皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「歯が生えるのが遅い悩みと、発達障害」についてです。
「わたしの赤ちゃん、歯が生えるのが遅いのだけれど……もしかして発達障害?」と不安な方はいらっしゃいませんか?
今回は歯が生えるのが遅い理由と発達障害の関係性を中心にお伝えしていきます。過度な不安を感じないために、正しい知識を身につけてくださいね。
目次
発達障害と歯が生えるのが遅いのは関係ある?
「歯が生えるのが遅いから、発達障害かも知れない……」と悩まれているお母さんお父さんもいらっしゃるかも知れません。
結論として「歯の発育が遅い=発達障害」とは言い切れません。
歯が生えるタイミングには誤差があり、発達障害と疑われるタイミングも人によってバラバラなので、断定ができないからです。
ですから1歳を過ぎてから初めての歯が生えたお子さんでも、発達障害であるとは言い切れません。
発達障害の診断ができるのは2歳以降なのが一般的です。
日本には無料で「乳幼児健康診査」が実施されており、社会とかかわりが増える時期に行う「1歳6か月健診」や「3歳児健診」でお子様のメンタル面を見ることになります。
年齢別発達障害の兆候
1歳児から小学校1年生頃までの間に発達障害の症状と見られる兆候が把握できるタイミングをお伝えします。
1歳頃~幼稚園児
発達障害のひとつ「自閉症スペクトラム障害(ASD)」の兆候が見られ始めます。
例えば「人の目を見ることが少ない」「指さしをしない」「他の子どもに関心がない」などです。
もちろん、兆候だけではハッキリと診断できない場合もあります。
幼稚園児~7歳頃
発達障害のひとつ「注意欠如・多動性障害(ADHD)」の症状が分類できるようになってきます。
例えば「じっと座っていることが苦手」「集中することが苦手」「忘れ物が多い」などです。
小学1年生頃~
発達障害のひとつ「学習障害(LD)」の症状がわかり始めます。
例えば「文字を読むのが苦手」「文字を書くのが苦手」「計算することが苦手」など
歯が生えるのが遅いこと以外に他にも様子がおかしいなどの不安があれば、日頃のお子さんの様子や他の発達の具合も合わせて記録しておくといいでしょう。
発達障害の不安は、乳幼児健診や公共の窓口でも相談できます。
詳しくは、お住まいの地域の保健センターや市町村の窓口へお問い合わせ下さい。
発達障害の場合は「生えてから」に注意!
発達障害である場合、歯が生えるのが遅いことよりも、歯が生えてから注意が必要です。
例えば歯磨きが苦手で歯に痛みがあっても、周囲の大人に上手く伝えられず発見が遅くなりがちなので、発達障害を持つ児童は虫歯になりやすい傾向が見受けられます。
がんばって歯科医院に入れたとしても、診察室に入ることや器具の音を怖いと感じ、虫歯治療が困難なケースもあるようですね。
赤ちゃんの歯の生える時期・生え方
赤ちゃんの歯が生え始めるのは生後8か月前後が多く、初めに前歯が生えた後は、おおよそ半年ごとに4本ずつ生えてきます。
全ての歯がそろうのがだいたい2歳半頃で、赤ちゃんの頃に生えるこれらの歯は「乳歯」(または「第一生歯」)と呼ばれます。
参考元:〈参考2〉咀しゃく機能の発達の目安について | 厚生労働省
【一般的な乳歯が生える順番】
- 下列の中央の2本が生える
- 上列の中央の2本が生える
- 上下中央に生えた歯の、それぞれ両脇に1本ずつ生える※上下8本の前歯がそろう
- 半年ほど経ってから、隙間を開けて先に奥歯が生える(左右2本ずつ計4本)※全部で12本がそろう
