皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害と、普通学級での迷惑」についてです。
発達障害を持つお子さんの学習環境をどうするか、お悩みではありませんか?
「普通学級に入れたいけど、先生や他の児童の迷惑じゃないかな?」「いじめられたらどうしよう……」と、不安に思われている保護者の方もいらっしゃるでしょう。


この記事では、発達障害を持つ児童と普通学級への関わりにスポットを当て、考えられるメリット・デメリット、普通学級で過ごす時の工夫などをお伝えしていきたいと思います。
一緒に、お子さんの学習環境について勉強しましょう!
目次
どの学習環境へ通わせるべきか

発達障害を持った児童が普通学級に通うのは迷惑?
保護者の方がまず悩まれるのが、発達障害を持ったお子さんをどの学習環境に入れれば良いかということではないでしょうか。どの学習環境にも一長一短あり、決めかねることもあるでしょう。
障害の状態が軽度であれば、周囲の児童と同じ普通学級(通常学級)に通う方法もあります。ここでも、「普通学級に居るのは迷惑ではないだろうか……」と悩まれることと思います。
調べてみたところ、やはり実際に他の保護者から苦情が寄せられる事もあるようです。

周囲との違いやコミュニケーションのすれ違いなどからトラブルに発展してしまったり、発達障害を持った児童への対応で授業が中断してしまったりして、他の児童の学習に影響が出るなどしたケースです。
しかし、反対に良い結果となったケースも存在します。発達障害を持った児童と発達障害のない児童が入り混じって学習や交流をすることで、多様性について学び、より柔軟な人間関係を築けるようになった例もあるのです。


そこで、どのような工夫ができるか対策を講じるためにも、まずは発達障害を持ったお子さんの「学びの場」について簡単にまとめてみました。
学びの場の種類
様々な支援や配慮を受けられる学習環境
現在、日本では発達障害を持った子ども達の周りには様々な学習環境があります。主に、下記のような種類があります。
● 特別支援学校
重い障害などから通常の学校に通う事が難しい児童を対象に、「生活上の自立」ができるように知識と能力の習得を支援する学校です。幼稚部/小学部/中学部/高等部があり、それぞれに応じた教育を受ける事もできます。
● 特別支援学級
小学校・中学校の中に置かれています。障害などから通常の授業に参加しにくい児童を対象に、少人数でそれぞれの障害に合わせた授業や指導が行われます。
以前は「特殊学級」と呼ばれていました(2007年の学校教育法改正に伴って名称が変わりました)。
● 通級による指導
周囲の児童と同じ普通学級に在籍しながら、障害に応じた個別の指導を受けるなど、特定の活動を行うことができます。
「通級」「通級指導」「通級制度」とも呼ばれます。
● 交流級
特別支援学級に在籍しながら、ホームルームや給食の時間、一部の授業など、特定の活動を普通学級で一緒に行うことができます。
※ご注意下さい※
受け入れの対象となる障害の種類や程度は、地域によって異なります。
また、各学校によっては通級や交流級が無い場合もあります。
2016年4月に「障害者差別解消法」が施行されたことで、普通学級においても障害を持った児童への「合理的配慮」が義務付けされました。
(参考元:内閣庁「障害を理由とする差別の解消の推進」)

「合理的配慮」って、具体的にはどのようなものなんですか?

こうした配慮などで、より選択の幅は広がったといえるでしょう。
障害が軽度である場合など、集団の中で一緒に活動することが充分できるようであれば、他の児童と同じ普通学級に所属して通常の授業へ参加することも可能です。
どの学習環境を利用するのかは相談で決まる?
実際にどの学習環境を利用するのかは、各市町村の教育委員会の判断や、障害の状態、児童が持っている学習環境への希望、学校側の受け入れ状況など、相談して擦り合わせた上での決定となるでしょう。
主に、「45分間の授業に耐えられるか」「他の児童に暴力などを振るわないか」などがチェックのポイントとなるようです。
普通学級から特別支援学級への転級や、特別支援学級から普通学級への転級も可能であるようです。(詳しくは各学校へ問い合わせて下さい)
お子さんのその時その時の状況に合わせて、学習環境を選べそうですね。
下記の動画は、学校の選択に関するものです。よかったら参考にご覧下さい。
普通学級に通うメリット・デメリット

