。
最近ではTwitterやInstagramなどのSNSを使い、発達障害に関する情報を発信する人は増えています。
同じ境遇の仲間と情報を交換することで「救われた」と感じる人は少なくありません。
まとめ
発達障害は最も有名な統計で6.5%(文部科学省 2012年)、つまり20人に1人以上いるという計算になります。場合によっては子供のころから悩まされ、または大人になってから顕在化することがあります。
自分はそうかもしれない、と生きづらさを感じるなら、ぜひ病院や行政などの専門機関に相談してみてください。早く対策を打った分、より早く効果的な対策が見つかり、これまでより生きやすい生活を手にすることができるかもしれません。