皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所となることを願って投稿させていただきます。

今日のトピックは「発達障害カサンドラ症候群」についてです。

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青木
カサンドラ症候群、近年注目されてきた名前です。
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大竹
名前からして怖そうなイメージですよね。この名前から来るイメージで不安を感じている人も多いでしょう。

この記事では、発達障害とカサンドラ症候群の関係性。具体的な症状や原因、どう対処したらいいのかについて、解説していきます。

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青木
発達障害を抱えている家族の人は、ぜひ参考にご覧下さい。

アスペルガー症候群

カサンドラ症候群を解説する前には、発達障害について触れておく必要があります。

発達障害は大きく、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の三つに分けられ、生まれつき脳の発達の仕方が通常と異なる、という点が共通しています。

ただ、本人の得手不得手を理解し適切なフォローをしていくことで、持っている本来の力を生かした社会参加ができるようになることを忘れてはいけません。

3つの内の自閉症スペクトラム障害(ASD)に分けられるアスペルガー症候群は、以下のような点に困難を感じることが多くあります。

他人との交流

相手の立場に立って気持ちを理解することや、場の空気を読むことを、また反対に、自分の思っていることを伝えることを苦手とし、相手との会話のキャッチボールが困難です。

比喩表現や、言外の意味をくみ取ることも苦手で、言葉をそのまま受け取ってしまい、周囲からするとずれた思考や行動をしてしまいます。

強いこだわりや興味

一度興味を持ったものに対して、のめり込む傾向があり、興味がないことを実行できないことがあります。そのため学校の集団行動時や、仕事の優先順位や会社の予定などに合わせることができず、浮いてしまったりします。

想像力や創造性

こだわりに繋がる部分でもありますが、自分の習慣に関して決めたルールにこだわりやすく、いつもと違うパターン、出来事を嫌う傾向にあります。

何故そのような変化があったのかという背景の想像や、ではこのように対応しようという対応策の創造が及びにくく、柔軟性に欠けてしまうためです。

カサンドラ症候群の症状・原因

カサンドラ症候群の症状

カサンドラ症候群とは、アスペルガー症候群の家族や、友人、パートナーとのコミュニケーションがうまくいかないことによって、心身が不安定になる障害のことです。

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大竹
上で触れたアスペルガー症候群は、比較的「男性に多い」という特徴があります。
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青木
つまり、カサンドラ症候群を発症するのは、パートナーである「女性に多い」と言えるんです。
POINT

女性でもアスペルガー症候群を抱えている人はいます。カサンドラ症候群は、女性だけの問題では決してありません。

症状としては以下のものなどが現れるとされています。

 ・抑うつ状態
・自己評価の低下
・不眠
・頭痛
・無気力になる
・孤立感、孤独感をもつ
・パニック障害(不安障害)
・体重の増減がおこる
・情緒不安定
・動悸(どうき)などの自律神経にかかわる症状
・罪悪感
・自己喪失感

参照元: カサンドラ症候群│病気スコープ

カサンドラ症候群の原因

ではカサンドラ症候群の原因はどのようなところにあるのでしょうか。

気が付かれないアスペルガー症候群

最近「大人の発達障害」という言葉をよく聞くようになったと思います。一般に程度が軽いことや、学校に通っていたころは周囲のサポートが良好であったり、適性の合った進路を選んだりと、成人になるまで大きな問題にならないことは多いようです。

しかし社会人になって仕事量の増加や人間関係の複雑化によって、はじめて社会生活に困難を抱えることがあります。そこで自分が発達障害ではないかと思い精神科等を受診して、大人になってから診断が下ることがあるのです。

ただ全員が全員発達障害ではないかと思い至るわけではありません。発達障害の症状がありながら、この困難さは仕事上の人間関係のせいであったり、責任を取る立場になった重圧から来ている、と考え診断に至らないケースもあります。

このような場合、アスペルガー症候群があっても、それを本人や周囲が認識できないままになってしまいます。

発症の原因、きっかけ

カサンドラ症候群は、夫婦などのパートナー関係、親子、兄弟、友人、職場の同僚、上司部下など、日常的に接する関係の中で起きるものです。

様々な関係性がありますが、アスペルガー症候群がある相手とのコミュニケーションが思うようにいかず関係性が悪化する、またそのことを相手からも周囲からも理解してもらえず、当人が辛さを抱えたまま孤立していしまう、といったことが共通の大きな原因としてあります。

相手が前記の通り、隠れたアスペルガー症候群の場合、事務的な会話や簡単な会話などは問題なけれど、親密な関係下では、理解し合えない、共感できない、してもらえない、などから問題が発生し、関係悪化によるストレスを日々受けることになります。