では、発達障害を持った子どもが普通学級に在籍することには、どのようなメリットとデメリットがあるでしょうか? 順番にみていきましょう。
普通学級に通う場合のメリット
一般的なカリキュラムで授業を受けることができる
特別支援学級ではひとりひとりに合わせた学習ペースとなるので、学習内容の遅れなどが気になる保護者の方もおられるかと思います。普通学級であれば周囲の児童と同じカリキュラムで授業を受けることになるので、このような心配は無くなるでしょう。
将来的に一般高校への進学を考えている場合は、受験に備える為にも、周囲の児童と同程度のスピードと内容で学習を進めていく必要もあるかも知れません。
より多くの子ども達と触れ合うことができる
たくさんの児童と触れ合う機会が多くなるのは普通学級のメリットです。
特別支援学級に入ると、少人数の環境だけで交流してしまいがちになることもあるようです。他の児童との触れ合いができるように交流の時間が設けられることもありますが、機会としてはどうしても普通学級よりも少なくなります。
普通学級に仲の良い友達がいる場合は、一緒に授業を受けたいという理由などから普通学級を選択することもあるでしょう。
環境次第では、発達障害を持った児童と発達障害の無い児童が入り混じることで、より多様性に富んだ経験を積むことが可能となるかも知れません。良い刺激を与え合うことでみんなが成長できることもあり得るのです。
一般の高校へ進学しやすくなる
小学校・中学校には特別支援学級がありますが、高校には定めが無く、発達障害を持った学生への支援環境が整っていない場合があります。
小学校・中学校では特別支援学級に通っていても、高校になってから急に普通学級に入らなければならなくなるかも知れません。
また、今のところ特別支援学級では内申点がつかないそうです。
その為、一般高校への進学を目標とする場合には、慣れておく為にも普通学級を選択するケースがあるようです。
普通学級に通う場合のデメリット・リスク
学習への不安や学校生活でのストレスで、不登校などの二次障害に繋がってしまうリスクがあるかも知れません。また、環境によってはいじめなどに発展してしまうケースもあり得ます。
デメリットやリスクもしっかり見据えて、慎重に検討しましょう。
療育に当てる時間が少なくなる
普通学級では、通常の学習にほとんどの時間を割くことになります。このため、特別支援学級に居る場合に受けられるような特性に合った指導や支援を受ける時間はどうしても少なくなってしまうでしょう。
発達障害には早期の療育が効果的であるとされています。
場合によっては普通学級で過ごすかたわら「通級による指導」を受けるか、放課後等デイサービスの利用など学校以外の場所で、障害の特性から起こる苦手への対処法を学ぶ必要が出てくるかも知れません。
「放課後等デイサービス」は、2012年4月に児童福祉法に位置付けられた支援方法です。様々な障害を持つ子どもに対して、学校や家庭とは異なる環境を通して、ひとりひとりに合った発達支援を行います。
「子どもの最善の利益の保障」「健全な育成」が主な目的です。また、保護者へのケアも行っています。(詳細は団体によって異なります)
参考元:厚生労働省 「放課後等デイサービスガイドラインについて」
授業ペースについていけない可能性がある
発達障害の特性によっては授業に集中できなかったり、充分理解する前に授業内容が先へと進んでいってしまったりということもあるかも知れません。
一斉授業についていけない場合、わからないまま放っておかれたり、先生が掛かりきりになって授業が中断されてしまったりするなどの事態に繋がるおそれもあります。
頻繁に授業の中断が余儀なくされると、他の児童や保護者から苦情が出るかも知れません。また、授業を中断させる原因となってしまうことでお子さん自身が悩んでしまうケースもあるようです。
落ち着いて過ごせない可能性がある
大勢の中で生活することは、多くのストレスにさらされることでもあります。
大きな物音や話し声、誰かにぶつかったりぶつかられたりといった突発的な出来事もあるのです。障害の特性をあらかじめ伝えていたとしても、こうした出来事の発生を全て防ぐことはできないでしょう。
こういった要因から落ち着いて学習することができなくなり、場合によっては学校に通うこと自体をお子さんが嫌がるようになってしまう可能性もあります。
周囲の児童とのトラブルや、いじめを受けることもある得る
コミュニケーションの行き違いなど、周囲の児童との間にトラブルを抱える事もあり得ます。保護者を交える騒動となることもあるかも知れません。
また、宿題を免除するなどの配慮をされ過ぎることで周囲の児童の方にかえって不満が溜まり、いじめなどに発展してしまうケースもあるようです。
これらの場合、深刻な二次障害におちいってしまう前に気づいてあげる必要があります。
発達障害の特性からの苦手や対人関係への不安などから、不登校や鬱(うつ)、引きこもりなどの状態におちいってしまう事です。
環境によって良し悪しにムラがある現状
特別支援学級が1クラス約8名であるのに対し、普通学級は標準1クラス40名(小学1年生は35名)での一斉授業になります。「合理的配慮」が義務付けられたといっても、先生1人では、生徒ひとりひとりに合わせた対応を充分取ることが難しい場合もあるでしょう。


