皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場になることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「発達障害 癇癪」についてです。
特に発達障害のある子の保護者さんは大変そうです。
目次
発達障害があると癇癪を起こしやすい理由
かんしゃくは、激しい感情の爆発で、通常は欲求不満に対する反応です。癇癪の原因で最も多いのが欲求不満、疲労、空腹です。小児はかんしゃくを起こしている間、叫び声を上げたり、泣いたり、手足をばたばた動かしたり、床を転がったり、物を投げたり、足を踏みならしたりします。
引用 【MSDマニュアル】かんしゃく
発達障害がある子は他の子と比較してストレスや疲れをためやすいです。特性により異なりますが、周囲とのコミュニケーションがうまく取れなかったり、周囲の環境からの刺激に過敏に反応してしまったりすることなどが原因として挙げられます。
こちらの動画では、感覚過敏を持つ子の学校生活の様子を再現しています。日常の何気ない現象が大きなストレスになっているのが分かります。
また、発達障害は脳の働き方の違いだと考えられており、感情を司る部位の働きに不調があることで、癇癪を起こしやすくなっている可能性もあります。
発達障害は脳の特定の部位の機能や神経伝達がうまくできない状態です。そのため、記憶の仕方や刺激の感じ方が異なり、自分でも制御できない行動を取ってしまうことがあります。
参考 【東京都福祉保健局】脳の働きと発達障害
癇癪は成長過程で必要なこと
乳児の癇癪
癇癪は自分に不都合なことがある時に、周りに知らせて不都合を取り除いてもらおうとする行動でもあります。乳児期の赤ちゃんが泣くのもその一種です。お腹が空いたことやオムツが蒸れてきたことなど、体の不快感を親に知らせるために起こります。
乳児は自分ではどうすることもできないので、親にお世話をしてもらうしかありません。泣いている原因を探り、解決することで癇癪も治まります。
幼児の癇癪
1歳頃になると子供にも自我が芽生え始め、やりたいことや気に入らないことを知らせるために癇癪を起こします。1歳だとまだ言葉が出ないので、自分の思い通りにならないことがあると、泣いたり暴れたりして知らせます。
2歳頃になると「いや」という言葉を使って、自分の意思を伝えようとします。「いや」以外の言葉で表現することが難しいので、上手く伝わらずにイライラを溜めてしまい癇癪を起こします。
不都合を取り除くための具体的な要求を言葉や身振りで伝えることがまだできないため、癇癪を起こして何とか対応してもらおうとしているのです。
箱の奥の方に見えるおもちゃで遊びたい
⇒お母さんに取ってもらいたいけど、何て言えば良いか分からない
⇒ストレス・イライラが溜まって、泣いたり暴れたりする
成長と共に何が不満なのか伝えられるようになったり、怒りや不安をコントロールできるようになったりすると、癇癪を起こさなくなります。
箱の奥の方に見えるおもちゃで遊びたい
パターン1
お母さんに取ってほしいおもちゃを言葉で伝えて取ってもらう
パターン2
奥の方にあるおもちゃは諦めて違うおもちゃで遊ぶ
癇癪の多い時期を乗り越えると子供とのコミュニケーションが取りやすくなり、子育てが楽しくなる方もいるようです。
しかし、発達障害がある子の場合、この感情の表現やコントロールが難しいことが多く、癇癪が中々治らないということが起きてしまいます。
どうやって対応したら良い?