- また半年ほど開けて、残っている隙間に犬歯が生える(左右2本ずつ計4本)※全部で16本がそろう
- さらに半年後、1番奥に奥歯が生える(左右2本ずつ計4本)※合計20本の乳歯がそろう
生えて来た歯の角度がおかしい・形がおかしいなどの異常があれば、念のため歯科(あれば小児歯科)を受診しましょう。
歯の役割を理解して、子供の成長を見届ける
これから成長していく小さなお子さんにとって、歯はとても重要なものだといえるでしょう。
乳歯が生えそろうと、赤ちゃんは「自分で食べる」習慣が身に付きます。
歯は顔と連動していることから、表情もこれまで以上に豊かになり、発音の種類も増えます。
【歯の役割の一例】
- 食物を噛み切ったりつぶしたりして、飲み込みやすくする
- 顔に表情を作る
- 舌の働きに合わせて、声をさまざまな発音に変える
- 顎(あご)を動かして噛むことで、脳に刺激を送る
- 姿勢や体のバランスを助けるなど
無意識に体の重心をずらして、姿勢を保つために踏ん張るんですね。
「乳歯萌出遅延」という状態
歯が生える時期が異常に遅い場合は骨の中に歯が存在しない、骨の中にある歯が外へと出てこられないケースが疑われるようです。
乳歯の生えはじめが遅れている状態は、医学用語で「乳歯萌出遅延(にゅうしほうしゅつちえん)」と呼ばれ、「晩期萌出」という別名もあります。
通常、歯は胎児の頃に「歯胚(しはい)」と呼ばれる歯の芽ができ、それが骨の中で成長することによって歯の形になります。
これがやがて骨を突き破って出てくるのが「歯が生える」という現象です。
「萌出」には、「歯が生える」という意味があります。
1年ほど幅がある「歯が生える」個人差
歯が生えてくる時期には個人差があり、およそ1年程度の差があるといわれています。
早い場合では生後2ヵ月頃から、遅い場合は1歳を過ぎてから1本目が生えるようです。
乳歯が生えるのが遅い場合、永久歯への生え変わりの時期も遅くなるといわれています。
以下のTwitter ―こけし@kokeshijktさんのツイートは、1歳を過ぎてから生えて来るケースです。
反対に、ごくまれに生まれた時からすでに歯が生えている子もいますが、これは「先天性歯」という珍しい状態です。
歯が生えてくるのが遅過ぎるのは心配ですが、早過ぎても何かと心配事はつきないでしょう。
生まれつき、もしくは生後2ヵ月以内に歯が生えてくる状態です。
「魔歯」「鬼歯」とも呼ばれます。1000人に1~2人の割合で発生し、授乳の妨げになったり舌を傷つけてしまったりする場合は、先を削って丸くする・抜歯するなどの措置が取られます。
様々な「歯が生えるのが遅い/生えてこない」ケース
歯が生えてくるのが遅い状態にも、様々なケースがあります。
個人差で遅くなっているだけであれば問題ないらしいのですが、生まれつきの病気などが隠れていることもあるそうです。
どんな原因が考えられるのか、順番にみていきましょう。
個人差で遅くなっているケース
早産や低体重で生まれた場合と遺伝的に遅く生えてくる場合があります。
早産や低体重で生まれた場合
早産や低体重で生まれた赤ちゃんの場合発達の速度がゆっくりで、歯が生え始める時期も遅めになることが多いようです。
早産のお子さんであれば、生まれてからの月数ではなく「修正月齢」を発達の基準に考えてください。
ゆっくりでも確実に成長しているようであれば、落ち着いて様子を見守っていきましょう。
実際に生まれた日ではなく、出産予定日を基準に月齢を数える方法。
遺伝的に遅く生えてくる場合
お母さんやお父さん、または身近な血縁者に、歯が生えてくるのが遅かった人はいませんか?