コストや人手不足など、学校それぞれに事情があって環境を整えきれない場合もありますから……。
発達障害には早期の療育が効果的とされているので、普通学級にこだわらずに特別支援学級を選択し、まずは個人のペースで学習と周囲との関わり方のコツをつかむのも方法としては良いのかも知れません。
充分に自信がついてから普通学級に転級するのも1つの手段といえそうです。
普通学級の方が良いか特別支援学級の方が良いかは、環境によって大きく左右されます。学校それぞれで特色は異なります。どのような先生がいるのか、同時期に同じ場所で学習する他の児童がどのような子かによっても変わってきます。
実際にはメリットやデメリットだけでは計れないのが現状のようです。
通うのはお子さんです。本人がつらい思いをしないで済むように、お子さん自身の希望や先生の考えなどを良く聞いて、相談しながら学習環境を決めていきましょう。
↓インターネット上には、様々な環境からの声があります。
引用元:Twitter
―kao-tan@rkchaltt
引用元:Twitter
―ChouChou @MailChou
引用元:Twitter
―405@3shimaiikuji
「迷惑」にならないために:普通学級に通う場合にできること

普通学級に通うと決めたならば、デメリットやリスクはできるだけ減らしたいですよね。
学校側の支援を期待するだけではなく、お子さん自身や保護者にはどのようなことができるでしょうか?
学校との連携も大切にしていきたいところです。
工夫と療育による、授業やトラブルへの備え
工夫や、お子さん自身が苦手の克服を頑張ることでも、授業ペースへの不安やトラブルへの備えをすることができるでしょう。
授業への備え
授業のペースについていけるように、発達障害の特性に合わせて工夫する事ができます。受け入れが可能かどうかは学校との相談の上にはなりますが、保護者が授業に付き添うことで上手くいくケースもあるようです。
【特性に合わせた工夫の例】
- 読み書きが苦手な場合
タブレット端末を使い、黒板を撮影する・音読機能を使用するなど - 集中力が続かない場合
他からの刺激を減らせるよう、授業中は窓にカーテンを引いてもらうなど - 口頭での説明の理解が苦手な場合
あらかじめ授業の要点をまとめて書いておくなど
これらの工夫や、療育などで苦手を減らすことで、学習への困難を少なくすることができるかも知れません。
お子さんの特性や個性に合わせて、無理のない範囲でできることを見つけていきましょう。
この時、動きがあったり音が出たりするなど、手段によっては周囲の児童の集中のさまたげになってしまう可能性もあるかも知れません。
そのことも含めて事前に周囲の理解を求めたり、先生と一緒に更なる工夫を考えたりといったことも必要になりそうです。
【例】
授業中に教室を出入りする必要があれば、他の児童の前を横切らずに済むようにドアの近くの席にしてもらう など
トラブルへの備え
コミュニケーションが苦手であったり、衝動的に手が出てしまったりなどで周囲とのトラブルになる可能性もあります。これらに備えるには、周囲に理解と協力を求めると同時に、お子さん自身も周囲との関わり方を学ぶことが必要でしょう。
