皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害を抱える子どもの兄弟のストレス」についてです。
障害や難病を抱える兄弟・姉妹がいる子供を「きょうだい児」と呼びます。
- 「発達障害児に手いっぱいで、きょうだい児と平等に接することができない」
- 「きょうだい児に色々我慢をさせている気がする」
発達障害児と健常児の子供を持つ保護者、特に母親の方で、上記のような悩みがある方は少なくありません。
今回は、発達障害児ときょうだい児が一緒に生活する上で、お互い穏やかな生活する方法をお伝えします。
目次
きょうだい児へのおすすめ対応6つ
障害児と健常児を持つ保護者の中には「きょうだい児にどのように障害について説明すればいいのか」「どうすれば理解してもらえるのか」と悩む方々はいます。
また「きょうだいの持っている障害を知ったら、負担になるのでは」と懸念する方も。
一般的に、きょうだい児の家族からの疎外感をなくすため、年齢に応じて徐々に教える必要があります。
仮に、きょうだい児が同胞の障害について知らない一方で、保護者であるお父さんやお母さんが知っていたら?
きっと、きょうだい児は「自分だけ知らない」という仲間外れにされた気分を味わってしまうでしょう。疎外感は心を蝕みます。
保護者が「あなたは障害を抱えているよ」と教えることで、きょうだい児側にもメリットがあります。
きょうだい児本人は、次第に「どうすれば同胞を手助けできるのか」を考えられるようになり、人を大切にする信念が生まれるかもしれません。
【1】問題点を明確化し家族間で共有
問題点が発達障害児でもきょうだい児でも関係なく、 発達障害に関わる問題は、家族全員で明確にして、共有することが必要です。
問題点ををあぶりだす
手っ取り早く結果を出すには、ノートなどに問題点や対策について書き出すこと。
書き出した情報を全体から見渡してみましょう。
すると客観的に状況を把握でき、手助けできるポイントが頭の中で整理できます。
問題点を共有する
観察した結果をノートに書き留め、問題点を把握した後は、解決のために動きましょう。
例えば、家族内で誰かが不満を持っているにも関わらず放置していると、次第に家族全体の雰囲気は悪くなり、生活に悪影響が出てきます。
手遅れになる前に、不満が出てくる都度、問題を明確にして改善していきます。
問題点を共有すると、当事者意識を持つことで「きょうだい児だけ知らない」状況も未然に防げ、きょうだい児が家族内での孤立感を抱かなくて済むのです。
次第に保護者のストレスがきょうだい児にも届いてしまい、負のスパイラルができてしまうことも……
【2】きょうだいの相談に乗る
きょうだい児には、きょうだい児なりの悩みがありますが、親に話さないという選択を取る場合があります。
【きょうだい児が親に悩みを相談しない一例】
- 同胞に対する本当の気持ちを話してもいいのか迷う
- 同胞のお世話をいつもしている親に、これ以上負担をかけたくない
ではどうすれば悩みを教えてくれるのでしょうか?ーー答えは、よく観察することです。
例えば、きょうだい児の様子や表情などがいつもと違っていたりしたら、意見を押し付けるのではなく話を聞いてみましょう。
話を聞いていくうちに、きょうだい児の悩みを引き出せるかもしれません。
【きょうだい児の抱える悩み一例】
- 障害児のきょうだいであるとレッテルをはられることが嫌だ
- 障害児がいるため、周りとの友人関係が築きにくい(遊びを邪魔される、など)
- 一緒にいると恥ずかしいと感じてしまうこともあり、また恥ずかしいと感じることに罪悪感を感じる
2本あわせてご覧下さい。
きょうだい児の葛藤を納めた動画
3人兄弟のうち、発達障害の弟を持つ長男にスポットを当て、きょうだい児ならではの悩みを教えてくれています。
発達障害を抱える兄を持つ妹さんの葛藤を動画に納めています。子供は想像以上に保護者の表情を観察ていることが分かりますね。
【3】親と二人だけになる時間を作る
普段の生活では、保護者の気持ちやも注意は障害を抱えた子どもの方に向きがちです。
するときょうだい児は「自分の事を気にかけてもらえない」と孤独を感じてしまうようになります。
【きょうだい児が感じる不安感一例】
- 親と話しているのを同胞に邪魔されて嫌だった
- 自分に目を向けてもらえないことを不満に感じた
- 親から愛されているという確信がない
- 家族の中での孤立を感じる
以上のようなすれ違いを回避するには、きょうだい児と親の二人で過ごす時間を増すといいでしょう。
二人で過ごす時は、「あなたのことを気にかけているよ」というメッセージを、おおげさになるくらいでもいいので伝えてみてください。
同時に「悩んでいること」「不安なこと」がないか聞いてみると手間が省けていいですね。
また、きょうだい児と共に過ごすスケジュールを決めたら、事前に「二人で一緒に時間が過ごせたら、何がしたい?」など聞き出し、希望を三つほど聞いてメモに残してみましょう。
記録に残せば、きょうだい児達に「ぼくは(わたしは)気にかけてもらえるんだ」と実感がわきます。
【4】一人になれる時間と場所を確保する
親と二人で過ごす時間も必要ですが、同時に一人になれる時間と場所もきょうだい児には必要です。
【きょうだい児が障害児の兄弟に抱えやすい不満例】
- 自分のプライバシーが同胞に侵されていると感じる
- 同胞に生活を邪魔される
- 同胞が暴れるので辛い
- 母親が同胞と喧嘩を繰り返すことで気持ちが休まらない
普段から発達障害児(同胞)を相手にしていると、きょうだい児は自分のことをおろそかにしがちで、結果的にストレスが溜まりやすくなります。