ほとんどの癇癪は子供の欲求を叶えてあげることで治めることができますが、この対処の仕方だといつになっても癇癪を卒業することができません。逆に、「癇癪を起こすと欲求が叶う」と学習してしまい、悪化してしまうこともあります。
何とか癇癪を落ち着かせようとお菓子やおもちゃを与えることも、同様に癇癪を助長してしまうことに繋がります。
絵カードで感情表現
発達障害のある子は自分の感情を認識したり表現したりするのが苦手なことが多いです。そのため、自分でも訳が分からず癇癪を引き起こしてしまいます。
普段から、表情が書いてある絵カードを用いて自分がどんな気持ちなのかを、親や先生に伝えられるようにしておくと、感情のコントロールが少しずつできるようになっていきます。
絵カードは売っているものもありますが、値段が高いと感じた場合は自作することも可能です。自作する時は表情を分かりやすく、大きく書くことがポイントです。
商品概要 | 表情カード。表情とその時の感情が描いてあるカードです。全45枚。 |
値段 | 3,200円(税込) (楽天 2021年11月5日時点) |
活用法 | ・今どんな気持ちなのかカードの中から選んで伝える ・カードの絵と同じ気持ちになったのはどんな時だったか考える |
助けを求める言葉を教える
癇癪は自分でどうしようもできなくなった時に起こります。何か困ったことがあった時は「助けて」や「困った」などの周りの人に助けを求める言葉を言うように教えてあげましょう。
周囲の人に助けてもらうことで癇癪の要因を解決することができます。また、言葉で自分の状況を整理することで、気持ちを落ち着かせることもできます。
落ち着いたら褒める
感情のコントロールが少しでもできるようになってくると、自力で癇癪を抑えることができるようになってきます。自分の力で癇癪を抑え込むことができた時はすぐに褒めてあげましょう。
「癇癪はやめた方が良いことだ」ということを学習していきます。しかし、癇癪が治まってしばらくしてから褒めてしまうと、「癇癪を起こした後には褒められる」と勘違いしてしまうこともあるので、褒めるタイミングは気をつけましょう。
また、癇癪を起こしている最中に声を掛けてあげたり、抱きしめてあげようと近づくのは危険です。子供は訳も分からず行動をしている状態なので、親がケガをする可能性があります。
他人に危害を与える恐れがない時は、少し心苦しいですが、落ち着くまで見守りましょう。壁などに自分の頭を打ちつけようとする場合は、大きめのクッションなどを用意しましょう。
癇癪中は放置して、落ち着いたら褒めるということを続けた方の観察記録がYouTubeに投稿されています。参考にしてみて下さい。
※子供の癇癪が流れますので音量にご注意下さい。
癇癪を予防する方法
ストレスの要因を取り除く
要因となる不安やストレスを減らすことができれば、癇癪も少なくなります。視覚過敏の子にはサングラスや保護メガネ、聴覚過敏の子にはイヤーマフやヘッドホンなどの保護用具を用意してあげましょう。
また、発達障害の子は急な変化が苦手です。1日の流れが分かるようなホワイトボードを用意したり、「おもちゃで遊んだ後はお風呂に入るよ」といった先の見通しが分かる声かけをしたりしましょう。
バランスの良い食事
脳の働きを手助けする栄養を取ることで、少しだけ症状を改善できることがあります。脳の働きを補助してくれる栄養素はトリプトファンと亜鉛です。
豆腐・味噌・納豆などの大豆製品、牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品、アーモンドなどのナッツ類。
参考 わかさの秘密【わかさ生活】
牡蠣、ホタテ、かに、豚レバー、牛肉、納豆、卵、玄米
参考 わかさの秘密【わかさ生活】
効果があるからといって同じ食材ばかり摂るのは危険です。これらの食材が足りていないな感じた時に、意識して取り入れてみましょう。
お守りを用意する
癇癪を起こしそうになった時に、見ると安心するお守りのようなものを用意するのも一つの方法です。好きなキャラクターや匂いのものを用意すると良いでしょう。
家にいる時はお気に入りの毛布やぬいぐるみなどを活用することができます。とにかく子供が落ち着けるものを使いましょう。成長と共に癇癪が減ってきたら、お守りを持ち歩く頻度を減らして卒業させましょう。
まとめ
今回のポイントをまとめてみよう。
- 癇癪は自分の意思ではどうにもならないことに対し、不安やストレスを感じた時に起こる。
- 発達障害がある子は不安やストレスの元になるものが多く、感情を司る脳の機能がうまく働かないため、癇癪を起こしやすい。
- 感情をコントロールする術を身に着けていくことで癇癪は減っていく。
- 癇癪が落ち着いたらすぐに褒めてあげることで、徐々に改善していく。
子供が癇癪を起こすと親もどうしたら良いか分からなくなりますよね。まずは親が落ち着くことが大事なようです。「子供は落ち着こうとして頑張っている」と思って、優しく見守りましょう。
終わった後は頑張ったことをしっかり褒めてあげましょう。