また周囲からも理解されずに孤立感が高まり、「自分が悪いのでは」など、自身をさらに精神的に追い詰めることによって、心身に支障をきたすまでになってしまうのです。

時事ドットコムニュースより、カサンドラ症候群に関する記事がありました。のでご紹介します。


Aさんの夫は難関大を卒業した大手企業の社員。結婚後しばらくは平穏だったが、妊娠出産時にAさんが不安、不満などを相談した際、夫はただ困った様子を見せるだけで、反応は鈍かった。

家事育児などを「手伝って」と言っても、夫は無表情で固まり、Aさんはイライラして喧嘩が増えた。Aさんは自分がきついせいなのかと自己嫌悪に陥ったという。同時期に夫はお金にこだわるようになり、脈絡もなく給料や貯蓄の話を始めたり、投資運用にものめり込んでいった。 

夫が始めようとした投資をめぐり激しい言い争いになったことをきっかけに、すでに不眠などの症状の出始めていたAさんは、無気力になり、何もやる気がしない状況が続き、近所の精神科クリニックを受診。

また友人らの助言から、夫が何らかの障害ではないかと思い、さらにカサンドラ症候群についても知ったとのことだった。

参照元:時事ドットコムニュース│発達障害の夫、カサンドラな妻

「夫が大人の発達障害で、私はいわゆるカサンドラ症候群になってしまいました。病院に通い始めて少しずつ落ち着いて、ようやく周りにも少し話せるようになってきたのですが、驚いたことに、発達障害の身内によってつらい思いをしている友人が周囲に何人もいたのです。この問題は、本当に当事者しか分からないことで、声を上げず苦しんでいる人も多いと思います。広く社会に知ってもらいたいと考えました」

引用元:時事ドットコムニュース・発達障害の夫、カサンドラな妻

また、もっと日常的な例としてはこのようなツイートがありました。

カサンドラ症候群の対処法

カサンドラ症候群の治療法は精神科や心療内科にかかり、症状を緩和するため投薬治療、またカウンセリングを行うことが挙げられます。

しかしこれは現状出ている症状への対処であり、根本的な解決にはなりません。アスペルガー症候群を持つ相手との関係性の改善や変化をしていかなければ、同じことの繰り返しになってしまいます。

治療、ではなく相互理解

相手がアスペルガー症候群を自覚していない場合、 無理に医療機関での受診を勧めると、本人を傷つけ関係が悪化することもあります。もし診断に行く際は、特性や症状について話し合ったり、理解している段階を経た上で医療機関に行くのが理想です。

ただカサンドラ症候群のある人だけで相談に行ってみた場合でも、相手の行動について疑問や不安を解消にすることに繋がります。

丁寧に話し合い当人の発達障害の受け入れができた場合、パートナーまた家族なども一緒にカウンセリングを受けることもいいでしょう。お互いの状態を理解し、関係性について考え直し、改善に取り組むことができます。

また、一度距離を置く、というのも方法のひとつです。単にお互い離れるのではなく、冷静になって今の状況を考え直すことで、関係性を変えるきっかけが見つかるかもしれません。

相談先の窓口としては地域の保健センター、心療内科や精神科といった医療機関などが挙げられるでしょう。

発達障害の診断や検査に関してまとめた記事を下記に用意しました。良ければ併せてご覧下さい。

また、アスペルガー症候群の相手がお子様などの場合、カウンセリングだけでなく、デイサービスを受けることでアスペルガーの特性を緩やかにすることが期待できます。

専門的な知識を有した職員による療育と同時に、保護者の休息も必要にもなります。このようなデイサービスを行っている事業は全国にあります。

放課後デイサービス・アップは、このデイサービスを行っています。具体的にどのようなことをするの? という方は、デイサービスに関する記事がありますので、是非ご覧ください。

孤独にならないために

全国には同じようにカサンドラ症候群に悩む人たち同士が、悩みを共有し、支え合い励まし合う自助グループというものが存在します。

身近に自助グループがあるかについても、市区町村の保健センターに尋ねてみるとよいでしょう。

また、カサンドラ症候群については、世間的にまだ認識も浅く、情報がなかなか少ないのも事実です。インターネットだけでなく、このような書籍もありますので、よろしければ参考にしてみてください。

まとめ

発達障害の影響によって、当事者本人意外にも想定外の障害を抱えてしまう場合があります。カサンドラ症候群は、どちらかが悪い、どちらが正しい、というものではなく、関係性の問題です。

自分や相手を責めることなく、お互いを理解しながら前に進んでいく環境づくりが大切となります。

今回の記事が今後の参考になれば幸いです。