同胞に注意をしたところで「何も変わらないだろう」と現実を受け止めるパターンが多いのです。
親と同胞が喧嘩をしている場面に遭遇した際も、中に入って止めるのは難しく、きょうだい児は心が休まらないでしょう。
元きょうだい児の方である持田恭子さんは、自身の体験から「溜まってしまった負の感情を吐き出す場所が必要」と説いています。
現在はオンラインで同じ境遇同士つながることもできるので、ご自身に合ったストレス解消方法を探してみてくださいね。
【5】きょうだいの努力や達成をほめる
前項でも触れていますが、親が障害児(同胞)がいると、どうしてもきょうだい児よりもかける時間が多くなり、きょうだい児は関わる時間が減ってしまいます。
その結果、きょうだい児は自分は置いてきぼりにされている、と寂しい気持ちに悩んでしまうかもしれません。
また、発達障害児を療育する上で「ほめる」事が重点的に行われますが、その行為をきょうだい児にも向けなかったら、彼らは更に孤立を感じてしまうでしょう。
- 「ちゃんとできたところを見てるよ」
- 「頑張っているのわかってるよ」
- 「○○してくれてありがとう!」
といったメッセージを用いて、きょうだい児の存在意義や感謝の気持ちを伝えるためにも、積極的にほめてください。
【6】外からの援助を上手に利用する
きょうだい児にとって、親の精神的な状況はとても重要。
例えば自宅で、同じ空間に発達障害児と親がやり取りしている場面を、きょうだい児は見たくなくても目撃する立場にいるからです。
では発達障害児の世話で忙しく、きょうだい児まで気にかける余裕がない場合、保護者はどうすればいいのでしょうか?
精神的にも肉体的にも余裕がない場合は、両親や親せき、その他公的サービスなどを利用して、子育てから息抜きをしましょう。
空いた時間には好きな映画鑑賞、自分の趣味を楽しむなど、心の栄養補給をするといいですね。
「障害を抱えた子どもを、親しい人に預けるのはちょっと…」という場合には、デイサービスという選択肢もあります。
ぜひ参考にしてみて下さい。
放課後等デイサービスという選択
発達障害を抱える子どものデイサービスは、近年増えてきています。アップも、そんなデイサービスを提供する施設のうちの一つです。
神奈川県横浜市にあり、一人一人の特性に合わせて学習や運動を行っていきます。
少しでもお気になられた場合は、お気軽にご連絡ください。
また、子育てに向けてのお役立ち情報として、アップサイト内で発達障害に関する情報を多数発信しています。
何かお役に立てる情報が見つかるかもしれません。
保護者自身の心のケアも必要
保護者の方は、発達障害児を育てる上での在り方について振り返ってみましょう。
とにかくできることを一緒に頑張ってみよう!と前向きな方や、これからどうすれば良いのか不安な方もいますね。
中には、自分の子供に障害があることがショックでまだ受け入れられない、という方もいらっしゃるのでは。
将来に対する不安が強い方や、まだショックが残っている方は、自分自身と向き合う時間が必要です。
母親の精神状態による子どもへのストレス
障害児(同胞)を兄弟に持つ子ども(きょうだい児)にとって、保護者、特にお母さんの精神状態は大きく反映します。
母親が同胞に関して辛い思いをしている様子を見て、子どもが鬱などの精神障害を患ってしまう可能性があるほどです。
きょうだい児へのストレス
きょうだい児の性別や年齢、生活の環境において様々ですが、きょうだい児が受けるストレスは多くあります。
周囲から揶揄われたり、逆に同情されたりする場面があれば、同胞を心配したり、逆に反抗してしまう場面もあるでしょう。
- 我慢しなくてはならない
- 良い子に振る舞わなければならない
- 親に心配をかけされてはいけない
様々な葛藤から状況に耐えきれず、泣き出してしまう子も少なくないのです。
対等に扱っているつもり…でも?
発達障害を抱えている子どもの育児は楽ではありません。
どうしても発達障害児を優先し、きょうだい児へのケアが少なくなるか遅れてしまいます。
時には保護者が同胞をかばい、きょうだい児が怒られてしまうという場面もありましょう。
対等に扱っているつもりでも、きょうだい児にとっては、保護者の行動がストレスにつながる可能性があります。
筆者の妹は自閉症を抱えており、小さい頃は学校の宿題を落書きされたり、おもちゃを壊されたりしていました。
そこで筆者が妹に怒ると、母には「障害があるんだからしょうがないでしょ」「それをテーブルに出しっぱなしのあなたが悪い」等と言われました。
子どもながらに、どうにも納得できず、悲しい思いをした自分がいた記憶があります。
筆者は自分が我慢することで解決しましたが、そこでもう少し母も私と妹を、少しでもいいから対等に扱ってくれたらな、と思ったりもしたものです。
自分自身の時間を確保
上で触れた様に、保護者(特に母親)の精神状態によって子どもに与える影響は大きく、保護者本人の負担は計り知れません。
自分自身がどう在るべきか、育児中に落ち着いて考える余裕はありませんよね。
時には涙を流してしまう時もあるでしょうが、ひとつの方法としておすすめです。
参照元:障害保健福祉研究情報システム、TRILL
まとめ
今回は発達障害を抱える兄弟が持つストレスについて記してきました。
発達障害児の親と比べて、 きょうだい児に関する研究は事例が少なく、これからの研究成果に期待です。
きょうだい児が感じる、発達障害児に対する悩みや両親への不満は、近年明るみになってきました。
保護者の方々は、自分の心のケアだけでなく、きょうだい児への配慮も忘れないようにしてくださね。