周囲に理解と協力を求める為には、「どのような特性があるのか」「どういった場合には、周囲にどう対応して欲しいのか」などを伝えておくと良いかも知れません。
具体的に伝えなければ周囲もどう動けば良いのかわかりません。あらかじめ伝えておくことで防ぐことのできるトラブルもあるのではないでしょうか。
また、お子さん自身にも、療育などでソーシャルスキルを身に着けるなどの工夫ができます。周囲との関わり方を知識として学ぶことで、コミュニケーションなどのトラブルを減らすことができるかも知れません。

療育・放課後等デイサービスについては、
↓こちらのサイトも参考にしてみて下さいね。
横浜市都筑区児童発達支援と放課後等デイサービス
運動・学習療育アップ
学校との連携
保護者と先生の方針を一致させる
発達障害の有無に関わらず全ての関係に言える事ではありますが、より良い環境を整えるためには学校との連携も不可欠です。
保護者と先生の考えが食い違っていると、お子さんも混乱してしまいます。
先生の持っている考えを聞いたり、家庭での様子などを伝えたりすることで、お子さんに合った学習環境に近付けることができるでしょう。

保護者も先生も人間!大人も休める環境に
学校とは、児童だけでなくその保護者や先生など、とても多くの人が集う場所です。人間関係もその分、複雑になります。
発達障害を持ったお子さんであれば、周囲との違いからトラブルが起こってしまったり、苦情が寄せられてしまったりする事もあるかも知れません。
また、児童一人ひとりに細かな対応をしなければならない先生も大変な仕事です。事態によっては保護者と保護者の板挟みになることもあります。
保護者も先生も人間ですから、労わり合って、時には休むことも必要となります。

地域の窓口などで相談することもできますよ!
つらくなったら特別支援学級へ
発達障害の特性による困難は、状況によって変わることもあります。また、周囲との関わりの中でお子さんが疲れてしまったりすることもあるかも知れません。
そういった時は、無理に普通学級での学習を続けずに、特別支援学級へ移ることも選択のひとつとして考えましょう。
万一の場合に備え、状況に応じていつでも転級できるよう、学校側や市町村の教育委員会などと事前に相談や打ち合わせを行っておくと安心ですね。
まとめ
それでは、これまでの情報をまとめます。
- 普通学級(通常学級)に通うことは、選択肢のひとつ!
- 環境次第で、良いケースにも悪いケースにもなり得る!
- 工夫や療育など、トラブルに備えてできることもある!
- 先生との相談や状況に応じた転級など、学校と連携しよう!
お子さんがどのような環境に出会えるかは、お住まいの地域や先生によって大きく変わってくることもあるでしょう。
メリット・デメリットだけではなく、事前にどんな学校か調べたり先生と相談を行ったりなど、しっかり準備して就学先を決めたいですね。
お子さんが小学校・中学校で過ごすかけがえのない時間です。できる限りの工夫と備えで、楽しく学習できる、より良い環境に近付けられると良いですね!
ひとりでも多くの子どもが、自分に合った「学びの場」に出会えることを願います。
もっと詳しく・他の情報も知りたい方は、
こちらのサイトも参考にしてみて下さい!
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