遺伝的に歯が遅く生えてくるケースでは、お子さんも同じように歯が生える時期が遅くなる可能性はあります。
心当たりがあれば、焦らずもう少し様子をみてみましょう。
「歯」に関する病気が潜んでいるケース
なかなか歯が生えてこない事は、個人差の問題だけではなく病気が潜んでいる場合があります。
ここからは、医師による診察が必要となるケースです。
癒合歯
「癒合歯(ゆごうし)」とは、隣り合った2本の歯が1つに結合した状態で生えてくる状態を言い、癒合歯である場合、生えてくるのが遅くなる可能性があります。
乳歯が癒合歯であることはあまり問題になりませんが、結合部分に凹みがあってうまく歯が磨けないなど、虫歯になりやすい場合があります。
虫歯以外にも歯並びに影響が出るおそれがあるので、乳歯が癒合歯で出て来た場合は、かかりつけの歯科医師にみてもらいましょう。
永久歯に生え変わる際も、癒合歯が原因でうまく生え変わりができない可能性があるため、抜歯が必要な場合も出てきます。
埋伏歯
「埋伏歯(まいふくし)」は、骨の中にある歯が表に出てこない状態をいいます。
歯は通常、骨の中で成長し、骨を突き破って出てくることで生えていきますが、何らかの原因により骨から歯が出て来られなくなるのが埋伏歯です。
埋伏歯は永久歯に比べ、乳歯の埋伏歯は発生の割合は少ないのですが、骨に穴をあけたり、歯を引っ張り出したりといった大掛かりな手術が必要となる可能性はあります。
先天性欠如
「先天性欠如(せんてんせいけつじょ)」は、生まれつき1本~複数の歯が無い状態で、「先天性欠如歯」「先天性欠損」「無歯症」とも呼ばれます。
乳歯の先天性欠如は0.1~0.7%(一説では0.2~2.5%)、永久歯では3%~6%くらいの割合で発生するため、決して多くの方に当てはまるわけではありません。
先天性欠如の場合、歯が生えてこないため歯と歯の間に隙間ができます。
隙間があることで他の歯が傾いてしまったり、噛み合わせが深くなるため、不便な思いをすることが多くなります。
長期的な診察や治療が必要となる可能性があるため、通いやすい場所にある歯科(あれば小児歯科)を見つけましょう。
外胚葉異形成症
「外胚葉異形成症(がいはいよう-いけいせいしょう)」は、生まれつき外胚葉組織に形成の異常がある病気の総称です。
歯の他、髪の毛、爪、汗腺などがうまくつくられないといった症状が現れます。歯が生えないケース以外にも、生えて来た歯の形が通常とは異なるケースも出てきます。
歯以外で一例を挙げると、汗腺の異常を伴う場合は発汗作用がうまく働かず、あまり汗をかきません。
発熱を繰り返すなどの症状が出ることもあるようです。
その他、代謝性の疾患の可能性も
代謝性の疾患が原因で、歯や全身の発育が遅れている可能性もあります。
もし歯の他にも発育の心配があれば、かかりつけの小児科に相談してみましょう。
1歳半を過ぎても歯が生えない/生え方がおかしければ1度病院へ
歯の生える時期には個人差がありますので、明らかな異常が無ければ1歳~1歳半くらいまでは様子を見ていても問題ありません。
しかし、前述のように病気が潜んでいるおそれもあるので、1歳半を過ぎても生えてこない場合は歯科医師への診察をおすすめします。
エックス線(レントゲン)で骨の内部に歯があるかどうかだけでも確認できます。
エックス線(レントゲン)は放射線です。
医療目的のエックス線は正当性のある被爆といわれ、放射線の影響よりも、隠れた疾患を早期に発見する方が良いとされています。
被爆による影響もきわめて少ないそうです。しかし、放射線による被爆であることに変わりはありません。
エックス線検査の必要性については、医師とよく相談しましょう。
参考元:医療で使われるエックス線と発生装置 | 環境省
※乳幼児健診の詳細は地域によって異なります。各自治体の保健センター等にお問い合わせ下さい。
歯が生えるのが遅い場合の離乳食
歯が生えてくるのが遅くても、体が大きくなれば1日に必要な栄養素も多くなっていきます。
歯が生えないと固いものや繊維質のものは食べられないので、離乳食中期~後期頃の「歯茎や舌でつぶせる固さ」が食事の目安です。
固さの目安はそのまま、量や種類は月齢に合わせて増やしていく方法が無難です。
食欲が旺盛な時期だと「丸飲み」を覚えてしまうかも知れないので、ゆっくり食べるよう教える必要があるかも知れません。
食べる時にほっぺが動いているかどうかをチェックし、歯茎を使ってしっかり噛めているか確認しましょう。
柔らかくても固くても噛みづらいので、丸飲みしているようであれば固さを調節してみて下さい。
まとめ
- 赤ちゃんの歯が生える時期には、1年ほど個人差がある!
- 歯が生えるのが遅くても、発達障害かどうかはわからない!
- 1歳半を過ぎても生えなければ念のために病院へ!
- 離乳食は「歯茎でつぶせる固さ」のまま、月齢に合わせて量を増やそう!
2歳頃になってやっと生えた!というケースもありますので、1歳半くらいまでは様子を見てみましょう。
それ以上遅くなるようであれば、1歳6ヵ月健診で相談するか、小児歯科で相談してみて下さい。
お母さんやお父さんが心配そうにしていると、お子さんも不安になってしまうかも知れませんが、お子さんが日々成長していく大切な時間です。
歯の成長はそっと心待ちにして、今は他の成長をめいっぱい喜んであげましょう!
もっと詳しく・他の情報も知りたい方は、こちらのサイトも参考にしてみて下さい!